退職金制度がない正社員雇用は、必ずしも違法ではありません。
この記事では、退職金制度がない場合の法律や雇用契約について解説し、違法となるケースや、退職金制度の代替となる福利厚生についてご紹介します。
退職金制度がない企業で働く際のリスクを減らし、安心して将来設計を進めるために、ぜひお役立てください。

正社員なのに退職金がないって、やっぱり違法なの?

いいえ、退職金制度がないこと自体は違法ではありません。
- 退職金制度が法律で義務付けられていないこと
- 退職金なしが違法となるケース
- 退職金制度がない企業の選び方
退職金なしの正社員雇用に関する事実
正社員として雇用する際に退職金制度がないことは、法律違反ではありません。
退職金制度がない場合、法律や雇用契約はどうなっているのでしょうか。
重要なポイントを解説します。
各項目を理解することで、退職金制度がない企業で働くリスクを減らせます。
退職金制度は法律で義務付けられていない事実
退職金制度は、法律で企業に義務付けられているものではありません。
退職金制度を設けるかどうかは、企業の判断に委ねられています。
厚生労働省の調査によると、退職金制度がない企業の割合は約24.8%です。
「意外と多い」と感じるかもしれません。
退職金制度がない企業は、決して珍しい存在ではないのです。
雇用契約書と就業規則の重要性
退職金制度の有無や支給条件は、雇用契約書や就業規則に明記されているかどうかが重要です。

退職金制度について、きちんと確認しておくべきことはありますか?

雇用契約書や就業規則は、必ず確認しましょう。
雇用契約書や就業規則に退職金に関する定めがある場合、企業はそれに従う義務が生じます。
退職金なしが違法となるケース
退職金制度がないこと自体は違法ではありません。
しかし、特定の状況下では、退職金がないことが違法とみなされるケースがあります。
どのような場合に違法となるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
雇用契約書や就業規則に退職金規定がある場合
雇用契約書や就業規則に退職金に関する規定がある場合は、企業はそれに従って退職金を支払う義務があります。
たとえば、雇用契約書に「退職金を支給する」という記載があるにもかかわらず、実際には退職金が支払われなかった場合、契約違反となります。

雇用契約書に退職金について記載があるのに、支払われないのはおかしいのでは?

企業は雇用契約書の内容を守る義務があります。
過去に退職金支払い実績がある場合
雇用契約書や就業規則に明記されていなくても、過去に退職金支払い実績がある場合は、退職金制度が存在するとみなされることがあります。
これは、労働慣習として退職金制度が確立していると判断されるためです。
過去の判例では、就業規則に退職金の定めがない場合でも、長年の慣行で退職金が支払われていた事実があれば、退職金の支払い義務を認める判決が出ています。

退職金規定がなくても、過去の支払いが考慮されるの?

長年の慣行は、法的義務を生じさせる可能性があります。
退職金制度がないことの説明不足
退職金制度がないことを従業員に十分に説明していなかった場合、違法とみなされる可能性があります。
企業は、労働契約を結ぶ際に、賃金や労働時間などの労働条件を明示する義務があります(労働基準法第15条)。
退職金制度がない場合は、その旨を明確に説明し、従業員の合意を得る必要があります。
説明の程度 | 評価 |
---|---|
明確に説明し、合意を得ている | ◎ |
口頭で簡単に説明した | ◯ |
全く説明していない | × |
知っておくべき法律と対策
退職金制度は、法律で義務付けられているものではありません。
退職金に関するトラブルを避けるためには、法律の知識と適切な対策が不可欠です。
ここでは、労働基準法における退職金の扱い、違法な場合の対処法、そして退職金制度の代替となる福利厚生について解説します。
これらの情報を知っておくことで、将来設計を安心して進めることができます。
労働基準法における退職金の扱い
労働基準法では、退職金の支払いについて直接的な規定はありません。
そのため、退職金制度を設けるかどうかは、各企業の判断に委ねられています。
しかし、退職金制度を設ける場合には、就業規則に明確な規定を設けなければなりません。

退職金って、もらえない場合もあるんですか?

退職金制度がない会社も存在しますが、就業規則を確認することが重要です。
違法な場合に取るべき行動:弁護士や労働基準監督署への相談
退職金が支払われない場合に、まず確認すべきは雇用契約書と就業規則です。
これらに退職金に関する規定があるにも関わらず支払われない場合は、違法となる可能性があります。
そのような状況に直面した際は、弁護士や労働基準監督署に相談することが有効です。
退職金制度の代替となる福利厚生:確定拠出年金など
退職金制度がない企業に在籍していても、老後の資産形成を諦める必要はありません。
確定拠出年金(DC)や企業型確定拠出年金といった制度は、退職金の代替となり得るでしょう。
これらの制度は、税制優遇を受けながら将来のための資産形成をサポートします。
福利厚生 | 概要 | メリット |
---|---|---|
確定拠出年金(DC) | 毎月一定額を積み立て、自身で運用する制度 | 税制優遇を受けながら、老後の資産形成が可能 |
企業型確定拠出年金 | 企業が従業員のために掛金を拠出し、従業員が運用する制度 | 企業からの拠出に加えて、税制優遇も受けられる |
財形貯蓄 | 従業員の給与から天引きして貯蓄する制度 | 計画的な貯蓄が可能で、住宅財形や年金財形など、目的別の貯蓄制度がある |
持株会 | 自社株を購入する制度 | 配当金や株価上昇による利益が期待できる |
企業年金基金 | 企業が設立した年金基金で、従業員の老後をサポート | 退職後の安定した収入源を確保できる |
退職金制度がない場合でも、これらの代替となる福利厚生を積極的に活用することで、将来への不安を軽減できます。
退職金制度がない企業の選び方
退職金制度がない企業を選ぶ際には、将来を見据えた賢い選択をすることが重要です。
退職金制度がない企業の選び方では、雇用契約書や就業規則の確認、福利厚生制度の充実度、企業の将来性と安定性の3つが重要になります。
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
雇用契約書や就業規則の確認
雇用契約書や就業規則を確認することは、入社後のミスマッチを防ぐ上で非常に重要です。

退職金制度について詳しく知りたいけど、どこを見ればいいの?

雇用契約書や就業規則の退職金に関する項目を確認しましょう。
- 退職金の有無: 退職金制度そのものが存在するかの確認
- 支給条件: 支給される条件(勤続年数や退職理由など)の確認
- 計算方法: 退職金額の計算方法の確認
- 支給時期と方法: いつ、どのような形で支払われるかの確認
福利厚生制度の充実度
福利厚生制度の充実度を確認することは、退職金がない場合の経済的な不安を軽減するために大切です。
- 住宅手当: 家賃や住宅ローンの補助
- 家族手当: 配偶者や子供がいる場合に支給
- 資格取得支援制度: スキルアップを支援する制度
- 休暇制度: 年次有給休暇に加え、夏季休暇や年末年始休暇、慶弔休暇などの特別休暇の有無
- 財形貯蓄制度: 従業員の貯蓄を奨励する制度
- 持株会制度: 従業員が自社株を購入できる制度
企業の将来性と安定性
企業の将来性と安定性を確認することは、長く安心して働くために不可欠です。
- 業績: 売上高や利益などの財務状況を確認
- 業界での立ち位置: 競合他社との比較
- 成長性: 新規事業の展開や海外進出などの計画
- 経営戦略: 中長期的な経営目標や戦略
- 従業員の評価: 従業員の満足度や離職率
- 企業の評判: 企業の口コミサイトやSNSでの評価
- リスク要因: 訴訟や不祥事などのリスク要因
項目 | 内容 |
---|---|
業績 | 売上高、利益、成長率など。過去数年間の推移を確認する。 |
財務状況 | 自己資本比率、負債比率など。安定性を確認する。 |
キャッシュフロー | 現金の流れ。安定的なキャッシュフローがあるか確認する。 |
業界での立ち位置 | 競合他社との比較。市場シェアや競争力を確認する。 |
成長性 | 新規事業の展開、海外進出など。将来性を確認する。 |
退職金制度がない企業を選ぶ際には、目先の給与だけでなく、福利厚生や企業の将来性なども考慮して、総合的に判断することが重要です。
退職金制度がなくても安心して働ける企業の見つけ方
退職金制度がない企業でも、企業文化と価値観への共感が最も重要です。
なぜなら、退職金制度の有無に関わらず、社員が安心して長く働ける環境は、企業文化やキャリアアップ、従業員満足度によって大きく左右されるからです。
以下に、詳細を説明します。
企業文化と価値観の共感
企業文化とは、組織全体の行動規範や共通認識のことです。
企業のミッションやビジョン、従業員に対する姿勢など、さまざまな要素が含まれます。
企業のウェブサイトや採用情報、口コミサイトなどを参考にすると良いでしょう。
企業文化と自身の価値観が合致すれば、仕事へのモチベーションを高く維持でき、長期的なキャリア形成につながります。

企業の価値観が自分と合っているか不安です。

企業のウェブサイトやSNSで情報を集め、企業説明会に参加して社員に直接話を聞いてみましょう。
キャリアアップの機会
キャリアアップとは、社員が能力を高め、より高い職位や責任に就くための機会のことです。
研修制度や資格取得支援制度、メンター制度などが充実している企業は、社員の成長を積極的にサポートしていると言えるでしょう。
これらの制度を活用することで、退職金がなくても長期的なキャリア形成が可能です。
具体的には、以下のような機会があるか確認しましょう。
制度 | 内容 |
---|---|
研修制度 | 階層別研修、職種別研修、OJT研修など |
資格取得支援制度 | 資格取得費用の補助、資格取得に向けた学習支援など |
メンター制度 | 新入社員や若手社員に対して、先輩社員が助言や指導を行う制度 |
社内公募制度 | 部署や職種を問わず、社員が自由に希望する職務に挑戦できる制度 |
目標管理制度(MBO) | 個人またはチームで目標を設定し、その達成度を評価する制度 |
360度評価 | 上司、同僚、部下など、多角的な視点から評価を行う制度 |
自己申告制度 | 従業員が自身のキャリアプランや希望する異動先などを申告できる制度 |
FA制度(社内フリーエージェント制度) | 社員が自身のスキルや経験を社内で売り込み、異動を希望できる制度 |
キャリアアップの機会が豊富な企業を選ぶことは、自身の成長を促し、将来的な収入アップにもつながります。
従業員の満足度調査の確認
従業員満足度調査とは、企業が従業員の職場環境や待遇に対する満足度を定期的に調査することです。
調査結果を公表している企業もありますし、転職サイトや口コミサイトでも従業員の評価を確認できます。
従業員満足度が高い企業は、社員を大切にする文化が根付いていると考えられます。
これらの情報を参考に、社員が安心して働ける企業を選びましょう。
従業員満足度が高い企業は、社員の定着率が高く、長期的なキャリアを築きやすい傾向があります。
よくある質問(FAQ)
- 正社員で退職金がないことは違法ですか?
-
いいえ、正社員として雇用する際に退職金制度がないことは、法律違反ではありません。
退職金制度を設けるかどうかは、企業の判断に委ねられています。
- 退職金なしが違法となるケースはありますか?
-
はい、特定の状況下では退職金がないことが違法とみなされるケースがあります。
例えば、雇用契約書や就業規則に退職金に関する規定がある場合や、過去に退職金の支払い実績がある場合です。
- 労働基準法では退職金はどのように扱われていますか?
-
労働基準法では、退職金の支払いについて直接的な規定はありません。
しかし、退職金制度を設ける場合には、就業規則に明確な規定を設けなければなりません。
- 退職金が支払われない場合、どこに相談すれば良いですか?
-
退職金が支払われない場合は、まず雇用契約書と就業規則を確認し、弁護士や労働基準監督署に相談することが有効です。
- 退職金制度の代替となる福利厚生にはどのようなものがありますか?
-
確定拠出年金(DC)や企業型確定拠出年金、財形貯蓄などが退職金制度の代替となり得ます。
これらの制度は、税制優遇を受けながら将来のための資産形成をサポートします。
- 退職金制度がない企業を選ぶ際に、特に注意すべき点は何ですか?
-
雇用契約書や就業規則の確認、福利厚生制度の充実度、企業の将来性と安定性を確認することが重要です。
また、企業文化と価値観への共感、キャリアアップの機会も考慮しましょう。
まとめ
この記事では、退職金制度がない正社員雇用は必ずしも違法ではないということを解説しました。
退職金制度がない企業で働く際のリスクを減らし、安心して将来設計を進めるために、ぜひこの記事をお役立てください。
- 退職金制度は法律で義務付けられていない
- 雇用契約書や就業規則に退職金規定がある場合は支払われる
- 退職金制度がない場合は、代替となる福利厚生を確認する
この記事を参考に、退職金制度がない企業でも安心して働けるように、雇用契約書や福利厚生をしっかりと確認し、将来設計に役立ててみましょう。
退職前に“これ”見てください
「退職したら失業保険もらえるでしょ」…
そう思って辞めた人、けっこう後悔してます。
- ・自己都合でも最短7日で失業保険スタート
- ・数十万円以上もらえるケースも
- ・成功率97%以上の専門サポートあり
通院歴やメンタルの不調がある人は、むしろ受給の可能性アップのケースも。
知っているかどうか、それだけで最大400万円以上の差が出ることも。
- ・20代男性(物流業)… 6ヶ月で170万円(月28万円)
- ・30代男性(外資系営業)… 6ヶ月で156万円(月26万円)
- ・40代男性(接客業)… 6ヶ月で130万円
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- ・20代女性(ネットショップ)… 1年3ヶ月で165万円
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