自己都合の退職給付金｜知っておくべき受給資格と手続き

退職後の生活設計において、経済的な安定は不可欠です。

自己都合退職でも、退職給付金を受け取れる可能性があることをご存知でしょうか？ 雇用保険（失業保険）を中心に、受給資格と手続きについて解説します。

退職後の生活を支えるためには、退職給付金に関する知識が重要です。

自己都合退職の場合、会社都合退職に比べて受給条件が厳しくなりますが、失業保険（基本手当）やその他の給付金、支援制度を活用することで、生活を安定させることが可能です。

退職後の主な収入源を把握し、計画的に資金を準備しましょう。

この記事でわかること

自己都合の退職給付金｜受給資格と手続き

退職後の生活設計において、経済的な安定は非常に重要です。

自己都合退職の場合でも、退職給付金を受け取れる可能性があります。

ここでは、退職後の生活を支えるための重要な知識として、雇用保険（失業保険）の受給資格と手続きについて解説します。

退職後の生活設計に欠かせない知識

退職後の生活設計を立てる上で、退職給付金に関する知識は不可欠です。

自己都合退職の場合、会社都合退職に比べて受給条件が厳しくなるものの、雇用保険の失業保険（基本手当）を中心に、様々な給付金や支援制度を活用することで、退職後の生活を支えることが可能です。

退職後の主な収入源としては、以下のものが挙げられます。

収入源	概要
雇用保険（失業保険/基本手当）	離職者が再就職までの生活を支えるための給付金。自己都合退職でも受給可能
退職金	会社に長年勤務した従業員に対して支払われる一時金
企業年金	会社が従業員の退職後の生活のために積み立てる年金
個人年金	個人で加入する年金保険
預貯金	これまでの貯蓄
不動産収入	所有する不動産からの賃料収入
投資収入	株式や投資信託などからの配当金や売却益

退職後の生活設計を立てる際には、これらの収入源を総合的に考慮し、退職後の生活費や目標に合わせて、計画的に資金を準備していくことが重要です。

雇用保険（失業保険）を中心に解説

雇用保険（失業保険）は、労働者が失業した場合に、再就職までの生活を支援するために国が提供する保険制度です。

雇用保険は、労働者の生活と雇用の安定を図ることを目的としており、失業した場合だけでなく、育児や介護のために休業した場合、あるいは職業訓練を受ける場合など、様々な状況に応じて給付金が支給されます。

ここでは、自己都合退職の場合に受給できる可能性のある失業保険（基本手当）について詳しく解説します。

失業保険（基本手当）の受給要件は以下の通りです。

要件	内容
離職理由	倒産・解雇などによる離職（会社都合退職）だけでなく、自己都合退職も含む
雇用保険加入期間	離職日以前2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上あること。ただし、倒産・解雇などによる離職の場合は、離職日以前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上あれば受給可能
働く意思と能力	積極的に求職活動を行える状態であること。病気やケガ、妊娠・出産・育児などの理由ですぐに働けない場合は、受給期間の延長手続きを行うことで、後日受給が可能
求職活動	ハローワークで求職の申し込みを行い、積極的に再就職活動を行っていること
受給資格の決定	ハローワークで受給資格の決定を受けること

自己都合退職の場合、給付制限があるため、会社都合退職に比べて受給開始が遅れる点に注意が必要です。

自己都合退職と失業保険の受給条件

自己都合退職でも、条件を満たせば失業保険の受給は可能です。

退職後の生活を支える上で重要な制度なので、受給資格や手続きをしっかり確認しましょう。

以下に、自己都合退職における失業保険の受給条件、給付制限期間、ハローワークでの手続きの流れについて詳しく解説します。

これらの情報を把握することで、スムーズな受給手続きを進められます。

雇用保険の加入期間と受給資格の関係

雇用保険の加入期間は、失業保険の受給資格を判断する上で非常に重要な要素です。

自己都合退職の場合、原則として退職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上必要です。

この加入期間を満たしていない場合、残念ながら失業保険を受給する資格はありません。

雇用保険の加入期間	受給資格
12ヶ月以上	受給資格あり
12ヶ月未満	受給資格なし

自己都合退職における給付制限期間

自己都合退職の場合、会社都合退職とは異なり、給付制限期間が設けられています。

原則として、受給資格が決定した日から7日間の待機期間満了後、2ヶ月間の給付制限期間があります。

ただし、2025年4月以降は、この給付制限期間が1ヶ月に短縮される予定です。

この期間中は、失業保険は支給されないため、注意が必要です。

退職理由	待機期間	給付制限期間
会社都合	7日間	なし
自己都合	7日間	2ヶ月（2025年4月以降は1ヶ月）

ハローワークでの手続きの流れ

失業保険を受給するためには、ハローワークでの手続きが必要不可欠です。

まず、住所を管轄するハローワークで求職の申し込みを行い、受給資格の決定を受ける必要があります。

その後、雇用保険説明会に参加し、失業保険の受給に関する説明を受けましょう。

原則として4週間に1度、ハローワークで失業の認定を受ける必要があり、認定を受けるためには、求職活動の実績が求められます。

手順	内容
1	ハローワークで求職の申し込み
2	雇用保険説明会への参加
3	失業認定（原則4週間に1度）
4	失業保険の受給

失業保険の受給額をシミュレーション

失業保険の受給額は、退職前の賃金や年齢、雇用保険の加入期間などによって大きく変動するため、正確な金額を知るためには、ご自身の状況に合わせたシミュレーションが重要です。

失業保険の受給額は、賃金日額や年齢、退職理由などによって計算方法が異なり、早期再就職した場合には再就職手当も支給されます。

本見出しでは、これらの要素を踏まえた受給額のシミュレーション方法について解説します。

賃金日額と基本手当日額の計算方法

賃金日額とは、退職日直前の6ヶ月間の賃金（賞与は除く）を180で割った金額のことで、失業保険の受給額を計算する上で基本となる数値です。

基本手当日額は、賃金日額に一定の給付率を掛けて算出されます。

給付率は、賃金が低いほど高く設定されており、50%から80%の間で変動します。

具体的には、以下の計算式で算出します。

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率

年齢と退職理由による給付率の違い

給付率は、年齢が低いほど、また、会社都合退職の場合に高く設定される傾向にあります。

自己都合退職の場合、給付率は年齢に関わらず一律ですが、会社都合退職の場合は、年齢に応じて給付率が優遇される場合があります。

年齢	自己都合退職	会社都合退職
29歳以下	50%～80%	60%～80%
30～44歳	50%～80%	50%～80%
45～59歳	50%～80%	50%～80%
60歳以上	50%～80%	50%～80%

早期再就職した場合の再就職手当

失業保険の受給資格者が、給付日数を一定以上残して早期に再就職した場合、再就職手当が支給されます。

再就職手当は、早期の再就職を促すための制度で、給付日数の残日数が多いほど、支給額も高くなります。

具体的には、以下の計算式で算出します。

再就職手当 = 基本手当日額 × 残給付日数 × 支給率

支給率は、残給付日数が所定給付日数の3分の2以上で70%、3分の1以上で60%となります。

自己都合退職後の再就職でも、要件を満たせば再就職手当を受け取れます。

ハローワークで詳細を確認しましょう。

失業保険以外の給付金・支援制度

失業保険（基本手当）は、再就職までの生活を支える重要な制度ですが、それ以外にも退職後の状況や個人のニーズに応じて利用できる給付金や支援制度が数多く存在します。

これらの制度を理解し、活用することで、より安心して再就職活動に取り組むことが可能です。

ここでは、求職者支援制度、傷病手当金、未払賃金立替払制度の3つについて、詳しく解説します。

求職者支援制度でスキルアップを目指す

求職者支援制度は、雇用保険を受給できない求職者に対し、スキルアップのための職業訓練を提供し、再就職を支援する制度です。

この制度は、特定の条件を満たすことで、訓練期間中の生活費を支援する給付金を受けながら、無料で職業訓練を受講できる点が大きな魅力です。

訓練コースは、ITスキル、介護、医療事務など多岐にわたり、未経験の分野でも新たなスキルを習得し、就職のチャンスを広げることが可能です。

求職者支援制度の主なメリット

項目	内容
受講料	無料
給付金	月額10万円の職業訓練受講給付金
対象者	雇用保険を受給できない求職者
訓練分野	IT、介護、医療事務など

傷病手当金で病気療養中の生活をサポート

傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やケガで働けなくなった場合に、生活を保障するために支給される制度です。

退職後も、一定の条件を満たせば、継続して傷病手当金を受給できる可能性があります。

この制度は、病気やケガによる収入減を補填し、安心して療養に専念できる環境を提供することを目的としています。

傷病手当金の受給要件

未払賃金立替払制度で未払い賃金を確保

未払賃金立替払制度は、会社が倒産した場合に、未払いとなっている賃金の一部を国が立て替えて支払う制度です。

この制度は、賃金の未払いに直面した労働者の生活を守ることを目的としています。

未払い賃金の全額が補償されるわけではありませんが、一定の範囲で立て替え払いを受けられるため、生活の安定に繋がります。

未払賃金立替払制度の主な要件

項目	内容
対象	会社が倒産した場合
対象者	倒産日の6ヶ月前の日から2年間に退職した労働者
立替払い	未払い賃金の8割 (上限あり)

失業保険以外にも様々な給付金や支援制度があることを覚えておきましょう。

これらの制度を理解し、適切に活用することで、退職後の生活をより安心して過ごすことができます。

退職後の生活を支えるためのステップ

退職後の生活を経済的に安定させるためには、失業保険の受給だけでなく、積極的に求職活動を行い、早期に再就職することが重要です。

ここでは、自己都合退職後に失業保険を受給しながら、再就職に向けて具体的にどのようなステップを踏むべきか説明します。

以下では、ハローワークでの求職申し込み、雇用保険説明会への参加、積極的な求職活動という3つのステップについて詳しく解説します。

ハローワークで求職の申し込みを行う

ハローワークでの求職申し込みは、失業保険の受給資格を得るための最初のステップです。

ハローワークは、求職者に対して職業相談や職業紹介を行う公共職業安定所です。

求職の申し込みを行うことで、失業保険の受給資格の有無を確認するとともに、専門の職員から再就職に関するアドバイスや支援を受けることができます。

雇用保険説明会に参加する

雇用保険説明会は、失業保険の受給に関する重要な情報を得るための機会です。

説明会では、失業保険の受給条件や手続き、求職活動の注意点などについて詳しく解説されます。

また、説明会に参加することで、失業保険の受給に関する疑問や不安を解消することができます。

積極的に求職活動を行い、早期再就職を目指す

積極的に求職活動を行うことは、失業保険の受給要件であるだけでなく、早期に再就職を果たすために不可欠です。

求職活動の方法としては、ハローワークの求人情報の閲覧、求人サイトの利用、転職エージェントの活用などがあります。

また、面接対策や履歴書・職務経歴書の作成など、再就職に必要なスキルを磨くことも重要です。

よくある質問（FAQ）

自己都合退職でも退職給付金はもらえますか？

自己都合退職の場合でも、雇用保険の加入状況や退職理由など、一定の条件を満たせば退職給付金を受け取れる可能性があります。

雇用保険の基本手当（失業保険）を中心に、様々な給付金制度を検討しましょう。

自己都合退職で失業保険をもらうには、雇用保険にどのくらいの期間加入している必要がありますか？

原則として、退職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上必要です。

この期間を満たしていない場合は、受給資格がないため注意が必要です。

自己都合退職の場合、失業保険はいつから支給されますか？

自己都合退職の場合、ハローワークで受給資格が決定した日から7日間の待機期間と、原則として2か月間の給付制限期間があります。

給付制限期間が明けた後から、失業保険の支給が開始されます。

失業保険の受給額はどのように計算されますか？

失業保険の受給額は、退職前の賃金に基づいて計算される賃金日額に、給付率を掛けて算出される基本手当日額と、給付日数によって決まります。

詳しい計算方法やご自身の受給額については、ハローワークで確認することをおすすめします。

失業保険以外にも退職後に利用できる給付金や支援制度はありますか？

はい、求職者支援制度、傷病手当金、未払賃金立替払制度など、様々な給付金や支援制度があります。

ご自身の状況やニーズに合わせて、これらの制度の利用を検討することで、退職後の生活をより安定させることが可能です。

退職後の再就職に向けて、どのようなステップを踏むべきですか？

ハローワークで求職の申し込みを行い、雇用保険説明会に参加して失業保険に関する情報を得ましょう。

ハローワークや転職エージェントなどを活用し、積極的に求職活動を行うことが重要です。

まとめ

自己都合で退職した場合でも、退職給付金を受け取れる可能性があることを解説しました。

特に、雇用保険（失業保険）の受給資格と手続きを理解することが重要です。

退職後の生活を आर्थिक रूप से 安定させるために、ハローワークで求職の申し込みを行い、積極的に再就職活動を進めていきましょう。