失業保険｜計算方法をハローワークで確認する前に自分で概算する方法

退職後の生活を支える失業保険。

しかし、受給額の計算は複雑で、どれくらいもらえるのか不安に感じる方もいるのではないでしょうか。

失業保険の受給額は、退職前の賃金や年齢、雇用保険の加入期間によって大きく変動します。

本記事では、ハローワークでの手続き前に、ご自身で受給額を概算できるよう、計算方法を徹底解説します。

この記事でわかること

失業保険の計算方法｜ハローワーク徹底解説

失業保険の受給額を正確に計算するには、賃金日額、給付率、所定給付日数の3つが重要になります。

ハローワークで手続きを行う前に、この記事を参考に受給額を自分で計算してみましょう。

この記事では、失業保険の受給に必要な基礎知識から、具体的な計算方法、手続きの流れまでを徹底的に解説します。

特に、支給額と期間の決まり方について詳しく解説します。

失業保険とは？受給の基礎知識

失業保険とは、雇用保険の加入者が失業した場合に、生活の安定と再就職を支援するために支給される給付金です。

失業保険は、正式には「求職者給付」と呼ばれ、雇用保険の основная機能の一つです。

失業者が安心して新しい仕事を探せるように、一定期間、給付金が支給されます。

失業保険の目的と仕組み

失業保険の主な目的は、失業者の生活を支え、一日も早い再就職を支援することです。

失業保険の仕組みは、雇用保険に加入している事業主と労働者が保険料を支払い、失業者が発生した場合に、その保険料から給付金を支給するというものです。

これにより、失業者は生活費の心配をせずに、再就職活動に専念できます。

受給資格と条件

失業保険を受給するためには、ハローワークで求職の申し込みを行い、就職しようとする意思と能力があることが最も重要な条件です。

その上で、以下の要件を満たす必要があります。

項目	内容
離職日以前の被保険者期間	離職日以前2年間に、被保険者期間が通算12ヶ月以上あること。ただし、倒産・解雇による離職（特定受給資格者）や、契約期間満了による離職（特定理由離職者）は、離職日以前1年間に6ヶ月以上で可
求職活動	ハローワークで求職の申し込みを行い、積極的に求職活動を行っていること
就職意思	就職しようとする意思があること
就職能力	いつでも就職できる能力があること

支給額と期間の決まり方

失業保険の支給額は、退職前の賃金（賃金日額）と年齢によって決定される給付率によって決まります。

支給期間は、離職理由、年齢、雇用保険の被保険者期間によって異なり、90日から360日の間で決定されます。

支給額	賃金日額 × 給付率（50～80％）
支給期間	離職理由、年齢、雇用保険の被保険者期間によって90日～360日の間で決定

手続きの流れと必要書類

失業保険の受給手続きは、ハローワークで求職の申し込みと受給資格決定の手続きを行うことから始まります。

その後、受給説明会に参加し、初回認定を受け、失業認定を受けることで、失業保険が支給されます。

手続きの流れ	内容
1	ハローワークで求職の申し込みと受給資格決定の手続きを行う
2	受給説明会に参加する
3	初回の失業認定を受ける
4	失業認定を受ける（原則4週間に1回）
必要書類	離職票、個人番号確認書類、身元確認書類、写真2枚、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードが必要です。ハローワークに提出する前に、必ず確認しましょう

失業保険の計算ステップ｜自分でできる受給額シミュレーション

失業保険の受給額を自分で計算することで、退職後の生活設計をより具体的に立てられます。

受給額は、退職前の賃金や年齢、雇用保険の加入期間などによって決まります。

この記事では、失業保険の受給額を自分で計算する方法を、5つのステップに分けて解説します。

各ステップでは、具体的な計算例や注意点も交えながら説明します。

賃金日額の算出方法

賃金日額は、失業保険の基本手当日額を計算するための基礎となる金額です。

賃金日額は、原則として退職前6ヶ月間の賃金総額を180で割って算出します。

例えば、退職前6ヶ月の賃金総額が120万円だった場合、賃金日額は6,667円となります。

ただし、賃金日額には年齢ごとに上限額と下限額が設定されています。

令和6年8月1日現在、30歳以上45歳未満の方の場合、上限額は15,690円、下限額は2,295円です。

給付率の確認ポイント

給付率は、賃金日額に掛けて基本手当日額を算出するための割合です。

給付率は、賃金日額が低いほど高く、高いほど低くなる仕組みです。

給付率は、原則として50％～80％の範囲で変動します。

具体的な給付率は、ハローワークで確認することができます。

また、厚生労働省のホームページでも、給付率の計算式が公開されています。

基本手当日額の計算式

基本手当日額は、失業保険として1日に受け取れる金額です。

基本手当日額は、賃金日額に給付率を掛けて算出します。

基本手当日額 ＝ 賃金日額 × 給付率

例えば、賃金日額が6,667円で、給付率が80％の場合、基本手当日額は5,334円となります。

基本手当日額にも年齢ごとに上限額が設定されています。

令和6年8月1日現在、30歳以上45歳未満の方の場合、上限額は7,845円です。

所定給付日数とは？

所定給付日数とは、失業保険を受給できる期間のことです。

所定給付日数は、退職理由や年齢、雇用保険の加入期間によって異なります。

例えば、自己都合退職の場合、雇用保険の加入期間が1年以上5年未満であれば、所定給付日数は90日となります。

一方、会社都合退職の場合、雇用保険の加入期間や年齢によって、所定給付日数が90日から330日まで変動します。

受給総額のシミュレーション例

失業保険の受給総額は、基本手当日額に所定給付日数を掛けて算出します。

受給総額を事前にシミュレーションすることで、退職後の生活設計を立てやすくなります。

自己都合退職で、雇用保険の加入期間が1年以上5年未満の場合、所定給付日数は90日です。

基本手当日額が5,334円の場合、受給総額は約480,060円（5,334円×90日）となります。

ハローワークでの手続き｜疑問を解決

失業保険の受給にはハローワークでの手続きが不可欠です。

手続きをスムーズに進めるために、必要な持ち物や書類、窓口での流れを事前に把握しておくことが重要です。

ここでは、ハローワークでの手続きに関する疑問を解消し、安心して手続きを進められるように、必要な情報をまとめました。

受給説明会や雇用保険説明会、初回認定日の注意点についても解説します。

必要な持ち物と書類

ハローワークで手続きを行う際には、必要な持ち物と書類を事前に準備しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。

不足があると二度手間になる可能性もあるため、事前に確認し、忘れ物がないように注意しましょう。

必要な持ち物と書類は以下の通りです。

種類	内容
離職票	会社から発行される書類
個人番号確認書類	マイナンバーカード、通知カード、個人番号が記載された住民票のいずれか
身元確認書類	運転免許証、運転経歴証明書、パスポート、在留カード、特別永住者証明書などのいずれか
写真	2枚（3.0cm×2.4cm、3ヶ月以内に撮影したもの）
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード	ゆうちょ銀行を含む金融機関のもの

窓口での手続きの流れ

ハローワークの窓口では、求職の申し込みと失業保険の受給資格決定の手続きを行います。

手続きの流れを理解しておくことで、窓口での対応も落ち着いて行えるでしょう。

窓口での手続きの流れは以下の通りです。

順番	手続き内容
1	求職の申し込み: 求職申込書に必要事項を記入し、窓口に提出
2	受給資格の確認: 離職理由や雇用保険の加入期間などが確認される
3	受給資格決定: 受給資格が認められた場合、受給資格決定通知書が交付される
4	受給説明会の日程説明: 受給説明会の日程や持ち物などについて説明を受ける

受給説明会について

受給説明会では、失業保険の受給に関する重要な説明が行われます。

受給中の注意点や求職活動の義務など、正しく理解しておくべき情報が提供されるため、必ず参加しましょう。

受給説明会では、以下の内容について説明があります。

項目	内容
受給中の注意点	不正受給のリスク、アルバイト収入の申告義務など
求職活動の義務	積極的に求職活動を行う必要があること、求職活動実績の報告方法など
支給額と支給期間	支給額の計算方法、支給期間の決まり方
その他	再就職手当など、受給できる可能性のある手当について

雇用保険説明会について

雇用保険説明会は、雇用保険の制度や手続きに関する理解を深めるためのものです。

失業保険の受給だけでなく、雇用保険全体の知識を身につけることで、今後のキャリア形成にも役立つでしょう。

雇用保険説明会では、以下の内容について説明があります。

項目	内容
雇用保険の制度概要	雇用保険の目的や仕組み、加入条件など
各種給付金の種類	失業保険（基本手当）だけでなく、育児休業給付金や介護休業給付金など、雇用保険で受けられる給付金について
手続き方法	各種給付金の手続き方法、必要な書類など
質疑応答	雇用保険に関する疑問や質問に答えてもらえる

初回認定日の注意点

初回認定日は、失業状態の認定を受けるための重要な日です。

この日に認定を受けられないと、失業保険の受給が遅れたり、受給資格を失ったりする可能性もあるため、注意が必要です。

初回認定日には、以下の点に注意しましょう。

項目	注意点
持ち物	受給資格者のしおり、失業認定申告書、印鑑など、指定された持ち物を忘れずに持参する
時間	指定された時間に遅れないように注意する
求職活動実績	認定期間中に原則2回以上の求職活動実績が必要。ハローワークでの職業相談や求人応募などが該当する
失業状態の申告	アルバイト収入や就労状況など、失業状態について正確に申告する

ハローワークでの手続きは、必要な持ち物や書類の準備、窓口での流れの把握、説明会への参加、初回認定日の注意など、ポイントを押さえることでスムーズに進めることができます。

この記事を参考に、ハローワークでの手続きを安心して進めてください。

失業保険受給中の注意点

失業保険は、求職活動を支援するための大切な制度ですが、受給期間中はいくつかの注意点を守る必要があります。

特に、就職活動の義務を怠ると、失業保険が支給停止になる可能性があるため、注意が必要です。

ここでは、失業保険受給中に気をつけるべき5つのポイントについて、それぞれ詳しく解説します。

各項目をしっかりと理解し、スムーズな受給を目指しましょう。

就職活動の義務

失業保険を受給するためには、積極的に就職活動を行う必要があります。

具体的には、原則として4週間に1回、ハローワークで失業認定を受ける際に、2回以上の求職活動実績を報告する必要があります。

積極的に求職活動を行うことで、早期の再就職を目指しましょう。

求職活動として認められるもの:

項目	内容
ハローワークでの職業相談	職業相談や求人情報の提供を受ける
求人への応募	ハローワークや求人サイトを通じて求人に応募する
各種試験の受験	採用選考につながる各種試験（公務員試験、教員採用試験など）を受験する
資格取得のための講座受講	ハローワークが認める再就職に役立つ資格取得のための講座を受講する
セミナー・講習会への参加	ハローワークや地方自治体などが主催する就職支援セミナーや講習会に参加する
民間機関の職業相談・職業紹介	民間の職業相談機関や職業紹介事業者で相談や紹介を受ける
知人からの紹介（紹介状の発行必須）	知人から仕事を紹介してもらい、ハローワークに紹介状を発行してもらう

アルバイト収入の申告

失業保険受給中にアルバイトをすることは可能ですが、収入の申告が必要です。

申告を怠ると、不正受給とみなされる可能性があるので、必ずハローワークに申告しましょう。

アルバイト収入の申告方法や、収入額によって失業保険の支給額がどのように調整されるのかを理解しておくことが大切です。

アルバイト収入の申告ルール:

項目	内容
申告のタイミング	失業認定申告書に、アルバイトを行った日、時間、収入額を明記して提出する
申告する収入	給与、手当、交通費など、労働の対価として得たすべての収入を申告する
労働時間	1日の労働時間が4時間以上の場合、その日の失業保険は支給されず、受給期間がその日数分延長される
収入額による調整	アルバイト収入と失業保険の基本手当日額の合計が、離職前の賃金日額の80%を超えると、超えた分の基本手当日額が減額される
申告漏れのペナルティ	申告を怠ると、不正受給とみなされ、失業保険の支給停止や返還命令、さらには詐欺罪に問われる可能性もある

再就職手当の活用

早期に再就職が決まった場合、再就職手当を受給できる場合があります。

再就職手当は、失業保険の支給残日数に応じて支給されるため、積極的に活用しましょう。

再就職手当の受給要件や申請方法を事前に確認しておくことが重要です。

再就職手当の受給要件:

項目	内容
支給残日数	失業保険の支給残日数が所定給付日数の1/3以上あること
早期の安定した就職	待期期間満了後の就職であること。1年を超えて勤務することが確実であること。
離職理由との関係	離職前の事業主に再び雇用されたものではないこと。
過去3年以内の再就職手当受給	過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと。
受給手続きの遵守	受給資格決定日から7日間の待機期間満了後に就職していること。失業の認定を受けていること。
雇用保険加入	就職先の事業所において、雇用保険の被保険者となっていること

不正受給のリスク

不正受給は、意図的に虚偽の申告をしたり、事実を隠蔽したりして失業保険を受給することを指します。

不正受給が発覚した場合、支給停止や返還命令だけでなく、詐欺罪に問われる可能性もあります。

不正受給は絶対にやめましょう。

不正受給の具体例:

項目	内容
就職したことの隠蔽	就職が決まったにもかかわらず、ハローワークに申告せずに失業保険を受給し続ける
アルバイト収入の隠蔽	アルバイト収入を過少に申告したり、申告しなかったりする
求職活動実績の捏造	実際には行っていない求職活動を、行ったように偽って報告する
偽りの理由での受給延長	病気やけがなどで働けない状態ではないのに、偽って受給期間の延長を申請する

受給期間延長の手続き

病気やケガ、妊娠、出産、育児などで求職活動ができない場合、受給期間の延長が認められる場合があります。

受給期間の延長を希望する場合は、ハローワークに申請が必要です。

受給期間延長の要件や手続きの流れを事前に確認しておきましょう。

受給期間延長の要件:

項目	内容
病気やケガ	15日以上継続して病気やケガのために求職活動ができない
妊娠・出産・育児	妊娠、出産、育児のために求職活動ができない
親族の介護	親族の介護のために求職活動ができない
その他やむを得ない理由	上記以外にも、災害や交通機関の麻痺など、やむを得ない理由で求職活動ができない

失業保険に関する相談窓口

失業保険について疑問や不安がある場合、適切な相談窓口を知っておくことが重要です。

相談窓口を知っておくことで、失業保険に関する疑問や不安を解消できます。

ハローワークだけでなく、専門家や関連機関も活用して、状況に合わせた支援を受けましょう。

ハローワークの相談窓口

ハローワークは、失業保険に関する相談の主要な窓口です。

ハローワークでは、失業保険の手続きや受給資格に関する相談をすることができます。

専門の相談員が、個別の状況に合わせてアドバイスや情報提供をおこないます。

専門家への相談

弁護士や社会保険労務士などの専門家は、法的な視点からアドバイスを提供します。

関連機関の情報

地域には、様々な相談窓口や支援機関があります。

機関名	概要
労働基準監督署	労働条件や解雇に関する相談
労働局	雇用に関する紛争解決支援
地域の相談窓口	生活困窮者への支援

相談時の注意点

相談する際には、事前に情報を整理しておくことが大切です。

相談前に、雇用保険被保険者証や離職票など、関係書類を準備しておきましょう。

相談したい内容を明確にしておくことで、スムーズな相談ができます。

相談事例と解決策

実際に相談された事例を知ることで、自身の状況に合わせた対応策を検討できます。

相談事例	解決策
失業保険の受給資格がないと言われた	受給資格の再確認、異議申し立て
受給額が少ないと感じる	計算方法の確認、賃金に関する記録の確認
ハローワークの対応に不満がある	相談窓口の変更、第三者機関への相談

よくある質問（FAQ）

失業保険はどのような人がもらえますか？

雇用保険に加入していた方が、離職後に求職活動を行う際に受け取れる給付金です。

失業保険はどのような時に役に立ちますか？

会社を辞めてから次の仕事が見つかるまでの期間、生活費をサポートします。

失業保険はどれくらいもらえますか？

退職前の給料、年齢、雇用保険の加入期間によって支給額が変わります。

ハローワークに行く前に、持ち物チェックは必要ですか？

持ち物を事前に確認することで、ハローワークでの手続きをスムーズに進められます。

ハローワークはどんな雰囲気ですか？

仕事を探している方や、失業保険の手続きをする方が利用する場所です。

受給説明会では難しい話が多いですか？

失業保険の受給に関して重要な情報が説明されるので、しっかり聞いておくことをおすすめします。

まとめ

失業保険について、この記事では受給額の計算方法を徹底解説しました。

この記事を参考に、ハローワークで手続きを進めて、退職後の生活を安心して送りましょう。