本当に甘い桃はどれ?糖度と人気で選ぶ品種ランキングと山梨・福島・長野のおすすめ桃

夏の果物の王様といえば、やはり桃ですよね。あの芳醇な香りと、滴る果汁、そして口いっぱいに広がる甘さは格別です。しかし、「どの品種を選べば本当に甘い桃に出会えるの?」と悩んだ経験はありませんか。桃には多くの品種があり、それぞれ甘さや食感が異なります。甘い桃を選んだつもりが、酸味が強かったり、味が薄かったりすると少し残念な気持ちになります。

桃の「甘さ」は、品種によって驚くほど違います。この記事では、プロの視点から「甘さ」を基準にした桃の品種ランキング、そして主要な産地ごとのおすすめ品種を詳しく解説します。さらに、スーパーや八百屋さんで美味しい桃を見分けるための実践的なコツもお伝えします。この記事を読めば、もう桃選びで失敗することはありません。今年の夏は、最高の甘い桃を楽しみましょう。

この記事でわかること

桃の「甘さ」は糖度だけじゃない?美味しさの秘密

「甘い桃」と聞くと、単純に「糖度が高い桃」を想像しがちです。もちろん糖度は甘さを測る重要な指標ですが、私たちが「美味しい」と感じる桃の甘さは、それだけで決まるわけではありません。桃の美味しさには、糖度と酸味の絶妙なバランスが深く関係しています。糖度が高くても酸味が強すぎると、甘さよりも酸っぱさが際立ってしまいます。逆に、糖度がそれほど高くなくても、酸味が穏やかであれば、しっかりとした甘さを感じることができます。この奥深いバランスが、桃の品種ごとの個性を生み出しているのです。

糖度(Brix値)の目安

桃の甘さを示す客観的な指標として「糖度(Brix値)」がよく使われます。Brix(ブリックス)値とは、果汁100gあたりに含まれる糖分の割合をパーセントで示したものです。一般的な桃の糖度は10〜12度程度とされていますが、「甘い」と評価される桃は、13度以上が目安となります。最近では品種改良が進み、15度を超える非常に甘い桃も珍しくありません。ただし、このBrix値はあくまで「糖分」の量を示すものであり、甘みの「質」や「感じ方」を直接表すものではない点を理解しておく必要があります。例えば、同じ糖度13度の桃でも、Aの品種はスッキリとした甘さ、Bの品種は濃厚な甘さ、と感じ方が異なる場合があります。糖度は一つの基準として参考にしつつ、後述する酸味とのバランスも考慮することが、好みの桃を見つける近道です。

糖度(Brix値)甘さの目安一般的な品種の例
10度未満やや物足りない加工用など
10〜12度標準的な甘さ一般的な白鳳など
13〜15度甘いあかつき・川中島白桃など
16度以上非常に甘い高品質な特秀品など

酸味とのバランスが鍵

桃の美味しさを決定づけるもう一つの重要な要素が「酸味」です。日本人(特に東日本)は、甘みが強く、酸味が少ない「低酸」の桃を好む傾向があると言われています。糖度が高くても酸味が強いと、その酸っぱさが甘さを打ち消してしまい、期待したほどの甘さを感じられないことがあります。逆に、糖度は標準的でも酸味が非常に穏やかであれば、舌は糖の甘さを強く認識します。これが「糖度と酸味のバランス」です。例えば、糖度が14度あっても酸味が強い品種と、糖度が12度でも酸味がほとんどない品種を比べた場合、後者の方が「甘い」と感じる人も少なくありません。最近人気の品種の多くは、この酸味を抑え、甘さを引き立てるように改良されています。「あかつき」や「川中島白桃」などがその代表例です。自分の好みが「濃厚な甘さ」なのか、「スッキリした甘さ」なのか、「酸味も少し感じたい」のかを知ることも、理想の桃に出会うためのポイントです。

【甘さ最強】桃の品種ランキングTOP5

日本には数百種類もの桃の品種があると言われていますが、その中でも特に「甘さ」で高い人気を誇る品種が存在します。糖度の高さ、酸味の少なさ、そして食感の良さ。これらのバランスに優れた品種は、多くの人々を魅了し続けています。「どの品種を選べば間違いないの?」という疑問に答えるため、甘さを基準にした人気の桃品種をランキング形式で見ていきます。それぞれの品種が持つ甘さの特徴や、旬の時期も合わせて解説しますので、桃選びの参考にしてください。

1位:あかつき

甘い桃の代表格として、不動の人気を誇るのが「あかつき」です。福島県で誕生したこの品種は、「白桃」と「白鳳」の交配種で、両者の良いところを受け継いでいます。最大の特徴は、平均糖度が13〜15度と非常に高く、酸味が少ないことです。そのため、口に入れた瞬間に濃厚でしっかりとした甘さが広がります。果肉は緻密でやや硬め。日持ちが良いのも嬉しいポイントです。旬は8月上旬から中旬にかけて。福島県や山梨県、長野県など主要な産地で広く栽培されており、日本の桃の主力品種の一つとなっています。甘さ、食感、香りのバランスが非常に良く、「迷ったらあかつき」と言われるほど信頼されている品種です。贈答用としても大変喜ばれるため、お中元の時期にも重宝されます。桃本来の濃厚な甘さを存分に味わいたい方に、まず一番におすすめしたい品種です。

項目特徴
糖度目安13〜15度
酸味少ない
果肉緻密でやや硬め
旬の時期8月上旬〜中旬
主な産地福島・山梨・長野

2位:川中島白桃(かわなかじまはくとう)

ランキング第2位は、長野県で生まれた「川中島白桃」です。大玉になりやすいのが特徴で、1玉300gを超える立派な桃も多く見られます。この品種の魅力は、糖度が14度以上になることも珍しくない強い甘みと、硬めのしっかりとした食感です。あかつきよりもさらに硬めで、カリッとした食感を好む人からも人気があります。もちろん、追熟させることで柔らかくして食べることも可能です。酸味は少なく、甘さが際立ちます。日持ちが良いため、全国への発送にも向いています。旬はあかつきよりもやや遅く、8月中旬から9月上旬頃。夏の終わりに味わえる、食べ応え抜群の甘い桃として知られています。濃厚な甘さと硬めの食感を両立させたい方には、川中島白桃がぴったりです。

項目特徴
糖度目安14度前後(16度に達することも)
酸味少ない
果肉硬め・大玉
旬の時期8月中旬〜9月上旬
主な産地長野・山梨

3位:なつおとめ

「なつおとめ」は、比較的新しい品種ながら、その抜群の甘さで人気急上昇中の桃です。「あかつき」と「よしひめ」を交配して誕生しました。糖度が14〜16度にも達することがあり、酸味が非常に少ないため、極めて甘く感じられるのが特徴です。果肉はあかつきに似ていますが、より滑らかな舌触りを持つ傾向があります。果汁も豊富で、一口食べれば芳醇な香りと甘い果汁が口の中に溢れます。旬は8月上旬から中旬で、「あかつき」と同時期に収穫されることが多いです。まだ栽培面積は限られていますが、その美味しさから「次世代のエース」として注目されています。甘さをとことん追求したい方や、新しい品種を試してみたい方におすすめです。

項目特徴
糖度目安14〜16度
酸味非常に少ない
果肉滑らか・果汁豊富
旬の時期8月上旬〜中旬
主な産地福島など

4位:黄金桃(おうごんとう)

ランキングの中で唯一、果肉が黄色い品種が「黄金桃」です。見た目はマンゴーのようですが、味はまさしく桃。糖度は13〜15度と高く、白桃品種にはないトロピカルな濃厚な風味が特徴です。酸味も適度にあるため、甘さとのバランスが良く、さっぱりとした後味も楽しめます。果肉はやや硬めで、追熟させると柔らかくなります。旬は8月下旬から9月中旬と遅めです。白桃とは一味違う甘さと香りを持ち、根強いファンが多い品種です。「普通の桃には少し飽きたかも」という方や、濃厚な風味を試してみたい方に最適です。中には「ゴールデンピーCH」という名前で流通していることもあります。

項目特徴
糖度目安13〜15度
酸味適度にある
果肉黄色・濃厚な風味
旬の時期8月下旬〜9月中旬
主な産地長野・山梨

5位:清水白桃(しみずはくとう)

「桃の女王」とも呼ばれる岡山県を代表する高級品種が「清水白桃」です。乳白色の美しい見た目と、上品な甘さが特徴です。糖度は12〜14度程度と、ランキング上位の品種と比べると数字の上ではやや控えめかもしれません。しかし、酸味が極めて少なく、とろけるような柔らかい食感と、高貴な香りが、数字以上の「甘さ」と「美味しさ」を感じさせます。繊細で上品な甘さを求める方に、強くおすすめしたい品種です。果皮が非常にデリケートで傷つきやすいため、栽培には大変な手間がかかります。旬は7月下旬から8月上旬とやや早め。特別な日のデザートや、大切な方への贈り物に選ばれることが多い、まさに「女王」の名にふさわしい桃です。

項目特徴
糖度目安12〜14度
酸味極めて少ない
果肉非常に柔らかい・上品な香り
旬の時期7月下旬〜8月上旬
主な産地岡山

【産地別】地域自慢の甘い桃

桃は、日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きい地域で甘く美味しく育ちます。日本では特に、山梨県、福島県、長野県が桃の三大産地として有名です。これらの地域では、気候風土に合った様々な品種が栽培されており、それぞれに自慢の甘い桃があります。同じ品種でも、産地によって微妙に味わいが変わるのも桃の面白いところです。主要な産地ごとに、特におすすめの甘い品種を見ていきます。

山梨県のおすすめ品種

生産量日本一を誇る山梨県は、まさに「桃の王国」です。日照時間が日本一長いとも言われ、桃の栽培に最適な環境が整っています。山梨県では「白鳳(はくほう)」や「あかつき」も多く栽培されていますが、特におすすめしたいのが「日川白鳳(ひかわはくほう)」と「浅間白桃(あさまはくとう)」です。「日川白鳳」は、6月下旬から7月上旬という早い時期に収穫できる早生品種の代表格です。早生種ながら糖度は12度以上としっかり甘く、果汁が豊富でみずみずしいのが特徴です。一方、「浅間白桃」は8月上旬頃に旬を迎える品種で、大玉になりやすく、糖度が14度を超えることも多い濃厚な甘さが魅力です。果肉がしっかりしているので、食べ応えもあります。山梨の太陽をたっぷり浴びて育った桃は、甘さも格別です。

産地おすすめ品種特徴
山梨県日川白鳳早生種・みずみずしい甘さ
山梨県浅間白桃大玉・濃厚な甘さ・しっかりした果肉

福島県のおすすめ品種

福島県は、山梨県に次ぐ生産量を誇り、特に「あかつき」の誕生の地として有名です。盆地特有の気候で、夏は暑く、昼夜の寒暖差が大きいため、糖度の高い桃が育ちます。福島県で「あかつき」と並んで高い人気を誇るのが「まどか」です。「まどか」は「あかつき」の枝変わり(突然変異)から選抜された品種で、あかつきよりもさらに硬い果肉と、高い糖度(15度を超えることも)が特徴です。日持ちも良いため、贈答用にも人気があります。また、「ゆうぞら」は8月下旬から9月上旬に収穫される晩生種で、美しい濃い紅色と、14度前後の安定した甘さが魅力です。福島県の桃は、総じて糖度が高く、甘さを重視する方には間違いのない選択肢と言えます。

産地おすすめ品種特徴
福島県まどかあかつき似・さらに硬め・高糖度
福島県ゆうぞら晩生種・美しい見た目・安定した甘さ

長野県のおすすめ品種

長野県は、標高が高く冷涼な気候と、水はけの良い土壌が特徴で、引き締まった果肉と濃厚な味わいの桃が育ちます。代表品種は、先ほどランキングでも紹介した「川中島白桃」です。長野市川中島町で発見されたこの品種は、県の看板品種となっています。それ以外でおすすめしたいのが「なつっこ」です。「なつっこ」は、「川中島白桃」と「あかつき」を交配して生まれた品種で、両者の良いところを受け継いでいます。糖度は14度以上と非常に甘く、果肉は滑らかで果汁が豊富です。大きさも300g以上になる大玉で、食べ応え満点です。旬は8月上旬から中旬。「川中島白桃」の硬さよりも、もう少し滑らかな食感を求める方におすすめです。

産地おすすめ品種特徴
長野県川中島白桃大玉・硬め・高糖度
長野県なつっこ大玉・滑らかな果肉・高糖度

スーパーで役立つ!甘い桃の見分け方

品種や産地を知ることも大切ですが、実際に店頭で桃を選ぶときには、目の前にある桃が「当たり」かどうかを見分ける必要があります。せっかく高級な品種を選んでも、未熟だったり鮮度が落ちていたりしては、本来の甘さを楽しめません。甘い桃には、見た目や香り、形に共通の特徴があります。高価な糖度計がなくても、いくつかのポイントを押さえるだけで、美味しい桃に出会える確率をぐっと高めることが可能です。

甘い桃を見分けるには、いくつかの簡単なコツがあります。品種名がわからなくても、色、形、香り、そして産毛の状態をチェックすることで、美味しい桃を選びやすくなります。まず、桃全体の色づきを見てください。全体的に赤色が濃く、鮮やかなものが良く熟している証拠です。ただし、赤色だけでなく、お尻の部分(果頂部)の地色が白っぽく(白桃の場合)または黄色っぽく(黄桃の場合)なっているかも重要です。青みが残っているものはまだ未熟な可能性があります。形は、ふっくらとしていて左右対称のものが良いとされています。桃のお尻から枝側に向かって入っている「縫合線」と呼ばれる溝が浅く、お尻が丸みを帯びているものが甘いサインです。

次に、香りを確認してみましょう。桃は熟すにつれて、特有の甘い香りが強くなります。パックに入っていても、鼻を近づけるとふわっと甘い香りが漂ってくるものを選びましょう。香りが全くしないものは、まだ熟していないか、収穫から時間が経ちすぎているかもしれません。また、桃の表面にある「産毛」も新鮮さのバロメーターです。産毛が全体にびっしりと生えていて、触るとチクチクするくらいのものが新鮮な証拠です。逆に産毛が寝ていたり、部分的に剥げていたりするものは、収穫から時間が経っていたり、人の手に多く触れられたりしている可能性があります。これらのポイントを総合的に判断して、最高の桃を見つけてください。

桃の甘さに関するよくある質問

硬い桃は甘くないのでしょうか?

そんなことはありません。「あかつき」や「川中島白桃」「まどか」のように、果肉が硬めでも糖度が非常に高い品種がたくさんあります。硬い桃は追熟(常温で置くこと)で柔らかくすることもできますが、品種によっては硬いまま食べるのが一番美味しいものもあります。食感の好みで選ぶのも良いでしょう。

桃は冷蔵庫で保存しても良いですか?

桃は冷やしすぎると甘さを感じにくくなる性質があります。食べる直前の1〜2時間前に冷蔵庫の野菜室などで冷やすのがおすすめです。まだ硬い桃を追熟させたい場合は、必ず常温(風通しの良い涼しい場所)で保存してください。冷蔵庫に入れると追熟が止まってしまいます。

桃の旬はいつですか?

桃の旬は品種によって大きく異なります。6月下旬頃から出回る早生種から、9月中旬頃に収穫される晩生種まで、リレーのように様々な品種が登場します。一般的に「桃の最盛期」と言われるのは、多くの人気品種が旬を迎える7月下旬から8月中旬頃です。

まとめ

今回は、「甘さ」を基準にした桃の品種ランキングと、産地別のおすすめ品種、そして美味しい桃の見分け方について解説しました。桃の美味しさは糖度だけでなく、酸味とのバランスが重要です。ランキングで紹介した「あかつき」や「川中島白桃」などは、糖度が高く酸味が少ないため、強い甘さを感じやすい品種です。

また、山梨県、福島県、長野県といった主要な産地では、それぞれ気候風土に合った甘い桃が栽培されています。お店で桃を選ぶ際は、「色」「形」「香り」「産毛」の4つのポイントをチェックすることで、甘く熟した桃に出会える確率が格段に上がります。この記事を参考に、ぜひあなたにとって最高の甘い桃を見つけて、旬の味覚を存分に楽しんでください。