会社都合で退職したはずなのに、自己都合として扱われて納得がいかない方もいるのではないでしょうか。
退職理由によっては、失業手当の受給額や時期に影響が出る可能性があるため、注意が必要です。
この記事では、特定理由離職者が自己都合と判断される理由や、ハローワークの判断基準について詳しく解説します。
必要な証拠書類や不服申し立ての方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

特定理由離職だと思っていたのに、自己都合と言われて納得がいかない…

ハローワークの判断基準を理解し、客観的な証拠を揃えることで、自己都合と判断されるリスクを減らすことができます。
この記事でわかること
- 特定理由離職者の種類
- 自己都合と判断される理由
- 不服申し立ての方法
特定理由離職者が自己都合になる理由
特定理由離職者として退職したはずなのに、自己都合として扱われるケースがあります。
これは、一見やむを得ない理由に見える退職理由でも、ハローワークの判断基準を満たしていない場合に起こり得ます。
予期せぬ失業手当の減額や給付制限に繋がる可能性があるため、注意が必要です。
ハローワークの判断基準と客観的証拠の重要性について解説します。
客観的な証拠を揃えて、自己都合と判断されないようにしましょう。
やむを得ない事情と自己都合の線引き
特定理由離職は、倒産や解雇といった会社都合だけでなく、病気や家族の介護など、やむを得ない理由で退職した場合に認められる可能性があります。
しかし、「やむを得ない」と判断されるには、客観的な証明が求められます。

特定理由離職だと思っていたのに、自己都合と言われて納得がいかない…

ハローワークの判断基準を理解し、客観的な証拠を揃えることで、自己都合と判断されるリスクを減らすことができます。
例えば、体調不良で退職した場合、医師の診断書が必要です。
家族の介護が必要になった場合は、要介護認定を受けていることや、同居家族の状況を示す書類などが求められます。
これらの書類が不十分な場合、自己都合と判断される可能性があります。
退職理由を伝える際には、以下の点に注意しましょう。
- 具体的な状況を説明する:抽象的な表現ではなく、具体的な出来事や状況を説明する
- 客観的な証拠を提示する:診断書や介護を必要とする家族の状況を示す書類など、客観的な証拠を提示する
- 退職せざるを得なかった理由を明確にする:退職以外の選択肢がなかったことを説明する
これらの点を意識することで、ハローワークに「やむを得ない」と判断してもらえる可能性が高まります。
ハローワークの判断基準と客観的証拠の重要性
ハローワークは、特定理由離職者を判断する際、個々の状況を総合的に考慮します。
しかし、最終的な判断は、提出された証拠に基づいて行われます。
口頭での説明だけでは、なかなか理解してもらえないのが現状です。

どのような証拠を提出すれば、特定理由離職者として認められるの?

ハローワークは、客観的な証拠に基づいて判断するため、根拠となる書類を揃えて提出することが重要です。
客観的な証拠として有効なものは以下の通りです。
| 証拠書類 | 内容 |
|---|---|
| 医師の診断書 | 病状や治療の必要性など、就業が困難であることを証明する |
| 介護を要する親族の状況を示す書類 | 要介護認定を受けていることや、同居家族の状況など、介護が必要であることを証明する |
| 会社の退職証明書 | 退職理由が特定理由離職者に該当することを示す |
| 労働条件通知書 | 労働条件が明示されていることを証明する。 |
これらの証拠を揃えることで、ハローワークに「やむを得ない」と判断してもらえる可能性が高まります。
もし、自己都合と判断された場合でも、諦めずに不服申し立てを検討しましょう。
不服申し立てには期限があるため、早めに手続きを行うことが重要です。
知っておくべき特定理由離職者の種類
特定理由離職者は、倒産や解雇といった会社都合だけでなく、やむを得ない事情で自己都合退職した場合にも該当する可能性があります。
ただし、ハローワークが個別の状況をヒアリングし、提出された証明書類に基づいて判断するという点が重要です。
どのようなケースが特定理由離職者に該当するかを知っておくことで、いざという時に適切な対応ができるようになります。
この章では、体力不足や病気、家族事情など、特定理由離職者として認められる可能性のある具体的なケースを解説します。
それぞれのケースで必要な証明書類や注意点も解説することで、スムーズな手続きを支援することが目的です。
体力不足や病気による離職
体力不足や病気による離職は、特定理由離職者として認められる可能性があります。
離職がやむを得ないものと判断されるためには、医師の診断書が重要な役割を果たします。
診断書には、病名や症状だけでなく、就業が困難である旨が明記されている必要があります。
具体的な病状や治療内容、療養期間などが詳細に記載されているほど、ハローワークでの審査がスムーズに進みます。

体力的に仕事がきつい…

診断書があれば特定理由離職者として認められる可能性があるよ!
体力が低下して業務を継続することが難しい場合、例えば、以下のようなケースが考えられます。
| 離職理由 | 具体例 | 必要な書類 |
|---|---|---|
| 慢性的な腰痛 | 長時間労働や肉体労働により、慢性的な腰痛が悪化し、業務に支障をきたす。 | 医師の診断書 |
| うつ病などの精神疾患 | 仕事のストレスやプレッシャーにより、うつ病を発症し、休職を余儀なくされた。 | 医師の診断書 |
| 視力低下 | パソコン作業の増加や加齢により、視力が著しく低下し、業務に支障をきたす。 | 医師の診断書 |
| 感染症 | 新型コロナウイルス感染症に罹患し、後遺症により体力が低下し、元の業務に戻ることが難しい。 | 医師の診断書 |
| 治療による副作用 | 抗がん剤治療などの副作用により、倦怠感や吐き気などが強く、業務を継続することが難しい。 | 医師の診断書 |
病気やケガによる離職は、診断書に基づいて判断されるため、客観的な証拠が重要になります。
家族事情による離職
家族事情による離職も、特定理由離職者として認められる場合があります。
親族の介護や看護が必要となり、仕事との両立が困難な場合が該当します。
この場合、ハローワークは、要介護者の状態や、他に介護できる家族がいるかどうかなどを総合的に判断します。
介護保険証や医師の診断書など、介護が必要な状況を証明する書類を揃えておくことが重要です。

親の介護で仕事を辞めざるを得ない…

介護が必要な状況を証明する書類を準備しておくと、特定理由離職者として認められる可能性が高まります。
家族事情による離職として認められるケースの例を挙げます。
| 離職理由 | 具体例 | 必要な書類 |
|---|---|---|
| 親の介護 | 実家の親が要介護状態となり、同居して介護する必要が生じた。 | 介護保険証、医師の診断書、親族関係を証明する書類 |
| 子の看護 | 子どもが病気やケガで入院し、付き添いが必要となった。 | 医師の診断書、母子手帳 |
| 家族の転勤 | 配偶者の転勤に伴い、転居する必要が生じ、通勤が困難になった。 | 転勤辞令、住民票 |
| 家族の死亡 | 親族が亡くなり、葬儀や相続手続きなどで一時的に仕事を休む必要が生じた。 | 死亡診断書、戸籍謄本 |
| DV被害 | 配偶者からDVを受けており、身の安全を確保するために離職せざるを得なくなった。 | 警察への相談記録、医師の診断書、保護命令 |
家族事情による離職は、個々の状況によって判断が分かれるため、事前にハローワークに相談することをおすすめします。
会社都合と判断されないケース
特定理由離職者に該当する可能性がある場合でも、必ずしも会社都合とは判断されないケースがあります。
例えば、自己都合退職を促された場合や、労働条件の変更に合意した場合などです。
自己都合退職を促された場合でも、会社からの退職勧奨に応じた場合は、特定理由離職者として認められる可能性があります。
しかし、自主的に退職願を提出した場合は、自己都合退職となる可能性が高くなります。

会社から辞めてほしいと言われたけど…

退職勧奨に応じた場合は、会社都合として扱われる可能性があります。
労働条件の変更に合意した場合も、注意が必要です。
例えば、給与が減額されたり、勤務地が変更されたりした場合でも、労働者が合意した場合は、原則として自己都合退職となります。
ただし、労働条件の変更が著しく、労働者が生活を維持することが困難になった場合は、特定理由離職者として認められることもあります。
| 会社都合と判断されないケース | 具体例 | 必要な確認 |
|---|---|---|
| 自己都合退職を促された場合 | 上司から「君には向いていない」などと言われ、退職を決意した場合。 | 退職勧奨を受けたことを証明する証拠(録音データ、メールなど) |
| 労働条件の変更に合意した場合 | 給与が1割減額されたが、生活には支障がないと判断して合意した場合。 | 労働条件変更に関する合意書、給与明細 |
| 契約期間満了 | 契約社員として働いていたが、契約更新されなかった場合(3年未満の雇用の場合)。 | 労働契約書 |
| 職場での人間関係 | 職場での人間関係がうまくいかず、退職を決意した場合(ハラスメントなどの明確な証拠がない場合)。 | 上司や同僚との面談記録、相談記録(ハラスメントの場合は、その証拠) |
会社都合と判断されないケースは、個々の状況によって判断が異なります。
事前にハローワークに相談し、必要な書類や手続きを確認することをおすすめします。
自己都合と判断された際の対処法
特定理由離職者として申請したにもかかわらず、自己都合と判断された場合、まずはハローワークの判断理由を明確に理解することが重要です。
納得がいかない場合は、必要な手続きを踏むことで、判断が覆る可能性があります。
ハローワークへの不服申し立て
自己都合と判断された場合、ハローワークに対して不服申し立てを行うことが可能です。
不服申し立ては、ハローワークの決定に納得がいかない場合に、その決定の取り消しや変更を求める手続きです。
不服申し立てを行うことで、改めて自身の状況をハローワークに伝え、再審査を求めることができます。

自己都合の理由に納得がいかない場合はどうすれば良いですか?

まずはハローワークに不服申し立てをしましょう。
不服申し立てを行う際には、まずハローワークに「審査請求」を行う旨を伝えます。
審査請求は、決定があったことを知った日の翌日から3ヶ月以内に行う必要があります。
口頭ではなく、書面で提出することが推奨されます。
審査請求書には、決定に対する不服の理由を具体的に記載します。
単に感情的な不満を述べるのではなく、客観的な事実や証拠に基づいて、なぜ自己都合と判断された決定が誤りであるかを明確に説明することが重要です。
証拠となる書類の準備
不服申し立てを成功させるためには、客観的な証拠となる書類を準備することが不可欠です。
証拠書類は、自身の主張を裏付けるための重要な根拠となります。
例えば、病気やケガで退職した場合、医師の診断書は重要な証拠となります。
診断書には、病名、症状、治療内容、そして就労が困難であるという医師の判断が明記されている必要があります。
また、家族の介護が必要になった場合、介護を必要とする家族の状況を証明する書類や、他に介護できる人がいないことを示す書類が必要です。

どんな書類が証拠になりますか?

医師の診断書や介護が必要な家族の状況を証明する書類などです。
ハローワークが重視する証拠書類の種類をまとめました。
| 証拠書類の種類 | 詳細 |
|---|---|
| 医師の診断書 | 病名、症状、治療内容、就労が困難であるという医師の判断が明記されている |
| 介護に関する証明書 | 介護を必要とする家族の状況や、他に介護できる人がいないことを示す書類 |
| その他 | 離職理由を客観的に証明できる書類(会社の規定、メールなど) |
専門家への相談も検討
不服申し立ての手続きや必要な書類の準備に不安がある場合は、専門家への相談も検討すると良いでしょう。
社会保険労務士や弁護士などの専門家は、労働法や雇用保険に関する豊富な知識と経験を持っており、個別の状況に応じた適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。

誰に相談すれば良いかわかりません。

社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談してみましょう。
専門家への相談は、有料となる場合がありますが、不服申し立てを成功させるための有益な投資となる可能性があります。
専門家は、不服申し立ての手続きを代行したり、必要な書類の作成をサポートしたり、ハローワークとの交渉を代行したりすることができます。
また、専門家は、自身の状況を客観的に分析し、不服申し立てを成功させるための戦略を立てることもできます。
よくある質問(FAQ)
- 特定理由離職者が自己都合になるのはなぜですか?
-
一見やむを得ない理由に見える退職理由でも、ハローワークの判断基準を満たしていない場合、自己都合として扱われることがあります。
客観的な証明が求められるため、具体的な状況を説明し、客観的な証拠を提示することが重要です。
- 特定理由離職者として認められるには、どのようなケースがありますか?
-
体力不足や病気、家族事情など、やむを得ない事情で自己都合退職した場合に認められる可能性があります。
医師の診断書や介護保険証など、状況を証明する書類が必要になります。
- 体力不足や病気で離職する場合、どのような書類が必要ですか?
-
医師の診断書が必要です。
診断書には、病名や症状だけでなく、就業が困難である旨が明記されている必要があります。
- 家族の介護で離職する場合、どのような書類が必要ですか?
-
介護保険証や医師の診断書など、介護が必要な状況を証明する書類が必要です。
他に介護できる家族がいるかどうかなども考慮されます。
- 自己都合と判断された場合、どうすれば良いですか?
-
まずはハローワークの判断理由を明確に理解し、納得がいかない場合は、ハローワークに対して不服申し立てを行うことができます。
審査請求書を提出し、客観的な証拠となる書類を準備することが重要です。
- 不服申し立ての手続きが難しい場合、誰に相談すれば良いですか?
-
社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
労働法や雇用保険に関する豊富な知識と経験に基づいて、適切なアドバイスやサポートを受けることができます。
まとめ
この記事では、特定理由離職者が自己都合と判断される理由について解説しました。
客観的な証拠を揃えることの重要性を理解していただけたかと思います。
- 特定理由離職者が自己都合と判断される理由
- ハローワークの判断基準と必要な証拠
- 自己都合と判断された際の対処法
今一度この記事を参考に、ご自身の状況を整理し、必要な手続きを進めていきましょう。
