会社都合｜失業保険の給付期間は？条件や手続きを徹底解説

会社都合で退職された場合、失業保険の給付期間は自己都合退職よりも優遇されることをご存知ですか？ 倒産や解雇など、会社側の理由で離職を余儀なくされた方は、生活を支えるための給付をより長く受けられるのです。

会社都合退職は、今後の生活設計を大きく左右する問題です。

この記事では、会社都合退職における失業保険の給付期間について、その期間を左右する要因から受給までの流れまでを徹底的に解説します。

ご自身の年齢や雇用保険の加入期間から、どれくらいの給付を受けられるのか具体的に把握し、安心して再就職への準備を進めましょう。

この記事でわかること

会社都合退職による失業保険の給付期間

会社都合退職の場合、失業保険の給付期間は自己都合退職よりも優遇されます。

倒産や解雇など、会社側の理由で離職を余儀なくされた方は、生活を支えるための給付をより長く受けられるのです。

この記事では、給付期間を左右する要因や受給までの流れについて解説します。

「会社都合退職とは？」「給付期間を左右する要因」「失業保険受給までの流れ」について見ていきましょう。

会社都合退職とは？

会社都合退職とは、会社の倒産や解雇、退職勧奨など、会社側の理由によって労働者が退職せざるを得ない状況を指します。

会社都合退職と認められるには、客観的な証拠が必要であり、解雇通知書や退職勧奨の記録などが有効です。

会社都合退職として認められる主なケースは、以下の通りです。

理由	内容
倒産	会社が経営破綻し、事業継続が不可能になった場合
解雇	会社の業績不振や人員削減などを理由に、労働契約を解除された場合
退職勧奨	会社から退職を勧められ、それに応じた場合
労働条件の著しい変更	労働契約の内容と実際の労働条件が大きく異なり、労働者がやむを得ず退職した場合（賃金の未払いや減額、ハラスメントなど）

給付期間を左右する要因

会社都合退職による失業保険の給付期間は、離職時の年齢と雇用保険の加入期間によって決定します。

加入期間が長いほど、また年齢が高いほど、給付期間は長くなる傾向にあります。

具体的な給付期間は、以下の表の通りです。

離職時の年齢	1年未満	1年以上5年未満	5年以上10年未満	10年以上20年未満	20年以上
30歳未満	90日	90日	120日	180日	–
30歳以上35歳未満	90日	120日	180日	210日	240日
35歳以上45歳未満	90日	150日	180日	240日	270日
45歳以上60歳未満	90日	180日	240日	270日	330日
60歳以上65歳未満	90日	150日	180日	210日	240日

失業保険受給までの流れ

会社都合退職後、失業保険を受給するには、ハローワークでの手続きが必要です。

求職の申し込みや必要書類の提出、雇用保険受給者説明会への参加など、定められたステップを踏む必要があります。

失業保険受給までの主な流れは、以下の通りです。

会社都合退職の場合、自己都合退職のような給付制限期間はありません。

7日間の待機期間の経過後、失業の認定を受ければ、失業保険の給付が開始されます。

年齢と雇用保険加入期間別の給付期間

会社都合退職の場合、失業保険の給付期間は年齢と雇用保険の加入期間によって大きく変動します。

ご自身の条件を正確に把握することが、今後の生活設計において非常に重要になります。

以下に各年齢層と加入期間別の給付期間を詳しく解説しますので、該当する箇所をよくご確認ください。

30歳未満の給付期間

30歳未満で会社都合退職した場合、雇用保険の加入期間が給付期間に影響を与えます。

雇用保険加入期間	給付期間
1年未満	90日
1年以上5年未満	90日
5年以上10年未満	120日
10年以上20年未満	180日
20年以上	—

加入期間が1年未満でも90日の給付が受けられる点が特徴です。

長期間加入しているほど給付期間が長くなることがわかります。

30歳以上35歳未満の給付期間

30歳以上35歳未満の方が会社都合で退職した場合、雇用保険の加入期間に応じて給付期間が変動します。

雇用保険加入期間	給付期間
1年未満	90日
1年以上5年未満	120日
5年以上10年未満	180日
10年以上20年未満	210日
20年以上	240日

20年以上の加入で最長の240日間の給付が受けられます。

加入期間が長ければ、より安定した生活を送ることが可能になります。

35歳以上45歳未満の給付期間

35歳以上45歳未満の方が会社都合で退職した場合、雇用保険の加入期間によって以下の給付期間が適用されます。

雇用保険加入期間	給付期間
1年未満	90日
1年以上5年未満	150日
5年以上10年未満	180日
10年以上20年未満	240日
20年以上	270日

30歳未満や30歳以上35歳未満と比較して、1年以上5年未満の加入期間における給付期間が長くなるのが特徴です。

45歳以上60歳未満の給付期間

45歳以上60歳未満の方が会社都合で退職した場合、雇用保険の加入期間に応じて給付期間が大きく変動します。

雇用保険加入期間	給付期間
1年未満	90日
1年以上5年未満	180日
5年以上10年未満	240日
10年以上20年未満	270日
20年以上	330日

雇用保険の加入期間が長ければ最長の330日間給付を受けられるため、再就職までの期間を安心して過ごせます。

60歳以上65歳未満の給付期間

60歳以上65歳未満の方が会社都合で退職した場合、雇用保険の加入期間によって給付期間が異なります。

雇用保険加入期間	給付期間
1年未満	90日
1年以上5年未満	150日
5年以上10年未満	180日
10年以上20年未満	210日
20年以上	240日

60歳以上65歳未満の方は、他の年齢層と比較して給付期間が短く設定されている点に注意が必要です。

退職後の生活設計をしっかりと立てておくことが重要です。

失業保険の給付金額と計算方法

失業保険の給付金額は、退職前の賃金を基に算出されますが、年齢や雇用保険の加入期間によって上限額が定められています。

給付金額を正しく理解し、今後の生活設計に役立てましょう。

ここでは、失業保険の給付金額を計算するために必要な、賃金日額、基本手当日額、失業保険総額の計算方法を説明します。

失業保険の金額は、退職理由や年齢、雇用保険の加入期間によって異なり、複雑な計算が必要になります。

賃金日額の計算

賃金日額とは、過去6ヶ月間の給料総額を180日で割った金額です。

この金額が、基本手当日額を算出する際の基準となります。

例えば、過去6ヶ月の給料総額が120万円だった場合、賃金日額は6,666円になります。

基本手当日額の計算

基本手当日額とは、失業保険として1日に受け取れる金額です。

賃金日額に給付率（50～80%）を掛けて算出しますが、給付率は賃金日額が低いほど高くなります。

例えば、賃金日額が6,666円で給付率が60%の場合、基本手当日額は3,999円になります。

基本手当日額には年齢に応じて上限額が設定されており、上限額は毎年8月1日に見直されます。

年齢	上限額（令和6年8月1日時点）
30歳未満	7,065円
30歳以上45歳未満	7,845円
45歳以上60歳未満	8,635円
60歳以上65歳未満	7,420円

失業保険総額の計算

失業保険総額は、基本手当日額に給付日数を掛けて算出します。

給付日数は、年齢や雇用保険の加入期間、退職理由によって異なり、会社都合退職の場合は自己都合退職よりも給付日数が長くなる傾向があります。

例えば、基本手当日額が3,999円で給付日数が90日の場合、失業保険総額は359,910円になります。

失業保険の給付金額は、個々の状況によって大きく異なります。

正確な金額を知るためには、ハローワークで確認することが重要です。

ハローワークでは、過去の賃金や雇用保険の加入状況などを基に、詳細な給付金額を算出してもらえます。

失業保険受給における注意点

失業保険を受給する際には、会社都合退職の証明、再就職の意思と能力、再就職手当の確認が重要です。

これらを怠ると、失業保険の受給が遅れたり、受給資格を失ったりする可能性があります。

以下に、それぞれの注意点について詳しく解説しますので、ご自身の状況に合わせて確認してください。

会社都合退職の証明

会社都合退職の場合、客観的な証拠が求められます。

会社都合退職とは、倒産や解雇、退職勧奨など、会社側の理由で退職せざるを得ない状況を指します。

自己都合退職よりも失業保険の給付条件が有利になるため、ハローワークに証明するための書類を提出する必要があります。

必要な書類	詳細
解雇通知書	会社から解雇を通知されたことを証明する書類。解雇理由が明記されているか確認が必要です。
退職勧奨の記録	会社から退職を勧められた際の記録。日付、場所、内容などを詳細に記録しておきましょう。
離職理由証明書	離職票に記載された離職理由に異議がある場合に、会社に発行を求めることができます。
その他客観的な証拠	上司や同僚からの証言、会社の業績悪化を示す資料なども有効です。

再就職の意思と能力

失業保険は、再就職を積極的に目指す人を支援するための制度です。

そのため、失業保険を受給するためには、再就職の意思と能力があることをハローワークに示す必要があります。

示す方法	詳細
求職活動	ハローワークでの職業相談、求人への応募、転職エージェントの利用、再就職に役立つセミナーへの参加などが挙げられます。積極的に求職活動を行い、その実績を記録しておきましょう。
ハローワークへの定期的な訪問	失業認定を受けるために、原則として4週間に1度ハローワークへ行き、求職活動の状況を報告する必要があります。
面接対策やスキルアップの努力	面接対策セミナーへの参加や、資格取得のための勉強など、再就職に向けて努力している姿勢を示すことが重要です。

再就職手当について

失業保険の受給期間中に早期に再就職が決まった場合、再就職手当が支給されることがあります。

再就職手当は、早期の再就職を促すための制度であり、一定の条件を満たすことで受け取ることができます。

支給条件	詳細
1年を超えて勤務することが確実であること	雇用保険の被保険者として1年以上安定して勤務することが見込まれることが条件となります。
待期満了後の支給残日数に応じて支給額が決定されること	所定給付日数の3分の1以上を残して再就職した場合に支給対象となり、支給残日数が多いほど支給額も多くなります。
過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受給していないこと	過去に同様の手当を受給している場合、一定期間は再就職手当を受給することができません。

再就職手当の申請は、ハローワークで行います。

再就職が決まったら、早めにハローワークに相談し、申請の手続きを進めましょう。

よくある質問（FAQ）

会社都合退職の場合、失業保険は自己都合退職と比べてどれくらい長くもらえますか？

会社都合退職の場合、失業保険の給付期間は自己都合退職よりも優遇されており、年齢や雇用保険の加入期間に応じて最低90日～最大330日の給付が受けられます。

自己都合退職の場合、給付制限期間があるため、受給開始までに時間がかかる場合があります。

会社都合退職として認められる具体的なケースにはどのようなものがありますか？

会社都合退職と認められる主なケースとして、会社の倒産、解雇、退職勧奨、労働条件の著しい変更などが挙げられます。

これらの理由で退職せざるを得ない状況になった場合は、会社都合退職として認められる可能性があります。

失業保険の給付期間は、年齢や雇用保険の加入期間によってどのように変わりますか？

失業保険の給付期間は、離職時の年齢と雇用保険の加入期間によって決定します。

一般的に、雇用保険の加入期間が長いほど、また年齢が高いほど、給付期間は長くなる傾向があります。

例えば、45歳以上60歳未満の方で雇用保険の加入期間が20年以上の場合、最長の330日間の給付が受けられます。

失業保険の給付金額はどのように計算されますか？

失業保険の給付金額は、退職前の賃金を基に算出されます。

具体的には、過去6ヶ月間の給料総額を180日で割った賃金日額に、給付率（50～80%）を掛けて基本手当日額を算出します。

この基本手当日額に給付日数を掛けることで、失業保険の総額が計算されます。

失業保険を受給する際に、特に注意すべき点はありますか？

失業保険を受給する際には、会社都合退職の証明、再就職の意思と能力、再就職手当の確認が重要です。

会社都合退職の場合は、解雇通知書や退職勧奨の記録などの客観的な証拠を準備する必要があります。

また、失業保険は再就職を積極的に目指す人を支援する制度であるため、求職活動を積極的に行うことが重要です。

失業保険の受給期間中に再就職が決まった場合、何か特別な制度はありますか？

失業保険の受給期間中に早期に再就職が決まった場合、再就職手当が支給されることがあります。

再就職手当は、早期の再就職を促すための制度であり、一定の条件を満たすことで受け取ることができます。

例えば、1年を超えて勤務することが確実であることや、待期満了後の支給残日数に応じて支給額が決定されることなどが条件となります。

まとめ

この記事では、会社都合退職における失業保険の給付期間について、年齢や雇用保険の加入期間によって給付期間が大きく異なる点を解説しました。

ご自身の状況を把握することが、今後の生活設計において非常に重要です。

ご自身の年齢や雇用保険の加入期間を確認し、ハローワークで詳細な給付金額を算出して、安心して再就職への準備を進めていきましょう。