会社都合退職｜残業時間で失業給付はどう変わる？受給条件と金額を解説

会社都合で退職した場合、残業時間が失業給付にどう影響するのか、不安に感じていませんか？ 残業時間によっては、会社都合退職として扱われ、失業給付の受給条件や給付日数で有利になる可能性があります。

この記事では、会社都合退職における残業時間の重要性から、失業給付の受給条件、手続き、ハローワークの活用方法までを徹底解説します。

具体的な時間数や必要な書類、会社都合退職と自己都合退職の違いを知ることで、スムーズな手続きと経済的な支援につなげましょう。

この記事でわかること

会社都合退職と残業時間の関係

残業時間が会社都合退職の判断に影響し、残業時間によっては会社都合退職として扱われる可能性があります。

会社都合退職となれば、失業給付の受給条件や給付日数に有利な条件が適用されるため、その影響を理解しておくことが大切です。

以下に、失業給付への影響と手続きについて解説しますので、参考にしてください。

失業給付への影響と手続き

残業時間が会社都合退職と判断されると、失業給付の受給開始が早まり、給付日数も長くなるなど、経済的な支援を受けやすくなります。

会社都合退職として認められるための要件や、必要な手続きについて確認しておきましょう。

項目	会社都合退職
給付制限	7日間の待機期間のみ
給付日数	自己都合退職よりも多い
判断基準	退職直前6ヶ月で、いずれか連続する3ヶ月で月45時間以上の残業、または2ヶ月以上の期間で月平均80時間を超える残業など
手続き	ハローワークに離職票と残業時間を証明する書類を提出

残業時間による会社都合退職の判断基準

会社都合退職を主張する上で残業時間が重要な判断基準の一つとなります。

残業時間に着目することで会社都合退職と判断される場合があり、会社都合退職と判断されれば失業保険の給付条件などで有利になる点が期待できます。

以下に詳細を解説します。

具体的な時間数と証明方法

会社都合退職とみなされる残業時間には明確な基準があります。

退職前の一定期間における残業時間によって判断され、それを証明する方法も重要です。

以下に詳細をまとめました。

項目	内容
残業時間の基準	退職直前6ヶ月において、いずれか連続する3ヶ月で月45時間以上の残業、または2ヶ月以上連続する月を平均して月80時間以上の残業、いずれか1ヶ月で100時間以上の残業
証明方法	タイムカード、給与明細、業務日誌、メールの記録、出退勤記録アプリなどが有効
ハローワークへの申し出	離職票に自己都合退職と記載された場合、ハローワークに申し出て、証拠を提示する必要がある

45時間、80時間以上の残業時間

残業時間が45時間や80時間を超えると、会社都合退職として扱われる可能性が高まります。

これらの時間数を超える残業は、労働者の健康や生活に深刻な影響を与えるため、法律でも保護されています。

弁護士の小嶋泰仁も相談を受け付けています。

以下に詳細をまとめました。

残業時間	影響
月45時間以上の残業が連続3ヶ月以上	会社都合退職として認められる可能性が高まる
月平均80時間以上の残業が連続2ヶ月以上	会社都合退職として認められる可能性が高まる
いずれか1ヶ月で100時間以上の残業	会社都合退職として認められる可能性が高まる
会社都合退職の場合の失業保険	自己都合退職に比べて、給付開始が早く、給付日数も長い

証拠となる記録や書類

会社都合退職を主張するためには、客観的な証拠が必要です。

これらの記録や書類は、ハローワークでの手続きや、万が一の訴訟においても重要な役割を果たします。

以下に証拠となる記録や書類をまとめました。

証拠の種類	具体的な内容
タイムカードのコピー	出退勤時間が明確に記録されているもの
給与明細	残業時間と残業代が記載されているもの
業務日誌	毎日の業務内容と残業時間を記録したもの
PCのログ	PCのログイン・ログアウト時間から労働時間を推定できる

残業時間を証明する記録や書類は、日頃からきちんと整理しておくことが大切です。

失業給付の受給条件と金額

失業給付は、退職後の生活を支える重要な制度です。

会社都合退職の場合、残業時間が受給資格と給付額に大きく影響します。

失業給付の受給条件、給付日数、受給開始時期、金額シミュレーション、計算方法について解説します。

それぞれの詳細を理解することで、安心して再就職活動に臨めるでしょう。

会社都合と自己都合の違い

会社都合退職と自己都合退職では、失業給付の条件が大きく異なります。

会社都合退職は、倒産や解雇など会社側の理由で退職せざるを得ない場合を指し、自己都合退職は、自身の意思で退職する場合を指します。

項目	会社都合退職	自己都合退職
給付制限	7日間の待機期間後、すぐに受給可能	3ヶ月の給付制限期間あり
給付日数	雇用保険の加入期間や年齢に応じて、自己都合退職よりも長く設定される	雇用保険の加入期間に応じて決定
受給要件	離職日以前2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上	離職日以前2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上
具体例	倒産、解雇、事業所閉鎖、希望退職の募集、退職勧奨、賃金低下、ハラスメント、残業時間超過	転職、結婚、出産、育児、病気、家族の介護

給付日数と受給開始時期

会社都合退職の場合、自己都合退職よりも給付日数が長く、受給開始時期も早いです。

会社都合退職は、7日間の待機期間後すぐに受給が開始されます。

給付日数は、離職時の年齢や雇用保険の加入期間によって異なり、最大で330日まで受給できます。

具体的には、以下の要素が考慮されます。

金額シミュレーションと計算方法

失業給付の金額は、退職前の賃金と雇用保険の加入期間によって計算されます。

基本手当日額は、退職前6ヶ月間の賃金を基に算出され、賃金日額の50〜80%程度が支給されます。

失業給付の金額を計算する手順は以下の通りです。

項目	計算式	備考
賃金日額	退職前6ヶ月間の賃金合計 ÷ 180	賞与や一時金は含みません
基本手当日額	賃金日額 × 給付率（50〜80%）	給付率は年齢や賃金によって変動
総支給額	基本手当日額 × 給付日数

ハローワークでの手続きと注意点

会社都合退職の手続きは、スムーズな失業給付受給のために重要なステップです。

必要な書類の準備から相談窓口の利用まで、正確な情報を把握しておくことが不可欠です。

この章では、ハローワークでの手続きの流れ、相談窓口の利用方法、そして弁護士への相談も視野に入れることについて解説します。

必要な書類と手続きの流れ

ハローワークでの手続きは、離職票の提出から始まり、求職の申し込み、雇用保険受給説明会への参加と続きます。

スムーズな手続きのためには、必要書類の準備と手続きの流れを事前に把握しておくことが大切です。

項目	内容
離職票	会社から発行される退職を証明する書類
雇用保険被保険者証	雇用保険に加入していたことを証明する書類
本人確認書類	運転免許証、マイナンバーカードなど
印鑑	認印で可
写真	縦3cm×横2.5cmのサイズ
預金通帳またはキャッシュカード	失業給付の振込先として指定する本人名義のもの

手続きは以下の流れで進みます。

ハローワークでの手続きは、失業給付を受けるために不可欠なプロセスです。

必要な書類を事前に準備し、手続きの流れを把握しておくことで、スムーズな受給につながります。

相談窓口と利用方法

ハローワークには、失業給付に関する様々な相談窓口が設置されており、個別の状況に応じたアドバイスを受けることができます。

積極的に相談窓口を活用し、疑問や不安を解消することが重要です。

窓口の種類	相談内容
雇用保険窓口	失業給付の受給資格、手続きに関する相談
職業相談窓口	求職活動の進め方、職業訓練に関する相談
専門相談窓口	障がい者、外国人など、特別な支援を必要とする方の相談

ハローワークの相談窓口では、失業給付に関する疑問や不安、求職活動の進め方など、さまざまな相談に対応しています。

相談窓口の利用方法ですが、まずはハローワークの受付で相談内容を伝え、適切な窓口を紹介してもらうと良いでしょう。

相談の際には、離職票や雇用保険被保険者証などの必要書類を持参すると、より具体的なアドバイスを受けることができます。

ハローワークの相談窓口は、失業者の再就職を支援するための重要なリソースです。

積極的に活用し、疑問や不安を解消しながら、再就職に向けて前向きに進んでいきましょう。

弁護士への相談も検討

会社都合退職の手続きや残業代請求に関して、弁護士に相談することで、法的な視点から具体的なアドバイスやサポートを受けることができます。

複雑な問題やトラブルが発生した場合には、弁護士への相談を検討することが有益です。

会社都合退職や残業代請求に関する相談は、弁護士の専門分野です。

弁護士に相談することで、以下のようなメリットが期待できます。

弁護士への相談を検討するタイミングとしては、以下のようなケースが考えられます。

弁護士への相談は、会社都合退職の手続きや残業代請求において、非常に有効な手段です。

初回相談無料の弁護士事務所もあるので、まずは相談してみることをおすすめします。

よくある質問（FAQ）

残業時間が多い場合、必ず会社都合退職になるのでしょうか？

残業時間の長さは、会社都合退職となるかどうかの重要な判断材料の一つです。

しかし、残業時間以外にも、退職に至った経緯や会社の状況などが総合的に考慮されます。

会社都合退職にするためには、どのような証拠が必要ですか？

会社都合退職を主張するためには、客観的な証拠が重要です。

具体的には、タイムカードのコピー、給与明細、業務日誌、メールの記録、出退勤記録アプリなどが有効です。

失業給付の金額は、残業時間によって変わりますか？

失業給付の金額は、退職前の賃金に基づいて計算されます。

残業時間が多ければ、賃金も高くなる傾向にあるため、結果的に失業給付の金額も高くなる可能性があります。

ハローワークで会社都合退職を認めてもらえなかった場合、どうすれば良いですか？

ハローワークで会社都合退職を認めてもらえなかった場合は、不服申し立てをすることができます。

証拠を再度提出し、会社都合退職に該当する理由を詳しく説明しましょう。

会社に未払いの残業代がある場合、失業給付の手続きと並行して請求できますか？

はい、失業給付の手続きとは別に、未払いの残業代を請求できます。

ただし、残業代請求には時効があるため、早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

会社都合退職について、弁護士に相談するメリットは何ですか？

会社都合退職の手続きや残業代請求に関して、弁護士に相談することで、法的な視点から具体的なアドバイスやサポートを受けることができます。

会社との交渉代行や、証拠収集のサポートも期待できます。

まとめ

この記事では、会社都合退職における残業時間の重要性について解説しました。

残業時間によっては会社都合退職として扱われ、失業給付の受給条件や給付日数で有利になる可能性があります。

会社都合退職となる要件を満たしているか確認し、ハローワークや弁護士への相談も視野に入れて、スムーズな手続きと経済的な支援につなげましょう。