退職給付金｜受給のための【条件】をわかりやすく解説

退職後の生活を支える退職給付金は、まとまったお金が受け取れるため、生活の助けになる制度です。

しかし、退職給付金を受け取るには、雇用保険の加入状況や退職理由、年齢などの条件を満たす必要があります。

事前に条件を理解しておかないと、受け取れない可能性もあるため注意が必要です。

この記事では、退職給付金を受け取るための条件を詳しく解説します。

雇用保険の加入状況や退職理由、年齢といった基本的な条件から、企業年金の種類ごとの受給条件、退職給付金にかかる税金や受け取り方まで、幅広く網羅しています。

条件をしっかりと確認して、退職後の生活を安心して迎えましょう。

この記事でわかること

退職給付金を受け取る条件

退職給付金を受け取るためには、雇用保険の加入状況、退職理由、年齢という3つの条件を満たす必要があります。

退職給付金は、退職後の生活を支える重要な資金源です。

それぞれの条件を理解することで、自身が退職給付金を受け取れるかどうかを事前に把握できます。

特に、雇用保険の加入状況、退職理由、年齢の3つは重要な要素です。

雇用保険の加入状況

雇用保険は、労働者が失業した場合に生活の安定を支援するための保険です。

雇用保険の加入状況は、退職給付金を受け取るための重要な条件の1つです。

原則として、離職日以前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間が必要です。

ただし、会社都合退職の場合は、直近1年間に6ヶ月以上の加入で受給資格が得られる場合があります。

退職理由

退職理由も、退職給付金の受給資格に影響を与える重要な要素です。

退職理由は、自己都合退職と会社都合退職の大きく2つに分類されます。

自己都合退職の場合、給付制限期間が設けられているため、退職後すぐに退職給付金を受け取ることはできません。

一方、会社都合退職の場合は、給付制限期間がなく、自己都合退職よりも有利な条件で退職給付金を受給できる場合があります。

年齢

年齢は、退職給付金の種類や受給期間に影響を与える要素の1つです。

退職給付金の中には、年齢によって受給資格が異なるものがあります。

例えば、失業保険（基本手当）の受給期間は、離職時の年齢によって異なり、年齢が高いほど受給期間が長くなる傾向があります。

また、再就職手当や傷病手当金など、年齢制限のある給付金も存在します。

企業年金の種類ごとの受給条件

退職後の生活を支える企業年金は、種類によって受給条件が大きく異なります。

企業年金には、確定給付企業年金（DB）、確定拠出年金（DC）、厚生年金基金などがあり、加入期間や年齢、退職理由によって受給資格や受給額が変動します。

企業年金の種類	加入期間	年齢	退職理由
確定給付企業年金（DB）	10年以上	60歳以上	規定による
確定拠出年金（DC）	1ヶ月以上	60歳以上	なし
厚生年金基金	15年以上	60歳以上	規定による

確定給付企業年金（DB）の条件

確定給付企業年金（DB）とは、会社が従業員の将来の年金額を保証する年金制度です。

一般的に、10年以上の加入期間と60歳以上の年齢が受給資格の条件となります。

ただし、企業によっては早期退職した場合でも、一定の条件を満たせば減額された年金を受け取れる場合があります。

確定拠出年金（DC）の条件

確定拠出年金（DC）とは、従業員自身が運用して将来の年金額を増やす年金制度です。

1ヶ月以上の加入期間があり、60歳以上であれば、年金または一時金として受け取ることができます。

運用実績によって受給額が変動する点が特徴です。

厚生年金基金の条件

厚生年金基金とは、企業が厚生年金の一部を代行して運用する年金制度です。

原則として、15年以上の加入期間と60歳以上の年齢が受給資格の条件となります。

ただし、基金によっては解散や移行が進んでおり、他の年金制度に統合されている場合があります。

退職給付金にかかる税金と受け取り方

退職給付金は、退職後の生活を支える大切な資金源ですが、税金や受け取り方によって手取り額が大きく変わる可能性があります。

退職給付金にかかる税金は、退職所得控除という特別な税制が適用されます。

また、一時金として受け取るか、年金として受け取るかによっても税金の計算方法が異なります。

ご自身にとって最適な受け取り方を選択することが重要です。

退職所得控除の活用

退職所得控除は、長年の勤務に対する慰労の意味合いから設けられた制度で、退職金にかかる税金を軽減することができます。

退職所得控除額は、勤続年数に応じて計算され、勤続年数が長いほど控除額も大きくなります。

例えば、勤続年数が20年以下の場合、控除額は40万円×勤続年数で計算されます。

また、勤続年数が20年を超える場合は、800万円+70万円×（勤続年数-20年）で計算されます。

退職所得控除を活用することで、退職金にかかる税金を大幅に減らすことができます。

一時金と年金、どちらで受け取るべきか

退職給付金の受け取り方には、一時金として一括で受け取る方法と、年金として分割で受け取る方法があります。

どちらの受け取り方が有利かは、個人の状況によって異なります。

一時金で受け取る場合、退職所得控除の適用を受けることができ、税金を抑えることができます。

一方、年金で受け取る場合、毎年一定額を受け取ることができ、安定した収入を確保できます。

どちらを選ぶべきか迷ったら、税理士やファイナンシャルプランナーに相談して、ご自身の状況に合ったアドバイスを受けるのがおすすめです。

確定申告の手続き

退職給付金を受け取った場合、原則として確定申告が必要です。

ただし、退職所得申告書を提出している場合は、確定申告が不要となる場合もあります。

退職所得申告書は、退職時に会社から配布される書類で、必要事項を記入して会社に提出することで、退職所得控除を受けることができます。

確定申告を行う場合は、源泉徴収票や退職所得の源泉徴収票などの書類が必要となります。

確定申告の期間は、通常、毎年2月16日から3月15日までです。

確定申告の手続きに不安がある場合は、税務署や税理士に相談して、サポートを受けるのがおすすめです。

よくある質問（FAQ）

退職給付金は雇用保険に加入していなくても受け取れますか？

雇用保険の加入状況は、退職給付金を受け取るための重要な条件の一つです。

原則として、離職日以前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間が必要です。

雇用保険に加入していない場合、退職給付金を受け取ることは難しいといえます。

自己都合退職の場合、退職給付金はいつもらえますか？

自己都合退職の場合、会社都合退職と比べて退職給付金の受給開始が遅れる場合があります。

自己都合退職の場合、給付制限期間が設けられているため、退職後すぐに退職給付金を受け取ることはできません。

退職給付金は年齢によって受給額が変わりますか？

退職給付金の中には、年齢によって受給資格が異なったり、受給期間が変動したりするものがあります。

例えば、失業保険（基本手当）の受給期間は、離職時の年齢によって異なり、年齢が高いほど受給期間が長くなる傾向があります。

確定拠出年金（DC）は、加入期間が短くても受け取れますか？

確定拠出年金（DC）は、1ヶ月以上の加入期間があり、60歳以上であれば、年金または一時金として受け取ることができます。

確定拠出年金は、従業員自身が運用して将来の年金額を増やす年金制度で、運用実績によって受給額が変動する点が特徴です。

退職所得控除は、どれくらいの金額まで控除できますか？

退職所得控除額は、勤続年数に応じて計算されます。

勤続年数が20年以下の場合、控除額は40万円×勤続年数で計算されます。

また、勤続年数が20年を超える場合は、800万円+70万円×（勤続年数-20年）で計算されます。

退職給付金を受け取った場合、必ず確定申告が必要ですか？

退職給付金を受け取った場合、原則として確定申告が必要です。

ただし、退職所得申告書を提出している場合は、確定申告が不要となる場合もあります。

退職所得申告書は、退職時に会社から配布される書類で、必要事項を記入して会社に提出することで、退職所得控除を受けることができます。

まとめ

この記事では、退職後の生活を支える退職給付金を受け取るための条件について解説しました。

退職給付金は、退職後の生活を支える大切な資金源です。

本記事を参考に、ご自身が退職給付金を受け取るための条件を満たしているか確認し、計画的な老後設計に役立ててください。