失業手当｜「いくらもらえる？」金額シミュレーションと計算方法

退職後の生活を支える失業手当。

「一体いくらもらえるのだろう？」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

受給額は雇用保険の加入期間や年齢、退職理由によって大きく変動するため、まずはご自身の状況を把握することが大切です。

この記事では、失業手当の受給額を左右する要素から、具体的な計算方法、受給手続きまでを詳しく解説します。

ご自身の状況に合わせたシミュレーションで、受給額の目安を把握し、再就職活動中の経済的な不安を軽減しましょう。

この記事でわかること

失業手当受給額の目安

失業手当の受給額は、退職前の給与や雇用保険の加入期間によって大きく変わるため、まずはご自身の状況を把握することが重要です。

ここでは、失業手当の受給額に影響を与える2つの要素について解説します。

ご自身の状況と照らし合わせながら、受給額の目安を掴んでください。

雇用保険加入期間と年齢で変動

失業手当の受給額を左右する要素として、雇用保険の加入期間と年齢があげられます。

雇用保険の加入期間が長いほど、また、年齢が高いほど、一般的に受給できる金額も増加するからです。

雇用保険の被保険者期間	～29歳	30歳～34歳	35歳～44歳	45歳～59歳	60歳～64歳
1年未満	90日	—	–	—	–
1年以上5年未満	90日	120日	150日	180日	150日
5年以上10年未満	120日	180日	180日	240日	180日
10年以上20年未満	180日	210日	240日	270日	210日
20年以上	—	240日	270日	330日	240日

退職理由で大きく異なる受給額

失業手当の受給額は、退職理由が自己都合か会社都合かによって大きく異なります。

会社都合退職の場合、自己都合退職よりも給付日数が増え、受給開始までの期間も短くなるからです。

自己都合退職では、7日間の待機期間に加え、原則として2ヶ月間の給付制限が設けられています。

一方、会社都合退職の場合は、7日間の待機期間後、すぐに受給が開始されます。

さらに、倒産や解雇などによる離職（特定受給資格者）や、契約期間満了による離職（特定理由離職者）は、一般の離職者よりも給付日数が優遇される場合があります。

失業手当の受給額は、雇用保険の加入期間、年齢、退職理由によって大きく変動します。

ご自身の状況を考慮し、ハローワークで詳細な相談をすることをおすすめします。

失業手当の計算シミュレーション

失業手当の金額を正確に把握することは、退職後の生活設計において非常に重要です。

失業手当の計算方法を理解することで、ご自身の状況に合わせた受給額を把握し、再就職活動中の経済的な不安を軽減できます。

以下に、基本手当日額の算出方法、受給期間の決定要因、年齢・雇用保険加入期間別のシミュレーション例をまとめました。

これらの情報を参考に、ご自身の受給額を具体的にイメージしてみましょう。

基本手当日額の算出方法

基本手当日額は、原則として離職日直前の6ヶ月間に支払われた賃金に基づいて計算されます。

賃金日額とは、原則として離職日の直前6ヶ月に支払われた賃金（賞与は除く）の合計額を180で割った金額です。

給付率とは、賃金日額に応じて決定される割合で、年齢や賃金によって変動します。

基本手当日額には上限額と下限額が設定されており、2024年8月1日現在の各年齢における上限額は以下の通りです。

年齢	上限額
29歳以下	7,065円
30～44歳	7,845円
45～59歳	8,635円
60～64歳	7,420円

受給期間の決定要因

失業手当の受給期間は、離職理由、雇用保険の被保険者期間、および離職時の年齢によって異なり、受給資格を判断する上で重要な要素です。

自己都合退職の場合、受給期間は雇用保険の加入期間に応じて90日から150日の間で決定されます。

一方、会社都合退職の場合は、雇用保険の加入期間と離職時の年齢に応じて、90日から330日の間で決定されます。

一般的に、会社都合退職の方が自己都合退職よりも受給期間が長くなる傾向があります。

これは、会社都合退職が労働者の意思に反する離職であるという点を考慮しているためです。

シミュレーション例: 年齢・雇用保険加入期間別

実際にご自身の状況に照らし合わせて、失業手当の受給額を具体的に把握することが重要です。

以下に、年齢と雇用保険の加入期間別のシミュレーション例をまとめました。

これらの例を参考に、ご自身の状況に近いケースを参考にしてください。

年齢	雇用保険加入期間	離職理由	受給期間
30歳	5年	自己都合	90日
30歳	5年	会社都合	120日
40歳	10年	自己都合	120日
40歳	10年	会社都合	180日
50歳	20年	自己都合	150日
50歳	20年	会社都合	270日

上記のシミュレーション例はあくまで一例であり、実際の受給額は個々の状況によって異なります。

より正確な金額を知りたい場合は、ハローワークで相談することをおすすめします。

失業手当受給の手続き

失業手当を受給するためには、ハローワークでの手続きが不可欠です。

ハローワークでの手続きの流れ、必要な書類、そして受給開始までの期間と注意点について詳しく解説します。

ハローワークでの流れ

ハローワークでは、求職の申し込みから受給説明会の参加、そして失業認定まで、いくつかの段階を経る必要があります。

段階	内容
求職の申し込み	ハローワークで求職の申し込みを行う。
受給説明会	雇用保険受給説明会に参加し、受給に関する説明を受ける。
失業認定	ハローワークで失業状態であることの認定を受ける。
その他	4週間に一度、ハローワークで失業の認定を受ける

必要な書類と準備

失業手当の申請には、いくつかの書類が必要になります。

事前に準備しておくことで、スムーズな手続きが可能です。

書類	備考
離職票	会社から発行される書類
雇用保険被保険者証	雇用保険に加入していたことを証明する書類
本人確認書類	運転免許証、パスポートなど
個人番号確認書類	マイナンバーカード、通知カードなど
写真	3cm×2.5cmの正面上半身の写真2枚
印鑑	認印
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード	失業手当の振込先として使用

受給開始までの期間と注意点

失業手当は、申請後すぐに受給できるわけではありません。

受給開始までには、待機期間や給付制限といった期間があります。

自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加え、2ヶ月間の給付制限がある点に注意が必要です。

早期再就職支援制度の活用

失業手当を受給している方が早期に再就職した場合、早期再就職支援制度を活用することで、再就職手当を受け取れる可能性があります。

再就職手当は、早期の再就職を支援し、安定した雇用を促進するための制度です。

再就職手当の支給要件

再就職手当を受け取るためには、以下のすべての要件を満たす必要があります。

項目	内容
受給資格の決定日後の再就職	待機期間満了後の再就職であること
支給残日数	失業手当の支給残日数が所定の数以上であること
1年超の安定した雇用	1年を超えて勤務することが確実であること
雇用保険の被保険者となる	雇用保険の被保険者となる雇用であること
離職理由との関係	離職理由が倒産・解雇などの場合は、待機期間満了後1か月以内に再就職したものではないこと
過去3年以内の受給歴	過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと
密接な関係でないこと	再就職先が離職前の事業主と密接な関係にないこと
受給資格決定前の雇用予約	受給資格決定日前から採用内定を得ていないこと
求職活動の実施	適切な求職活動を行っていること
雇用促進効果	雇用保険法に定める「雇用促進効果」のある職業に就いたこと

再就職手当の支給要件は細かく設定されているため、ご自身が対象となるかどうかを事前にハローワークで確認することをおすすめします。

支給額の計算方法

再就職手当の支給額は、失業手当の支給残日数と再就職までの期間によって異なります。

支給残日数	計算方法
所定給付日数の3分の2以上	基本手当日額 × 支給残日数 × 70%
所定給付日数の3分の1以上	基本手当日額 × 支給残日数 × 60%

例えば、基本手当日額が5,000円で、支給残日数が90日、所定給付日数の3分の2以上残っている場合、再就職手当の支給額は5,000円 × 90日 × 70% = 315,000円となります。

再就職手当の支給額は、再就職のタイミングによって大きく変わるため、早期に再就職するほど有利になります。

早期再就職のメリット

早期に再就職することには、経済的なメリットだけでなく、キャリア形成や精神的な安定にもつながるメリットがあります。

メリット	内容
経済的な安定	失業手当の受給期間に縛られず、早期に給与所得を得られる
キャリアの継続	スキルや経験を活かしてキャリアを継続し、さらに発展させられる
スキルアップの機会	新しい職場での経験を通じて、新たなスキルや知識を習得できる
モチベーションの維持	目標を持って仕事に取り組むことで、生活にハリが生まれ、自己肯定感が高まる
社会とのつながりの維持	仕事を通じて社会とのつながりを保ち、孤立感を解消できる
精神的な安定	経済的な不安や将来への心配が軽減され、精神的な安定が得られる

早期再就職は、失業期間が長引くことによるデメリットを回避し、新たなキャリアをスタートさせるチャンスとなります。

積極的に求職活動を行い、早期の再就職を目指しましょう。

ハローワークへの相談

退職後の生活設計において、ハローワークへの相談は非常に重要な第一歩です。

ハローワークでは、失業手当に関する疑問点の解消から、個別の状況に応じた対応、そして適切なアドバイスと支援まで、総合的なサポートを受けることができます。

疑問点の解消

失業手当に関して「自分は受給できるのか」「いくらもらえるのか」「手続きはどうすればいいのか」といった疑問はつきものです。

ハローワークでは、これらの疑問に専門の相談員が丁寧に答えてくれます。

個別状況への対応

失業手当の受給条件は、離職理由や雇用保険の加入期間など、個人の状況によって異なります。

ハローワークでは、相談者の状況を詳しくヒアリングし、受給資格の有無や必要な手続きについて個別にアドバイスをしてくれます。

適切なアドバイスと支援

ハローワークでは、失業手当に関する相談だけでなく、再就職に向けた支援も行っています。

求職活動の方法や職業訓練など、再就職に必要な情報や支援を受けることができます。

支援内容	詳細
職業相談	個別のスキルや希望に合わせた求人情報の提供
職業訓練	スキルアップやキャリアチェンジのための講座の紹介と受講支援
求人情報の提供	ハローワークだけでなく、民間の求人サイトの情報も提供
応募書類の添削	履歴書や職務経歴書など、応募書類の書き方についてアドバイス
面接対策	面接での自己PRの方法や、よく聞かれる質問への対策
各種セミナーの開催	キャリアプランニング、自己分析、業界・企業研究などのテーマでセミナーを開催

ハローワークへの相談は、失業手当の受給だけでなく、再就職への確かな一歩となるでしょう。

よくある質問（FAQ）

失業手当は雇用保険に加入していれば誰でももらえますか？

雇用保険への加入期間や離職理由などの条件を満たす必要があり、誰でも受給できるわけではありません。

受給条件の詳細は、ハローワークで確認できます。

退職理由が自己都合の場合、失業手当はもらえないのでしょうか？

自己都合退職でも、雇用保険の加入期間などの条件を満たせば失業手当を受給できます。

ただし、会社都合退職に比べて給付開始が遅くなる場合があります。

失業手当の受給額はどのように計算されるのですか？

原則として、離職日直前の6ヶ月間に支払われた賃金に基づいて計算されます。

賃金日額に給付率を掛けたものが基本手当日額となり、これに受給期間を掛けて受給総額を算出します。

失業手当を受給しながらアルバイトはできますか？

アルバイトは可能ですが、労働時間によっては失業手当が減額または支給停止となる場合があります。

週20時間以上の労働は雇用保険の加入条件を満たすため、基本手当は支給停止になります。

ハローワークでの手続きはどのように進めれば良いですか？

ハローワークで求職の申し込みを行い、受給説明会に参加し、失業認定を受ける必要があります。

必要な書類を準備し、ハローワークの指示に従って手続きを進めましょう。

早期に再就職した場合、何か特典はありますか？

早期再就職支援制度を活用することで、再就職手当を受け取れる可能性があります。

再就職手当の支給要件を満たしているか、ハローワークで確認してみましょう。

まとめ

この記事では、失業手当の受給額について、ご自身の状況を把握することが重要だと解説しました。

失業手当についてさらに詳しく知りたい場合は、ハローワークに相談して、再就職に向けて一歩踏み出しましょう。