自己都合で退職した場合、失業保険の受給には条件と手続きが必要です。
会社都合退職との違いを理解し、スムーズな受給を目指しましょう。
この記事では、自己都合退職における失業保険の受給要件から手続き、注意点までをわかりやすく解説します。

自己都合でも、本当に失業保険はもらえるの?

はい、自己都合退職でも失業保険は受給できます。この記事を読めば、必要な知識が身につきます。
この記事でわかること
- 自己都合退職における失業保険の受給要件
- 受給開始までの期間と手続き
- 受給期間中の注意点(アルバイト制限など)
- ハローワークの支援制度
自己都合による失業保険受給概要
自己都合で退職した場合でも、失業保険は受給できます。
「会社都合退職」と「自己都合退職」では、失業保険の受給条件や開始時期に違いがあるため、違いを理解しておくことが重要です。
自己都合退職における失業保険受給の要件、受給開始までの期間について、以下で詳しく解説します。
失業保険について正しく理解し、スムーズな受給につなげましょう。
会社都合退職との違い
会社都合退職と自己都合退職では、失業保険の受給に関して以下の違いがあります。
項目 | 会社都合退職 | 自己都合退職 |
---|---|---|
受給要件 | 離職日以前1年間に雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上あること | 離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あること |
給付制限 | なし | 通常2ヶ月(5年以内の離職理由によっては3ヶ月になる場合あり) |
給付日数 | 90日~330日(年齢や被保険者期間によって変動) | 90日~150日(被保険者期間によって変動) |
受給開始までの期間 | 7日間の待機期間後、約1ヶ月で初回振込 | 7日間の待機期間+給付制限期間(通常2ヶ月)後、約1ヶ月で初回振込 |
特定理由離職者の該当性 | 解雇、倒産、事業所の移転など、やむを得ない理由で離職した場合に該当することがある | 原則として該当しない |

会社都合と自己都合で、こんなに違いがあるのか

会社都合退職の方が、受給条件や給付日数で優遇されていることがわかります。
会社都合退職は、倒産や解雇など、労働者の意思とは関係なく離職せざるを得ない状況を指します。
一方、自己都合退職は、転職や結婚など、労働者自身の意思で離職する場合を指します。
退職理由によって、失業保険の受給条件や期間が異なる点を理解しましょう。
自己都合退職の失業保険受給要件
自己都合退職で失業保険を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あること
- 働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就けない状態であること
- 積極的に求職活動を行っていること

求職活動って、具体的に何をすればいいの

ハローワークでの職業相談や、求人への応募などが求職活動にあたります。
雇用保険の被保険者期間は、雇用保険に加入していた期間を指します。
また、働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就けない状態であること、積極的に求職活動を行っていることも重要です。
受給開始までの期間
自己都合退職の場合、失業保険の受給開始までには、以下の期間がかかります。
- ハローワークで求職の申し込みを行う
- 7日間の待機期間
- 給付制限期間(通常2ヶ月)
- 失業認定を受ける(4週間に1度)
- 指定の口座に失業保険が振り込まれる

給付制限期間中は、収入がないから不安だな

給付制限期間中は、アルバイトをすることも可能です。ただし、労働時間などに制限があるので注意しましょう。
自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加え、通常2ヶ月の給付制限があります。
給付制限期間中は、失業保険の給付を受けることができません。
失業保険の申請から実際に受給できるまでには、約2〜3ヶ月かかることを考慮して、生活費の準備など、計画的に行動しましょう。
失業保険受給手続きの詳細
自己都合で退職した場合でも、失業保険は受給できます。
ただし、受給開始時期や給付日数などで会社都合退職と異なる点があるため、注意が必要です。
ここでは、失業保険の受給手続きの詳細について解説します。
特に、ハローワークでの求職申し込み、離職票の提出、雇用保険受給説明会への参加、受給資格決定と受給期間について詳しく説明します。
自己都合退職で失業保険をもらうために、必要な手続きをスムーズに進めましょう。
失業保険受給手続きの詳細
ハローワークでの求職申し込み
ハローワークでの求職申し込みは、失業保険(求職者給付)を受け取るための最初のステップです。
求職の申し込みを行うことで、ハローワークがあなたの再就職を支援するための準備が始まります。
求職申し込みの手順は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
必要なもの | 離職票、個人番号確認書類、身元確認書類、写真、本人名義の預金通帳またはキャッシュカード |
申し込み場所 | 全国のハローワーク |
申し込み内容 | 求職の申し込み、離職理由の確認、雇用保険受給資格の確認 |
注意点 | 離職票は退職した会社から発行されるため、事前に受け取っておく必要があります。 |
ハローワークインターネットサービス | ハローワークの求人情報をインターネットで検索できます。求職申し込み前に、希望する職種や条件の求人があるか確認しておくとよいでしょう。 |

離職票って会社から送られてくるけど、すぐには届かないことってあるのかな?

離職票がなかなか届かない場合は、会社に問い合わせてみましょう。
ハローワークでの求職申し込みは、失業保険受給の第一歩です。
必要な書類を準備して、スムーズに手続きを進めましょう。
離職票の提出
離職票は、失業保険を受給するために必ず必要な書類です。
離職票には、退職日、退職理由、賃金などが記載されており、受給資格の確認に使用されます。
離職票に関する情報は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
発行元 | 退職した会社 |
記載内容 | 退職日、退職理由、賃金、雇用保険の加入期間など |
提出先 | ハローワーク |
提出期限 | 受給資格決定日から原則10日以内 |
注意点 | 離職票は2種類あり、通常は2枚とも提出します。離職理由に異議がある場合は、ハローワークに相談してください。 |
離職票は、失業保険の受給資格を証明する重要な書類です。
退職後、会社から速やかに受け取り、ハローワークに提出しましょう。
雇用保険受給説明会への参加
雇用保険受給説明会は、失業保険の受給資格を得た後、最初に参加するべき説明会です。
この説明会では、失業保険の受給に関する重要な情報や、再就職に向けた支援制度について説明があります。
雇用保険受給説明会についての情報は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
参加対象者 | 失業保険の受給資格を得た人 |
開催場所 | ハローワーク |
説明会の内容 | 失業保険の受給に関する注意点、失業認定の手続き、求職活動の方法、再就職支援制度など |
持ち物 | 受給資格者のしおり、筆記用具、印鑑 |
注意点 | 説明会への参加は必須です。やむを得ない理由で参加できない場合は、事前にハローワークに連絡してください。 |
雇用保険受給説明会への参加は、失業保険を適切に受給し、再就職を円滑に進めるために重要です。
説明会の内容をしっかりと理解しましょう。
受給資格決定と受給期間
失業保険の受給資格が決定すると、実際に失業保険を受け取ることができます。
受給期間は、雇用保険の加入期間や年齢、退職理由によって異なります。
受給資格決定と受給期間に関する情報は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
受給資格の決定 | ハローワークが提出された書類や面談に基づいて、受給資格を決定します。 |
受給開始までの期間 | 受給資格決定後、7日間の待機期間があります。自己都合退職の場合、さらに2ヶ月間の給付制限期間があります。 |
受給期間 | 原則として、離職日の翌日から1年間です。ただし、受給日数には上限があり、雇用保険の加入期間や年齢によって異なります。 |
給付日数 | 自己都合退職の場合、90日~150日の範囲で決定されます。 |
失業保険の受給資格を得たら、受給期間や給付日数を把握し、計画的に再就職活動を進めましょう。
自己都合退職における注意点
自己都合退職で失業保険を受給する場合、給付制限があるため、受給開始が遅れることに注意が必要です。
特定理由離職者に該当すれば、給付制限が免除される可能性もあります。
受給期間中のアルバイトにも制限があるので、注意が必要です。
給付制限期間の存在
給付制限とは、自己都合退職の場合に、失業保険の受給が一定期間制限されることを指します。
通常、7日間の待機期間に加え、2ヶ月間の給付制限があります。

自己都合退職の場合、すぐに失業保険はもらえないんですね…

その通りです。しかし、生活費を確保する方法を事前に考えておくことが重要です。
項目 | 内容 |
---|---|
待機期間 | 7日間 |
給付制限 | 2ヶ月間(5年で3ヶ月以上の退職で3ヶ月になる場合がある) |
受給開始時期 | 待機期間と給付制限期間を経過後 |
給付制限期間中は、原則として失業保険は支給されません。
特定理由離職者と給付制限免除
特定理由離職者とは、正当な理由のある自己都合退職者を指します。
たとえば、病気やケガ、家族の介護、配偶者の転勤などが該当します。
特定理由離職者に認定されれば、2ヶ月の給付制限が免除され、会社都合退職者と同様に、7日間の待機期間後から失業保険を受給できます。

自分が特定理由離職者に該当するかどうか、どうすればわかるの?

ハローワークに相談し、必要な書類を提出して判断してもらいましょう。
理由 | 具体例 |
---|---|
体力不足、疾病、ケガ | 医師の診断書などが必要になる可能性がある |
妊娠、出産、育児 | 母子手帳のコピーなどが必要になる可能性がある |
家族の介護 | 介護を必要とする家族の状況を証明する書類が必要になる可能性がある |
配偶者との別居または転勤 | 配偶者の転勤辞令のコピーや、別居の事実を証明する書類が必要になる可能性がある |
特定理由離職者に該当するかどうかは、ハローワークで個別に判断されます。
受給期間中のアルバイト制限
失業保険を受給しながらアルバイトをする場合、労働時間や収入に制限があります。
1週間の所定労働時間が20時間未満、かつ31日未満の雇用見込みであることが条件です。
1日の労働時間が4時間以上の場合、その日の失業保険は支給されません。
また、アルバイト収入が一定額を超えると、失業保険が減額または支給停止になる場合があります。

アルバイトをしながら失業保険をもらう場合、どのくらい稼げるの?

アルバイト収入と失業保険の合計額が、退職前の賃金を上回らないように注意しましょう。
項目 | 制限内容 |
---|---|
1週間の所定労働時間 | 20時間未満 |
雇用見込み | 31日未満 |
1日の労働時間 | 4時間未満の場合、失業保険は支給される 4時間以上の場合、その日の失業保険は支給されない |
収入 | 退職前の賃金を上回らない範囲 |
アルバイトをする場合は、事前にハローワークに申告し、指示に従うことが重要です。
必要な書類の準備
失業保険の受給手続きには、様々な書類が必要です。
雇用保険被保険者証、離職票、個人番号確認書類、身元確認書類、写真、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードなどを事前に準備しておきましょう。

必要な書類が足りない場合、どうすればいいの?

まずはハローワークに相談し、指示に従って不足書類を揃えましょう。
書類名 | 備考 |
---|---|
雇用保険被保険者証 | 会社から発行される |
離職票 | 会社から発行される |
個人番号確認書類 | マイナンバーカード、通知カード、個人番号が記載された住民票のいずれか |
身元確認書類 | 運転免許証、運転経歴証明書、パスポート、在留カード、特別永住者証明書のいずれか 上記の書類がない場合は、公的医療保険の被保険者証、年金手帳など2種類以上の書類が必要となる可能性がある |
写真 | 2枚(縦3.0cm×横2.5cm) |
本人名義の預金通帳 | 普通預金口座を指定する |
書類に不備があると、手続きに時間がかかる場合があるので、注意が必要です。
失業保険受給後の再就職活動支援
失業保険を受給しながら、よりスムーズな再就職を目指すために、積極的にハローワークの支援制度を活用することが重要です。
ハローワークの職業相談や職業訓練制度を活用することで、再就職の可能性を高められます。
ここでは、ハローワークの職業相談、職業訓練制度の活用、再就職手当の申請について解説します。
ハローワークの職業相談
ハローワークでは、専門の相談員が個別の相談に応じて、求職活動の進め方や職業選択に関するアドバイスを提供します。
求職者は自分のスキルや経験、希望する職種などを相談員に伝えることで、より適切な求人情報や再就職支援サービスを受けることが可能です。
ハローワークの職業相談を有効に活用することで、効率的な再就職活動を進められます。

ハローワークの職業相談ってどんなことを相談できるの?

ハローワークでは、あなたのスキルや経験に合わせた求人情報の提供や、再就職に関する様々な相談ができます。
項目 | 内容 |
---|---|
求人情報の提供 | 個人のスキルや経験、希望する職種に合わせた求人情報を紹介 |
職業相談 | 相談員が個別の相談に応じ、求職活動の進め方や職業選択に関するアドバイスを提供 |
応募書類の添削 | 履歴書や職務経歴書などの応募書類の添削指導 |
面接指導 | 面接の練習やアドバイス |
職業訓練の案内 | スキルアップやキャリアチェンジを目指す人に向けて、様々な職業訓練コースを紹介 |
各種セミナー | 就職活動に役立つセミナーや講習会を開催 |
職業訓練制度の活用
職業訓練制度は、求職者が新たなスキルを習得したり、既存のスキルを向上させたりするための制度です。
失業保険を受給している場合、この制度を活用することで、給付制限期間が免除されたり、受給期間が延長されたりする場合があります。
積極的に職業訓練を活用して、再就職に必要なスキルを身につけましょう。

職業訓練を受けると、失業保険の給付制限がなくなるって本当?

自己都合退職の場合でも、職業訓練を受けることで給付制限が免除される場合があります。
項目 | 内容 |
---|---|
給付制限の免除 | 自己都合退職の場合でも、公共職業訓練を受講することで給付制限が免除される場合がある |
受講条件 | ハローワークの指示のもとで職業訓練を受講する必要がある |
受講できる職業訓練の種類 | ITスキル、語学、医療事務、介護など、様々な分野の訓練コースがある |
受講期間 | 訓練コースによって異なるが、数ヶ月から1年に及ぶものまである |
受講料 | 原則無料(テキスト代などは自己負担の場合がある) |
失業保険の受給期間の延長 | 訓練期間中は失業給付の受給期間が延長される場合がある |
再就職手当の申請
再就職手当は、失業保険の受給資格者が早期に再就職した場合に支給される手当です。
再就職手当の支給を受けることで、再就職後の生活を経済的に支援を受けることが可能です。
再就職が決まったら、忘れずにハローワークで再就職手当の申請手続きを行いましょう。

再就職手当ってどんな条件でもらえるの?

再就職手当は、早期に安定した職業に就いた場合に支給される手当です。
項目 | 内容 |
---|---|
支給条件 | 受給資格決定後の待機期間満了後に、安定した職業に就いたこと |
1年を超えて勤務することが確実であること | |
早期の再就職であること(支給残日数によって支給額が変わる) | |
離職前の事業主に再び雇用されたものではないこと | |
過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと | |
支給額 | 支給残日数 × 基本手当日額 × 一定の割合(支給残日数によって割合が異なる) |
申請に必要な書類 | 再就職先の雇用保険被保険者資格取得確認通知書、再就職手当支給申請書など |
申請期間 | 再就職日から1ヶ月以内 |
注意点 | 早期に再就職するほど、再就職手当の支給額が多くなる傾向がある |
よくある質問(FAQ)
- 自己都合退職の場合、失業保険はいつもらえますか?
-
自己都合で退職された場合、ハローワークで求職の申し込みをしてから、7日間の待機期間と通常2ヶ月間の給付制限を経た後、失業認定を受けることで、指定の口座に失業保険が振り込まれます。
申請から実際に受給できるまで、約2〜3ヶ月かかることを考慮して計画的に行動しましょう。
- ハローワークでの求職申し込みには何が必要ですか?
-
ハローワークで求職の申し込みを行う際には、離職票、個人番号確認書類、身元確認書類、写真、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードが必要です。
これらの書類を準備して、スムーズに手続きを進めましょう。
- 離職票が会社からなかなか届かない場合はどうすれば良いですか?
-
離職票は、退職後に会社から発行される重要な書類です。
もし、なかなか届かない場合は、まず会社に問い合わせてみましょう。
それでも解決しない場合は、ハローワークに相談してください。
- 雇用保険受給説明会には必ず参加する必要がありますか?
-
はい、雇用保険受給説明会への参加は必須です。
この説明会では、失業保険の受給に関する重要な情報や、再就職に向けた支援制度について説明があります。
やむを得ない理由で参加できない場合は、事前にハローワークに連絡しましょう。
- 失業保険受給中にアルバイトはできますか?
-
はい、失業保険を受給しながらアルバイトをすることは可能です。
ただし、1週間の所定労働時間が20時間未満、かつ31日未満の雇用見込みである必要があります。
また、1日の労働時間が4時間以上の場合、その日の失業保険は支給されません。
アルバイトをする場合は、事前にハローワークに申告し、指示に従うことが重要です。
- ハローワークではどのような再就職支援を受けられますか?
-
ハローワークでは、個別の職業相談、求人情報の提供、応募書類の添削、面接指導など、様々な再就職支援を受けることができます。
また、スキルアップのための職業訓練制度も利用できます。
積極的にハローワークの支援制度を活用して、再就職の可能性を高めましょう。
まとめ
自己都合で退職された場合、失業保険の受給には条件と手続きがあり、会社都合退職との違いを理解することが重要です。
この記事のポイント
- 自己都合退職における失業保険の受給要件
- 受給開始までの期間と手続き
- 受給期間中の注意点(アルバイト制限など)
- ハローワークの支援制度
この記事を参考に、自己都合退職における失業保険の受給要件を理解し、必要な手続きを進めてみましょう。