雇用保険｜加入要件に年齢制限はない？年齢以外の条件を解説

雇用保険は、年齢に関わらず条件を満たす方が加入できる国の制度です。

ご自身の働き方が雇用保険の対象になるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、雇用保険の加入条件から年齢制限撤廃の背景、年齢以外の重要条件までを詳しく解説します。

加入条件を満たすことで、失業時の給付金やスキルアップ支援など、さまざまなメリットを享受できます。

この記事でわかること

雇用保険の加入条件｜年齢制限なし

雇用保険は、労働者の生活と雇用の安定を目的とした国の制度です。

年齢に関わらず、一定の条件を満たす労働者は雇用保険に加入できます。

雇用保険の加入条件について、年齢制限の撤廃や、年齢以外の重要な条件について解説します。

各条件を満たすことで、雇用保険の給付や支援を受けられるようになります。

雇用保険、年齢制限撤廃の背景

雇用保険の年齢制限は、2017年1月1日に撤廃されました。

これにより、65歳以上の高年齢者も雇用保険の適用対象となり、より幅広い層の労働者がセーフティネットの恩恵を受けられるようになりました。

年齢制限撤廃の背景には、以下の要因があります。

要因	内容
高年齢者の就労促進	高齢者が意欲と能力に応じて活躍できる社会を目指すため
人材不足の深刻化	少子高齢化による労働力不足を解消するため
社会保障制度の持続可能性確保	高齢者の就労を支援し、社会保障費の負担を軽減するため

雇用保険加入、年齢以外の重要条件

雇用保険に加入するためには、年齢以外にも以下の条件を満たす必要があります。

条件	内容
労働時間	1週間の所定労働時間が20時間以上であること
雇用見込み	31日以上の雇用見込みがあること
学生	原則として学生ではないこと
適用事業所	雇用保険の適用事業所に雇用されていること

これらの条件を満たすことで、雇用保険に加入し、失業した場合の給付金や、職業訓練の支援などを受けることができます。

雇用保険加入要件の詳細

雇用保険の加入要件は、労働時間や雇用見込みに基づいて判断されますが、年齢による制限はありません。

雇用保険は、労働者の生活と雇用の安定を図るための重要な制度であり、加入要件を正しく理解することが不可欠です。

以下では、雇用保険の加入要件について、労働時間と雇用見込みの基準、適用事業所、加入手続きの流れを詳しく解説します。

各項目を理解することで、雇用保険制度を適切に活用し、従業員の福祉向上に貢献できます。

労働時間と雇用見込みの基準

雇用保険の加入には、週20時間以上の労働時間と31日以上の雇用見込みという2つの基準があります。

これらの基準を満たすことで、年齢に関わらず雇用保険に加入できます。

労働時間

雇用見込み

これらの基準を満たすことで、パートやアルバイト、契約社員など、雇用形態に関わらず雇用保険の適用対象となります。

雇用保険の適用事業所とは

雇用保険の適用事業所とは、労働者を1人以上雇用する事業を指します。

事業の種類や規模に関わらず、労働者を雇用するすべての事業所が適用事業所となります。

具体例

業種	適用事業所の例
建設業	建設会社、工務店
製造業	工場、製造所
サービス業	飲食店、小売店、ホテル、介護施設
情報通信業	IT企業、Web制作会社
医療・福祉	病院、診療所、老人ホーム
運輸業	運送会社、タクシー会社、バス会社
金融・保険業	銀行、証券会社、保険会社
不動産業	不動産会社、マンション管理会社
教育・研究機関	学校、大学、研究所

これらの事業所では、上記の労働時間と雇用見込みの基準を満たす労働者を雇用する際に、雇用保険への加入手続きを行う必要があります。

雇用保険の加入手続きの流れ

雇用保険の加入手続きは、事業主がハローワークに必要書類を提出することで行われます。

手続きの流れを理解し、スムーズな加入手続きを行いましょう。

手続きの流れ

段階	内容
1	雇用保険適用事業所設置届の提出
2	雇用保険被保険者資格取得届の提出
3	ハローワークが資格取得を確認後、雇用保険被保険者証が交付される
4	労働者に雇用保険被保険者証を交付

提出書類

提出期限

これらの手続きを正確に行うことで、労働者は雇用保険の給付や支援を受けることができ、事業主も法的な義務を果たすことができます。

雇用保険の加入要件を満たす労働者を雇用する際には、適切な手続きを行いましょう。

雇用保険加入のメリット

雇用保険に加入することで、失業時の生活を支えるだけでなく、スキルアップやキャリア形成の支援も受けられます。

各給付金を活用することで、より安定した生活を送ることが可能です。

雇用保険には、失業時の給付金だけでなく、教育訓練の支援や育児・介護休業中の給付金など、様々なメリットがあります。

以下に、各見出しの概要を記述します。

失業時の給付金受給

失業時の給付金、つまり基本手当は、離職者が安定した生活を送りながら再就職活動を行うための重要な支援です。

雇用保険に加入していることで、万が一失業した場合でも、一定期間生活費の心配をせずに新しい仕事を探すことができます。

基本手当の受給額は、離職理由や雇用保険の加入期間によって異なり、受給期間も90日から330日の間で変動します。

受給要件を満たすためには、離職日以前2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上必要です。

ただし、倒産や解雇など会社都合による離職の場合は、離職日以前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上あれば受給資格を得られます。

基本手当は、失業中の生活を支え、再就職への意欲を高めるためのセーフティネットとして機能します。

積極的に活用しましょう。

教育訓練給付制度の活用

教育訓練給付制度は、働く人のスキルアップやキャリアチェンジを支援するための制度です。

この制度を利用することで、専門的な知識や技能を習得するための費用の一部が支給されます。

教育訓練給付制度には、「一般教育訓練給付金」と「特定一般教育訓練給付金」、「専門実践教育訓練給付金」の3種類があり、それぞれ支給額や対象となる講座が異なります。

たとえば、一般教育訓練給付金は、雇用保険の加入期間が1年以上の方が対象で、受講費用の20%（上限10万円）が支給されます。

専門実践教育訓練給付金は、より専門的な資格取得を目指す方が対象で、受講費用の50%（上限40万円/年）が支給され、資格取得後には追加で20%（上限80万円）が支給されます。

給付金の種類	雇用保険加入期間	給付率	上限額	対象となる講座
一般教育訓練給付金	1年以上	20%	10万円	キャリアアップに役立つ講座
特定一般教育訓練給付金	1年以上	40%	20万円	早期の再就職やスキルアップに繋がる講座
専門実践教育訓練給付金	2年以上	50% (70%)	40万円(56万円)	専門的な知識・技能を習得できる講座（最長3年間）

教育訓練給付制度を活用することで、自己負担を抑えながらスキルアップを目指せるため、積極的に活用しましょう。

育児休業給付金の支給

育児休業給付金は、育児休業中に賃金が得られない期間の生活を支えるための給付金です。

育児休業を取得することで、子育てに専念しながら経済的な支援を受けることができます。

育児休業給付金は、原則として1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に支給され、支給額は休業開始前の賃金の67%（育児休業開始から6ヶ月経過後は50%）です。

受給資格を得るためには、育児休業開始日以前2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上必要です。

また、育児休業期間中は、会社からの賃金が80%未満である必要があります。

育児休業給付金を活用することで、安心して育児に専念できるだけでなく、職場復帰後もスムーズにキャリアを継続することができます。

積極的に活用しましょう。

高年齢雇用継続給付の活用

高年齢雇用継続給付は、高年齢者が長く働き続けることを支援するための制度です。

60歳以降も働くことで、給与が低下した場合に、その一部を補填する役割を果たします。

高年齢雇用継続給付には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があり、それぞれ支給要件や支給額が異なります。

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降も継続して雇用されている方が対象で、60歳時点の賃金と比較して75%未満に低下した場合に支給されます。

高年齢再就職給付金は、60歳以降に再就職した方が対象で、再就職後の賃金が60歳時点の賃金と比較して75%未満に低下した場合に支給されます。

給付金の種類	支給要件	支給額
高年齢雇用継続基本給付金	60歳以降も継続して雇用されていること。60歳時点の賃金と比較して75%未満に低下した場合。	低下した賃金に応じて、最大で賃金の15%相当額が支給されます。
高年齢再就職給付金	60歳以降に再就職したこと。再就職後の賃金が60歳時点の賃金と比較して75%未満に低下した場合。	低下した賃金に応じて、最大で賃金の15%相当額が支給されます。（ただし、支給期間には上限があります。）

高年齢雇用継続給付を活用することで、60歳以降も意欲的に働くことができ、経済的な安定を保ちながらキャリアを継続することができます。

積極的に活用しましょう。

よくある質問（FAQ）

雇用保険には何歳から加入できますか？

雇用保険に加入できる年齢の下限はありません。

加入要件を満たしていれば、何歳からでも加入できます。

雇用保険は何歳まで加入できますか？

2017年1月の法改正により、雇用保険に加入できる年齢の上限は撤廃されました。

年齢に関わらず、加入要件を満たせば雇用保険に加入できます。

65歳以上でも雇用保険に加入できますか？

はい、65歳以上の方でも雇用保険に加入できます。

2017年の法改正で年齢制限が撤廃されたため、労働時間や雇用見込みなどの条件を満たせば、65歳以上の方も雇用保険の対象となります。

雇用保険に加入するための労働時間の条件はありますか？

雇用保険に加入するためには、1週間の所定労働時間が20時間以上である必要があります。

雇用保険に加入するための雇用見込みの条件はありますか？

雇用保険に加入するためには、31日以上の雇用見込みがあることが条件となります。

学生でも雇用保険に加入できますか？

原則として学生は雇用保険に加入できません。

ただし、夜間・定時制・通信制の学生は例外的に加入できる場合があります。

まとめ

雇用保険は、年齢に関わらず条件を満たす人が加入できる国の制度であり、労働者の生活と雇用の安定を支える重要な役割を果たします。

雇用保険への加入は、万が一の失業に備えるだけでなく、キャリアアップの支援にもつながります。

ご自身の働き方が雇用保険の対象になるか確認し、積極的に活用を検討しましょう。