退職前に知っておくべき失業保険の基本と活用法を、この記事では詳しく解説します。
失業保険の受給資格から、自己都合・会社都合退職の違い、受給期間や手続きまで、退職後の生活を支えるために必要な情報を網羅しています。

失業保険って、退職したら誰でももらえるの?

失業保険は、受給資格を満たせば誰でも受給できる制度です。
この記事でわかること
- 失業保険の受給資格
- 自己都合退職と会社都合退職の違い
- 失業保険の手続き
退職前に確認すべき失業保険の基本
失業保険は、退職後の生活を支える重要な制度です。
受給資格や給付日数、手続きの流れを理解しておくことが大切です。
この記事では、失業保険の受給資格の概要、自己都合退職と会社都合退職の違い、受給期間と給付日数について解説します。
これらの情報を把握することで、退職後の生活設計を立てる上で役立ちます。
失業保険とは?受給資格の概要
失業保険は、雇用保険の加入者が失業した場合に、生活の安定と早期の再就職を支援する制度です。
受給には一定の条件があり、すべての離職者が対象となるわけではありません。

失業保険ってどんな制度なの?

失業保険は、失業中の生活を支え、再就職を支援する国の制度です。
受給資格を得るには、以下の2つのポイントを満たす必要があります。
項目 | 内容 |
---|---|
1. 離職日以前2年間の被保険者期間 | 雇用保険に加入していた期間が、原則として通算12ヶ月以上必要です。ただし、倒産や解雇など会社都合の場合は、離職日以前1年間に6ヶ月以上の被保険者期間で受給資格が得られます。 |
2. 就業意欲と能力 | 働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態である必要があります。 |
受給資格を満たしているか確認して、安心して退職後の生活を送りましょう。
自己都合退職と会社都合退職の違い
自己都合退職と会社都合退職では、失業保険の受給条件や開始時期、給付日数などが大きく異なります。
これらの違いを理解しておくことは、失業保険を最大限に活用するために非常に重要です。
自己都合退職と会社都合退職の違いは、以下の通りです。
項目 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
---|---|---|
給付制限 | 原則として、ハローワークに求職の申し込みをしてから7日間の待機期間に加え、2ヶ月間の給付制限があります。ただし、2020年10月1日以降、5年間のうち2回までは1ヶ月に短縮されます。 | 7日間の待機期間後、すぐに失業保険が支給されます。 |
給付日数 | 一般的に、会社都合退職よりも給付日数が少なくなる傾向があります。 | 倒産や解雇など、離職理由が会社都合である場合、特定受給資格者として給付日数が優遇されることがあります。 |
受給要件 | 離職日以前2年間に、被保険者期間が通算12ヶ月以上必要です。 | 離職日以前1年間に、被保険者期間が通算6ヶ月以上あれば受給資格が得られる場合があります。 |
その他 | 転職活動が長引く可能性も考慮し、計画的に退職日を設定することが重要です。「自己都合だから、どうせすぐにはもらえないし…」と安易に考えず、早めにハローワークに相談することをおすすめします。 | 会社都合退職となるケースでも、退職理由によっては自己都合として扱われる可能性があるため、離職票の内容をしっかりと確認することが大切です。 |
退職理由によって、失業保険の受給条件や給付内容が大きく異なるため、ご自身の状況を正確に把握しておきましょう。
受給期間と給付日数
失業保険の受給期間と給付日数は、受給資格者が失業中に受け取れる手当の期間と日数を指します。
これらの期間と日数は、雇用保険の加入期間や年齢、離職理由によって異なり、受給額を大きく左右する要素です。
受給期間と給付日数について、以下の表にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
受給期間 | 離職日の翌日から1年間です。この期間内に所定給付日数分の失業保険を受給する必要があります。 |
給付日数 | 雇用保険の被保険者期間や年齢、離職理由によって異なり、90日から360日の間で決定されます。特定受給資格者(会社都合退職)や、障害者手帳を持っている場合は、給付日数が手厚くなる場合があります。 |
退職後の生活設計を立てる上で、ご自身がどれくらいの期間、失業保険を受給できるのかを把握しておくことは非常に重要です。
受給期間や給付日数について不明な点があれば、ハローワークに相談することをおすすめします。
失業保険を最大限に活用するための手続き
失業保険を最大限に活用するためには、ハローワークでの求職申し込み、離職票の準備、そして失業認定を受ける際の注意点を理解することが重要です。
これらの手続きを確実に行うことで、失業保険をスムーズに受給し、再就職への準備期間を安心して過ごせるようになります。
ハローワークでの求職申し込み手続き
ハローワークでの求職申し込みは、失業保険を受給するための第一歩であり、重要な手続きです。
求職申し込みを行うことで、ハローワークがあなたの再就職活動をサポートし、失業保険の受給資格を得るためのプロセスが開始されます。

求職申し込みって、具体的にどんなことをするの?

求職申し込みでは、あなたの職務経歴や希望する職種などを登録します。
ハローワークでの求職申し込み手続きでは、以下のことを行います。
項目 | 内容 |
---|---|
求職情報の登録 | 氏名、住所、連絡先、学歴、職務経歴、希望する職種、勤務条件などをハローワークのシステムに登録します。 |
求職票の作成 | 登録した情報を基に求職票を作成し、ハローワークの窓口に提出します。 |
職業相談 | ハローワークの職員と面談し、希望する職種や勤務条件、再就職に関する相談を行います。 |
求人情報の提供 | ハローワークのシステムで公開されている求人情報の中から、あなたの希望に合った求人情報を検索し、紹介を受けます。 |
雇用保険受給資格の確認 | 雇用保険の加入状況や離職理由などを確認し、失業保険の受給資格があるかどうかを確認します。 |
受給資格決定後の手続き説明 | 失業保険の受給資格が決定した場合、今後の手続き(雇用保険説明会への参加、失業認定日の出頭など)について説明を受けます。 |
離職票の準備と必要書類
離職票は、失業保険の受給手続きにおいて最も重要な書類の一つです。
離職票には、あなたの雇用保険の加入状況や離職理由、賃金などが記載されており、これらが失業保険の受給資格や受給額を決定する上で重要な情報となります。

離職票って、会社からいつもらえるものなの?

離職票は、退職後10日程度で会社から送られてくるのが一般的です。
離職票の準備と必要書類について、以下の情報を参考にしてください。
書類名 | 内容 | 入手先 | 備考 |
---|---|---|---|
離職票-1 | 雇用保険の加入者番号や氏名、住所などが記載されています。 | 会社 | |
離職票-2 | 離職理由や賃金、退職年月日などが記載されています。失業保険の受給資格を判断する上で重要な書類です。 | 会社 | 記載内容に誤りがないか必ず確認し、誤りがある場合は会社に訂正を依頼してください。 |
雇用保険被保険者証 | 雇用保険に加入していたことを証明する書類です。 | 会社 | |
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) | 本人確認のために必要な書類です。 | 自分で用意 | |
個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど) | 個人番号(マイナンバー)を確認するために必要な書類です。 | 自分で用意 | |
印鑑 | 手続きで使用する印鑑です。 | 自分で用意 | |
預金通帳またはキャッシュカード | 失業保険の振込先口座を確認するために必要な書類です。本人名義の口座に限ります。 | 自分で用意 | |
写真(原則として2枚) | 本人確認のために必要な写真です。 | 自分で用意 | サイズや背景色などに指定がある場合がありますので、ハローワークに確認してください。 |
その他 | ハローワークが必要と判断した場合、追加の書類が求められることがあります。 | 例えば、退職理由を証明する書類(解雇通知書、退職勧奨に関する書類など)や、賃金台帳などが該当します。 |
失業認定を受けるための注意点
失業認定は、失業保険を受給するために定期的にハローワークで行われる手続きです。
この認定を受けることで、あなたは「失業状態にある」と認められ、失業保険の給付を受ける資格を維持できます。

失業認定って、具体的にどんなことをするの?

失業認定では、求職活動の状況を報告し、失業状態にあることを確認してもらいます。
失業認定を受ける際の注意点について、以下の情報を参考にしてください。
項目 | 注意点 |
---|---|
失業認定日の確認 | ハローワークから指定された失業認定日に必ず出席してください。 |
求職活動の実績 | 失業認定を受けるためには、原則として認定期間中に2回以上の求職活動実績が必要です。 |
求職活動の記録 | 求職活動を行った日付、応募した企業名、応募方法、面接の有無などを記録しておきましょう。 |
失業認定申告書の記入 | ハローワークで配布される失業認定申告書に、求職活動の内容やアルバイト・パートの収入などを正確に記入してください。 |
アルバイト・パート収入 | アルバイト・パートで収入を得た場合は、その金額を正直に申告してください。収入額によっては、失業保険の減額や支給停止となる場合があります。 |
体調管理 | 失業認定日に体調を崩して出席できない場合は、事前にハローワークに連絡し、指示を受けてください。 |
服装 | 失業認定日にふさわしい服装で出席しましょう。派手な服装や露出の多い服装は避け、清潔感のある服装を心がけてください。 |
質問への適切な回答 | ハローワークの職員から求職活動の状況や再就職の意欲などについて質問されることがあります。誠実に、かつ積極的に再就職活動を行っていることをアピールしましょう。 |
虚偽の申告をしない | 求職活動の実績を偽ったり、アルバイト・パートの収入を隠したりするなどの虚偽の申告は絶対に行わないでください。不正受給と判断された場合、失業保険の支給停止や返還命令、さらには刑事告訴される可能性もあります。 |
退職前に準備しておきたいこと
退職前に準備をすることは、退職後の生活をスムーズに始めるために重要です。
ライフプランを明確にすることや、ハローワークへの相談、雇用保険被保険者証の確認など、計画的に進める必要があります。
退職後の生活を安心して送るために、事前にしっかりと準備しましょう。
退職後のライフプランを明確にする
退職後のライフプランを明確にすることは、将来の経済的な安定と精神的な充実のために不可欠です。
具体的には、収入と支出のバランスを把握し、どのような生活を送りたいかを具体的に考える必要があります。

退職後の生活設計って、具体的に何を考えれば良いの?

退職後の収入源や生活費、趣味や旅行など、やりたいことを明確にしましょう。
退職後のライフプランを明確にするためには、以下の点を考慮しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
収入 | 年金、退職金、貯蓄、投資、再就職による収入などを合算し、月々の収入を予測する |
支出 | 住居費、食費、光熱費、通信費、保険料、医療費、趣味・娯楽費、交際費などを細かく算出し、月々の支出を予測する |
生活スタイル | どのような場所に住みたいか、どのような趣味や活動に時間を費やしたいか、旅行やボランティア活動など、具体的な希望を書き出す |
健康 | 健康維持のためにどのようなことを行いたいか(運動、食事、定期的な健康診断など)、医療費や介護費用なども考慮する |
資金計画 | 収入と支出のバランスを考慮し、必要な資金を明確にする。不足する場合は、再就職や資産運用などを検討する |
家族との相談 | 家族がいる場合は、家族の希望や意見を聞きながら、共同でライフプランを作成する |
退職後のライフプランを明確にすることで、経済的な不安を軽減し、充実したセカンドライフを送ることが可能になります。
ハローワークへの相談
ハローワークへの相談は、失業保険の受給資格や手続き、再就職支援など、退職後の生活をサポートするための重要なステップです。
専門家からのアドバイスを受けることで、自身の状況に合わせた最適な選択肢を見つけることができます。

ハローワークって、どんな相談に乗ってくれるの?

失業保険の手続きだけでなく、再就職に関する様々なサポートが受けられます。
ハローワークでは、主に以下の内容について相談できます。
相談内容 | 詳細 |
---|---|
失業保険の受給資格 | 雇用保険の加入状況や離職理由などを確認し、失業保険の受給資格があるかどうかを判断 |
失業保険の手続き | 受給に必要な書類や手続きの流れ、受給期間などについて詳しく説明 |
求職活動のサポート | 希望する職種や条件に合った求人情報の提供、履歴書や職務経歴書の作成支援、面接対策など |
職業訓練の案内 | スキルアップやキャリアチェンジに役立つ職業訓練コースの紹介、受講手続きのサポート |
再就職支援セミナー | 再就職に役立つ知識やスキルを習得するためのセミナーや講習会の案内 |
その他の相談 | 生活設計、年金、健康保険など、退職後の生活に関する様々な相談 |
ハローワークに相談する際には、雇用保険被保険者証、離職票、本人確認書類などを持参すると、よりスムーズに手続きを進めることができます。
雇用保険被保険者証の確認
雇用保険被保険者証の確認は、失業保険の受給資格を確認するために非常に重要です。
この書類には、雇用保険の加入期間や被保険者番号など、重要な情報が記載されています。
雇用保険被保険者証がない場合は、勤務していた会社に再発行を依頼しましょう。

雇用保険被保険者証って、失業保険の手続きに必要不可欠なの?

雇用保険の加入状況を証明する大切な書類なので、必ず確認しましょう。
雇用保険被保険者証を確認する際には、以下の点に注意しましょう。
確認項目 | 内容 |
---|---|
被保険者番号 | 雇用保険の加入者ごとに割り振られた番号。失業保険の手続きに必要 |
氏名・生年月日 | 記載されている情報が正しいか確認。誤りがある場合は、勤務していた会社に訂正を依頼 |
取得年月日 | 雇用保険に加入した日。加入期間の確認に必要 |
離職年月日 | 会社を退職した日。失業保険の受給資格の判断に影響 |
交付年月日 | 雇用保険被保険者証が発行された日。再発行された場合は、その日付が記載 |
雇用保険被保険者証は、失業保険の手続きだけでなく、再就職後の雇用保険加入手続きにも必要となる場合があります。
大切に保管しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
- 失業保険は退職後、いつまでに申請すれば良いですか?
-
失業保険の申請期限は、退職時の年齢や勤務期間によって異なります。
一般的には、離職日の翌日から1年間が受給期間となりますが、その期間内に所定の給付日数分の手当を受給する必要があります。
早めの申請を心がけましょう。
- 失業保険の申請期限が過ぎてしまった場合、どうすれば良いですか?
-
失業保険の給付金には2年間の時効があります。
時効内であれば申請可能ですが、申請が遅れると受給開始時期が遅れ、支給される総額が減少する可能性があります。
まずは最寄りのハローワークに相談し、状況を説明してください。
病気やけがなどやむを得ない理由がある場合は、診断書などを持参しましょう。
- 失業保険の申請に必要な書類は何ですか?
-
失業保険の申請には、以下の書類が必要です。
- 雇用保険被保険者離職票
- 雇用保険被保険者証
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
- 印鑑
- 預金通帳またはキャッシュカード
- 写真(原則として2枚)
- 失業手当(失業給付金)はいつもらえますか?
-
会社都合で退職した場合、ハローワークで求職の申し込みを行ってから7日間の待機期間後にもらえます。
自己都合退職の場合は、7日間の待機期間に加え、原則として2ヶ月間の給付制限があります。
ただし、2020年10月1日以降、5年間のうち2回までは1ヶ月に短縮されます。
- 失業手当(失業給付金)の受給額はどのように計算されますか?
-
失業手当の受給額は、退職前6ヶ月間の賃金総額を180で割った金額に一定割合を掛けて計算されます。
上限額は年齢によって異なり、原則として毎年8月に改定されます。
- 退職前にハローワークに相談するメリットは何ですか?
-
退職前にハローワークに相談することで、失業保険の受給資格や手続き、再就職支援など、退職後の生活をサポートするための情報が得られます。
専門家からのアドバイスを受けることで、自身の状況に合わせた最適な選択肢を見つけることができます。
まとめ
この記事では、退職前に知っておくべき失業保険の活用法を解説しました。
受給資格や手続き、退職前に準備すべきことを理解し、退職後の生活を安心して送るための準備をしましょう。
この記事のポイント
- 失業保険の受給資格と条件
- 自己都合退職と会社都合退職の違い
- 失業保険を最大限に活用するための手続き
この記事を参考に、ハローワークへの相談やライフプランの見直しを行い、スムーズな失業保険の受給と再就職を目指しましょう。