特定理由離職者｜病気で退職？失業保険受給の条件と手続きを徹底解説

病気で退職した場合、将来への不安を感じるのは当然です。

失業保険は、そんな状況を支えるための大切な制度であることをご存知でしょうか？

この記事では、病気を理由に退職した場合に、特定理由離職者として失業保険を受給するための条件や手続きを徹底解説します。

受給要件、申請方法、注意点を知っておくことで、安心して再就職への準備を進めることができます。

この記事でわかること

特定理由離職者の病気退職｜失業保険受給の条件

病気で退職した場合でも、特定理由離職者として認められれば、失業保険を受給できる可能性があります。

受給するためには、特定理由離職者の定義を理解し、必要な要件を満たす必要があります。

特定理由離職者の定義と受給要件について、以下で詳しく解説します。

それぞれの要件をしっかり確認することで、スムーズな失業保険の受給につなげることが可能です。

特定理由離職者の定義と受給要件

特定理由離職者とは、やむを得ない理由で離職した者を指します。

失業保険の受給において、特定理由離職者として扱われることで、受給資格が緩和されたり、給付制限期間が免除されるなどのメリットがあります。

特定理由離職者と認められるための定義と受給要件を、以下にまとめました。

項目	内容
定義	やむを得ない理由で離職した者
受給要件	離職日以前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上あること、働く意思と能力があること、求職活動を行っていること
メリット	受給資格の緩和、給付制限期間の免除
証明書類	離職理由を証明する書類（例：医師の診断書、事業主の証明書など）
ハローワーク	ハローワークで特定理由離職者としての認定を受ける必要あり
注意点	虚偽の申請は不正受給となる

特定理由離職者の定義

特定理由離職者とは、「期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと」や「病気、負傷、または心身の障害により離職した場合」など、やむを得ない理由で離職した人のことです。

具体的には、以下のケースが特定理由離職者に該当します。

病気による離職が該当するケース

病気による離職が特定理由離職者に該当するためには、医師の診断書などにより、病気やケガのために業務を続けることが困難になったと認められる必要があります。

具体的には、以下のようなケースが該当します。

受給要件の確認ポイント

特定理由離職者として失業保険を受給するためには、以下の要件を満たしている必要があります。

被保険者期間

雇用保険に加入していた期間が、離職日以前1年間に6ヶ月以上必要です。

被保険者期間は、雇用保険被保険者証や離職票で確認できます。

働く意思と能力

失業保険は、働く意思と能力があるにもかかわらず、仕事に就けない状態の人を支援する制度です。

そのため、失業保険を受給するためには、働く意思と能力があることを示す必要があります。

求職活動

失業保険を受給するためには、積極的に求職活動を行う必要があります。

求職活動の具体的な内容としては、ハローワークでの求職相談、求人への応募、再就職支援セミナーへの参加などが挙げられます。

医師の診断書の重要性

病気を理由に離職した場合、医師の診断書は、特定理由離職者として認められるための重要な証拠となります。

診断書には、病名、症状、就業制限の内容などが具体的に記載されている必要があります。

診断書がない場合、ハローワークから追加の書類提出を求められることがあります。

ハローワークへの事前相談のすすめ

失業保険の受給手続きは、複雑で分かりにくい点が多くあります。

そのため、事前にハローワークに相談することをおすすめします。

ハローワークでは、個別の状況に応じて、必要な手続きや書類、受給要件などを詳しく説明してくれます。

また、求職活動のサポートも受けることができます。

特定理由離職者に該当するかどうか不安な場合は、ハローワークに相談して確認するようにしましょう。

失業保険受給のための申請手順

失業保険を受給するためには、適切な手順で申請を行うことが重要です。

申請に必要な書類準備からハローワークでの手続きまで、下記で詳しく解説していきます。

申請に必要な書類の準備

申請には、いくつかの書類を事前に準備する必要があります。

これらの書類は、あなたの離職理由や雇用状況を証明するために不可欠です。

書類名	備考
離職票	会社から発行される書類。離職理由や雇用期間などが記載されています。
個人番号確認書類	マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーが記載された住民票のいずれか。
本人確認書類	運転免許証、パスポート、健康保険証など。
証明写真	2枚必要。
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード	失業保険の振込先として使用します。

離職票の取得方法

離職票は、退職した会社から発行される重要な書類です。

通常、退職後10日程度で会社から郵送されます。

取得方法	詳細
会社からの郵送	退職後、会社がハローワークに離職の手続きを行うと、離職票が発行され、郵送されます。
会社に依頼	離職票がなかなか届かない場合は、会社に連絡して発行を依頼しましょう。
ハローワークに相談	会社が発行してくれない場合は、ハローワークに相談することで、対応してもらえる場合があります。

医師の診断書の準備

病気を理由に退職した場合、医師の診断書が必要となることがあります。

診断書は、あなたの病状や就労が困難な状態であることを証明する重要な書類です。

診断書のポイント	詳細
病名	診断書には、病名が明確に記載されている必要があります。
就労の可否	就労が困難な状態であることが明記されていることが重要です。
療養期間	療養に必要な期間が記載されていると、より手続きがスムーズに進みます。

その他の必要書類

上記以外にも、状況に応じて追加の書類が必要になる場合があります。

ハローワークに確認して、不足のないように準備しましょう。

書類名	備考
雇用保険被保険者証	雇用保険に加入していたことを証明する書類。
印鑑	シャチハタは不可。
マイナンバーカード	マイナンバーを確認するために必要。
住民票	住所を確認するために必要となる場合があります。

ハローワークでの手続き

必要な書類が揃ったら、ハローワークで失業保険の申請手続きを行います。

手続きの流れを把握し、スムーズに申請を進めましょう。

手続きの流れ	詳細
受給資格の確認	ハローワークで、あなたの雇用保険の加入状況や離職理由などを確認します。
求職の申し込み	ハローワークで求職の申し込みを行い、積極的に仕事を探す意思があることを示します。
雇用保険説明会への参加	失業保険の受給に関する説明会に参加し、受給条件や注意点などを確認します。
失業の認定	定期的にハローワークで失業の認定を受け、求職活動の状況を報告します。
失業保険の受給	失業の認定を受けた後、指定された日に失業保険が振り込まれます。

特定理由離職による失業保険受給の注意点

特定理由離職で失業保険を受給する際は、受給期間や傷病手当金との併給など、注意すべき点がいくつか存在します。

以下では、特定理由離職による失業保険の受給に関して、重要な注意点を解説します。

受給を検討している方は、以下の情報を参考に、スムーズな手続きを進めてください。

受給期間と給付制限

失業保険の受給期間は、離職理由や雇用保険の加入期間、年齢によって異なります。

区分	一般受給資格者(自己都合退職)	特定受給資格者・特定理由離職者(会社都合退職)
雇用保険加入期間	1年未満	1年未満
1年～5年未満	90日	90日
5年～10年未満	90日	120日
10年～20年未満	120日	180日
20年以上	150日	240日

受給期間を把握し、計画的に求職活動を行うことが重要です。

給付制限がないことのメリット

特定理由離職者は、自己都合退職に比べて給付制限がない点が大きなメリットです。

自己都合退職の場合、原則として2ヶ月間の給付制限がありますが、特定理由離職者の場合は、7日間の待機期間が終了すればすぐに失業保険を受給できます。

早期に失業保険を受給できるため、生活の安定を図りながら、求職活動に集中できます。

受給期間の確認方法

失業保険の受給期間は、ハローワークで確認できます。

離職票や雇用保険被保険者証などの必要書類を持参し、ハローワークの窓口で相談しましょう。

ハローワークの職員が、個別の状況に合わせて受給期間を算出し、丁寧に説明してくれます。

傷病手当金との併給について

病気やケガで退職した場合、傷病手当金と失業保険の併給は原則としてできません。

傷病手当金は、病気やケガで働けない期間に生活を保障するものであり、失業保険は、働く意思と能力があるにも関わらず就職できない場合に支給されるものです。

ただし、病気やケガが治癒し、働くことができる状態になった場合は、失業保険を受給できる可能性があります。

求職活動の注意点

失業保険を受給するためには、積極的に求職活動を行う必要があります。

ハローワークでの求職相談や職業訓練の受講、求人への応募などが求職活動として認められます。

求職活動の実績は、定期的にハローワークに報告する必要があるため、忘れずに記録しておきましょう。

病気で退職した際のサポート制度

病気で退職した場合、経済的な不安や生活の心配が大きくなるでしょう。

そのような状況を支えるために、傷病手当金や障害年金などのサポート制度が存在します。

これらの制度を理解し、活用することで、安心して療養に専念できます。

以下では、傷病手当金、障害年金、その他の相談窓口、経済的な不安への対処法について解説します。

それぞれの制度が、病気退職後の生活をどのようにサポートしてくれるのか、該当箇所を強調して確認していきましょう。

制度名	概要
傷病手当金	病気やけがで会社を休んだ際に、健康保険から支給される手当。
障害年金	病気やけがによって障害が残り、日常生活や仕事に支障がある場合に支給される年金。
その他の相談窓口	ハローワーク、社会福祉協議会など、生活に関する相談ができる窓口。
経済的な不安への対処法	生活費の見直し、公的扶助制度の利用など、経済的な負担を軽減する方法。

病気で退職した場合は、これらのサポート制度を活用し、経済的な不安を軽減しながら、安心して療養に専念することが重要です。

傷病手当金の受給要件と手続き

傷病手当金とは、病気やけがのために会社を休み、給与の支払いが受けられない場合に、健康保険から支給される手当のことです。

これにより、休業中の生活費を一部保障し、経済的な負担を軽減できます。

傷病手当金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。

傷病手当金を受給するための手続きは以下の通りです。

手順	内容
1	健康保険組合に申請書を提出: 健康保険組合のホームページからダウンロードできます。
2	医師の証明: 申請書には、医師に労務不能であることの証明を記載してもらう必要があります。
3	事業主の証明: 会社にも、給与の支払い状況などを証明してもらう必要があります。

傷病手当金は、受給要件を満たしていれば、休業中の生活を支える上で非常に重要な制度です。

申請には医師や会社との連携が必要となるため、事前にしっかりと準備しておきましょう。

障害年金の受給可能性

障害年金とは、病気やけがによって障害が残り、日常生活や仕事に支障がある場合に支給される年金です。

障害年金は、経済的な支援を通じて、障害を持つ方の生活を支えることを目的としています。

障害年金には、以下の2種類があります。

障害年金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。

障害年金の申請手続きは以下の通りです。

手順	内容
1	年金事務所に相談: 障害年金の制度や手続きについて、年金事務所で相談します。
2	必要書類の準備: 申請書、診断書、病歴・就労状況等申立書などの必要書類を準備します。
3	年金事務所に申請: 準備した書類を年金事務所に提出します。

障害年金は、受給が認められれば、毎月一定額の年金を受け取ることができます。

申請には専門的な知識が必要となる場合もあるため、年金事務所や社会保険労務士に相談することをおすすめします。

その他の相談窓口

病気で退職した場合、傷病手当金や障害年金以外にも、様々な相談窓口があります。

これらの窓口では、生活や仕事に関する相談、経済的な支援に関する情報提供などを受けることができます。

以下に、主な相談窓口を紹介します。

相談窓口	相談内容
ハローワーク	仕事に関する相談、職業訓練の案内、失業保険の受給資格に関する相談
社会福祉協議会	生活に関する相談、福祉サービスの利用支援
保健所	健康に関する相談、医療機関の紹介
市区町村の相談窓口	生活困窮者自立支援制度など、地域の支援制度に関する情報提供や相談

これらの相談窓口では、専門の相談員が親身になって相談に乗ってくれます。

一人で悩まずに、積極的に相談してみましょう。

経済的な不安への対処法

病気で退職した場合、収入が途絶えることで経済的な不安を感じることがあります。

そのような状況を乗り越えるために、生活費の見直しや公的扶助制度の利用を検討しましょう。

以下に、具体的な対処法を紹介します。

対処法	内容
生活費の見直し	家計簿をつけ、無駄な出費を削減する。固定費（家賃、光熱費、通信費など）の見直しも有効。
公的扶助制度の利用	生活保護、住宅手当、医療費助成などの制度を利用できる場合があります。市区町村の窓口で相談してみましょう。
不用品の売却	フリマアプリやリサイクルショップを利用して、不用品を売却し、収入を得ることもできます。
貸付制度の利用	緊急小口資金貸付、生活福祉資金貸付などの制度を利用できる場合があります。社会福祉協議会で相談してみましょう。

これらの対処法を組み合わせることで、経済的な不安を軽減し、安心して療養に専念することができます。

「少しでも不安を減らして、治療に集中したい」ですよね。

ハローワークで特定理由離職を相談する

ハローワークでは、特定理由離職に該当するかどうかの相談が重要です。

特定理由離職として認められるかどうかで、失業保険の受給条件や給付期間に大きな違いが生じます。

各見出しでは、相談前に確認すべきポイント、必要な書類、スムーズな相談のための準備、相談後の流れを解説します。

相談で確認すべきポイント

ハローワークの相談窓口では、以下のポイントを確認しましょう。

必要な書類

相談時には、以下の書類を準備しましょう。

書類名	詳細
離職票	会社から発行される書類
医師の診断書	病気やケガによる離職の場合に必要
雇用保険被保険者証	雇用保険に加入していたことを証明する書類
本人確認書類	運転免許証、マイナンバーカードなど
印鑑	手続きに必要な場合がある

スムーズな相談のための準備

スムーズな相談のためには、以下の準備をしましょう。

相談後の流れ

相談後には、以下の流れで手続きを進めます。

特定理由離職として認められた場合、自己都合退職に比べて有利な条件で失業保険を受給できます。

よくある質問（FAQ）

特定理由離職者として失業保険を受け取るには、どのような病気が対象になりますか？

医師の診断書で業務を続けることが困難であると認められる病気やけがが対象です。

医師から休養が必要と診断された場合や、治療のために退職せざるを得なくなった場合などが該当します。

病気で退職後、すぐに働くことが難しい場合でも失業保険はもらえますか？

体調が回復し、働く意思と能力があれば失業保険を受給できます。

まずはハローワークに相談し、今後の見通しについて確認することをおすすめします。

失業保険の申請にはどのような書類が必要ですか？

離職票、個人番号確認書類、本人確認書類、証明写真、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードが必要です。

病気を理由に退職した場合は、医師の診断書も必要になります。

特定理由離職者として認められると、失業保険の受給においてどのようなメリットがありますか？

給付制限期間がなく、7日間の待機期間後すぐに失業保険を受け取れる点が大きなメリットです。

また、受給資格を得るための条件も緩和されます。

失業保険と傷病手当金は同時に受給できますか？

原則として、同時に受給することはできません。

傷病手当金は病気やけがで働けない期間に生活を保障するものであり、失業保険は働く意思と能力があるにも関わらず就職できない場合に支給されるものです。

ハローワークで相談する前に、どのような準備をしておくとスムーズですか？

離職理由を明確にし、相談したい内容を整理しておきましょう。

必要な書類を事前に準備しておくことも大切です。

まとめ

病気で退職された方が、経済的な不安を抱えずに再就職へ向かうために、特定理由離職者として失業保険を受給できるかどうかが重要です。

まずはハローワークに相談し、ご自身の状況で失業保険の受給が可能かどうかを確認することから始めましょう。