退職給付金｜デメリット完全ガイド|受け取り方で損しない方法

退職給付金は退職後の生活を支える大切な資金ですが、受け取り方によっては税金や再就職に影響が出る可能性があるため注意が必要です。

事前にデメリットを把握しておくことで、ご自身のライフプランに合わせた最適な選択をすることができます。

退職給付金の受け取り方によって、税金の負担が大きく変わる点や、失業保険や再就職手当の受給に影響が出る点は特に重要です。

税制優遇制度を理解し、ライフプランに合わせた受け取り方を検討することで、これらのデメリットを最小限に抑えられます。

この記事でわかること

退職給付金のデメリット｜知っておくべき注意点

退職給付金は、退職後の生活を支える大切な資金源ですが、受け取り方によっては税金や再就職に影響が出る可能性があります。

退職給付金のデメリットを事前に把握しておくことで、ご自身のライフプランに合わせた最適な選択をすることが可能です。

以下では、退職給付金の代表的なデメリットとして、税金による負担増と再就職への影響について解説します。

これらの注意点を理解し、賢い選択をしましょう。

税金による負担増

退職給付金は、受け取り方によって税金が大きく変わる点がデメリットです。

退職金は、一時金として受け取るか、年金として受け取るかを選択できます。

一時金として受け取る場合は「退職所得」として、年金として受け取る場合は「公的年金等に係る雑所得」として課税対象となります。

退職所得には退職所得控除という税制優遇がありますが、控除額を超えると所得税や住民税がかかります。

また、公的年金等に係る雑所得も、他の所得と合算されて課税対象となるため、所得が多いほど税負担が増える可能性があります。

再就職への影響

退職給付金の受け取り方によっては、失業保険や再就職手当の受給に影響が出る点がデメリットです。

失業保険（雇用保険）は、失業中の生活を支え、再就職を支援する制度ですが、退職理由や給付金の受給状況によって、受給開始時期や受給期間が異なります。

自己都合退職の場合、給付制限期間があるため、すぐに失業保険を受給できません。

また、退職給付金を一括で受け取ると、失業保険の受給開始が遅れることがあります。

さらに、早期に再就職が決まった場合に支給される再就職手当も、退職給付金の受け取り方によって受給資格を失う可能性があります。

「再就職手当はもらわない方がいい理由は？ 」にもあるように、1年以上の雇用が条件です。

退職給付金の種類別デメリット

退職給付金制度は、退職後の生活を支える大切な資金源となりますが、受け取り方や種類によっては、デメリットが生じる可能性があることを認識することが重要です。

各制度の注意点を把握することで、ご自身にとって最適な選択ができるようになります。

以下に、退職給付金の種類ごとの注意点をまとめました。

各項目の該当箇所を強調しているので参考にしてください。

退職一時金における注意点

退職一時金は、退職時に一括で支給されるため、まとまった資金が得られる点が魅力です。

しかし、受け取り方によっては税金の負担が大きくなる可能性があるほか、再就職に影響が出ることも考えられます。

税金

退職一時金は、退職所得として扱われ、所得税および復興特別所得税、住民税が課税されます。

退職所得控除という税制上の優遇措置がありますが、勤続年数によっては控除額を超えてしまい、税負担が発生する場合があります。

再就職

失業保険の受給を考えている場合、退職一時金の受け取り方によっては、受給開始が遅れる可能性があります。

また、再就職手当を受け取る場合も同様に影響が出る場合があります。

退職年金における注意点

退職年金は、退職後、分割で定期的に支給されるため、安定した収入源となります。

しかし、運用状況によっては給付額が変動するリスクがあるほか、受給開始年齢が定められている場合もあります。

運用リスク

退職年金は、運用状況によって給付額が変動するリスクがあります。

特に、運用実績が悪い場合は、当初想定していた金額よりも少なくなる可能性があります。

受給開始年齢

退職年金は、受給開始年齢が定められている場合があります。

定年退職後、すぐに年金を受け取れない場合もあるため、事前に確認が必要です。

企業型確定拠出年金（企業型DC）における注意点

企業型確定拠出年金（企業型DC）は、従業員自身が運用を行うため、高い運用益が期待できる反面、運用リスクも伴います。

また、60歳まで引き出すことができないため、資金計画を慎重に立てる必要があります。

運用リスク

企業型DCは、従業員自身が運用を行うため、運用リスクが伴います。

投資経験がない場合は、損失を被る可能性もあるため、注意が必要です。

引き出し制限

企業型DCは、原則として60歳まで引き出すことができません。

急な資金が必要になった場合でも、自由に引き出すことができないため、注意が必要です。

中小企業退職金共済（中退共）における注意点

中小企業退職金共済（中退共）は、中小企業が従業員の退職金を積み立てる制度です。

掛け金は企業が負担しますが、加入期間が短い場合は、給付額が掛け金合計額を下回る可能性があります。

給付額

中退共は、加入期間が短い場合、給付額が掛け金合計額を下回る可能性があります。

退職金を受け取るまでに加入期間が短い場合は、注意が必要です。

企業の倒産

中退共は、企業の倒産などによって、掛け金が支払われなくなるリスクがあります。

企業の経営状況によっては、退職金が減額される可能性も考慮しておく必要があります。

デメリットを踏まえた退職給付金の賢い選択

退職給付金は老後の生活を支える大切な資金源ですが、税金や再就職への影響など、デメリットも存在します。

これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じることで、より有利に退職給付金を受け取ることが可能です。

以下に、退職給付金のデメリットを踏まえた賢い選択をするためのポイントをまとめました。

税制優遇制度の活用、ライフプランに合わせた受け取り方、専門家への相談の検討について解説します。

税制優遇制度の活用

退職給付金には、所得税や住民税が課税されますが、退職所得控除などの税制優遇措置を活用することで、税負担を軽減できます。

退職所得控除額は、勤続年数に応じて増加するため、長年勤務した人ほど有利になります。

退職所得控除

勤続年数に応じて控除額が変動する制度です。

勤続年数	控除額
20年以下	40万円 × 勤続年数（80万円に満たない場合は80万円）
20年超	800万円 ＋ 70万円 × (勤続年数 – 20年)

退職一時金を受け取る場合は、退職所得控除を活用することで、課税対象となる所得を減らすことが可能です。

ライフプランに合わせた受け取り方

退職給付金の受け取り方は、一時金として受け取るか、年金として受け取るかを選択できます。

それぞれの受け取り方にはメリット・デメリットがあるため、ご自身のライフプランに合わせて慎重に検討することが重要です。

例えば、失業保険の受給を考えている場合は、一時金として受け取ると受給開始が遅れる可能性があります。

受け取り方の種類

受け取り方	メリット	デメリット
一時金	まとまった資金をすぐに活用できる。	退職所得控除を超える金額には所得税がかかる。失業保険の受給開始が遅れる可能性がある。再就職手当を受け取る場合も同様。
年金	毎月安定した収入が得られる。長生きするほど有利になる。	一時金に比べて手元に入る金額が少なくなる可能性がある。

専門家への相談の検討

退職給付金に関する税金や社会保険の手続きは複雑で、専門的な知識が必要となる場合があります。

税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、ご自身の状況に合わせた最適なアドバイスを受けることができます。

相談できる専門家

専門家	相談内容
税理士	退職給付金にかかる税金、確定申告
ファイナンシャルプランナー	退職後のライフプラン、資産運用、保険

退職給付金の受け取り方や税金対策について、不安や疑問がある場合は、専門家への相談を検討しましょう。

専門家のアドバイスを受けることで、より安心して退職後の生活を送ることができます。

よくある質問（FAQ）

退職給付金は受け取ると必ず税金がかかりますか？

退職給付金は、退職所得控除という税制優遇措置があるため、必ず税金がかかるわけではありません。

勤続年数に応じて控除額が変動し、控除額を超えなければ税金はかかりません。

退職給付金を一括で受け取ると、失業保険の受給に影響が出ると聞きましたが、本当ですか？

はい、本当です。

退職給付金を一時金として受け取る場合、失業保険の受給開始が遅れる可能性があります。

退職年金は、運用状況によって金額が変動する可能性があるとのことですが、具体的にどのようなリスクがありますか？

退職年金は、株式や債券などで運用されている場合があり、市場の変動によって給付額が減少するリスクがあります。

企業型確定拠出年金（企業型DC）は、60歳まで引き出せないとのことですが、例外はありますか？

原則として60歳まで引き出すことはできませんが、高度障害になった場合など、例外的に引き出しが認められる場合があります。

中小企業退職金共済（中退共）に加入していますが、会社が倒産した場合、退職金はどうなりますか？

中小企業退職金共済は、加入期間に応じて退職金が支払われるため、会社の倒産によって掛け金が支払われなくなった場合でも、それまでに積み立てられた金額に応じた退職金を受け取ることができます。

退職給付金について、税理士やファイナンシャルプランナーに相談する場合、費用はどのくらいかかりますか？

相談内容や専門家によって費用は異なりますが、一般的には、時間単位で相談料が設定されている場合や、顧問契約を結ぶ場合があります。

事前に費用を確認することをおすすめします。

まとめ

退職給付金は退職後の生活を支える重要な資金ですが、受け取り方次第で税金や再就職に影響が出る可能性があるため、事前の理解が不可欠です。

特に、税負担を軽減し、ご自身のライフプランに最適な受け取り方を選択することが重要です。

退職給付金の受け取り方についてお悩みの方は、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家への相談を検討し、将来設計に合わせた最適な選択をしましょう。