ロンドンのサヴィル・ロウに佇む高級テーラーを拠点に、スタイリッシュな装いで悪を討つスパイたちの物語『キングスマン』。彼らのスタイルにおいて、仕立ての良いダブルスーツや磨き抜かれたオックスフォードシューズと同様に欠かせないのが、知性と力強さを象徴する「メガネ」です。劇中で放たれる「マナーが人を作る(Manners Maketh Man)」という言葉を体現するように、目元を彩るフレームは単なる視力矯正器具を超え、一人の紳士としての格を決定づける重要なピースとなっています。
多くのファンが憧れるそのアイウェアは、実在する英国の老舗ブランドが手がけており、細部まで計算し尽くされた設計が施されています。しかし、欧米人向けにデザインされた重厚なフレームは、私たち日本人がそのまま着用するにはいくつかのハードルが存在するのも事実です。憧れのキャラクターと同じモデルを手にしたいと願う方に向けて、ブランドの背景から各モデルの特徴、そして日本人でも違和感なく着けこなすための調整方法までを徹底的に掘り下げていきます。この記事を読み終える頃には、あなたも英国紳士のような気品溢れる目元を手に入れるための確かな知識を習得しているはずです。
この記事でわかること
- キングスマン公式メガネブランド「カトラーアンドグロス」の歴史と魅力
- ハリー・ハートとエグジーが着用する主要モデルの違いとスペック
- 日本人が海外ブランドの重厚なセルフレームを快適に使いこなすコツ
- 正規店での購入方法やメンテナンス、コーディネートの取り入れ方
英国紳士の象徴!キングスマンのメガネブランド「カトラーアンドグロス」の正体
映画の公開以来、世界中のファッショニスタを虜にしているあのメガネを製作しているのは、イギリス・ロンドンを拠点とする「カトラーアンドグロス(Cutler and Gross)」という老舗アイウェアブランドです。1969年にグラハム・カトラーとトニー・グロスによって設立されたこのブランドは、それまで機能性のみが重視されていたメガネの世界に「ファッションとしての喜び」を持ち込んだ先駆者として知られています。彼らが手がけるフレームは、全てイタリアの自社工場で職人の手作業によって生み出されており、その質感は大量生産品とは一線を画す輝きを放っています。
キングスマンという作品において、衣装デザインを担当したアリアンヌ・フィリップスがこのブランドを選んだのは必然と言えるでしょう。なぜなら、カトラーアンドグロスの哲学は、伝統を重んじながらも常に現代的なエッセンスを取り入れる姿勢にあり、それはまさに古き良き英国騎士道を現代に蘇らせたキングスマンの精神そのものだからです。ロゴを一切表に出さないミニマリズムと、手に取った瞬間に伝わる確かな重量感は、控えめでありながらも強烈な個性を放つ「裏の顔を持つ紳士」に最適のアイテムとなっています。
1969年創業、ロンドンが誇るカトラーアンドグロスの歴史
カトラーアンドグロスは、ロンドンのナイツブリッジで産声を上げました。創業当時のイギリスでは、メガネは「治療のための道具」としての側面が強く、デザイン性を求める声は少数派でした。しかし、カトラーとグロスの二人は、顧客の顔立ちをより魅力的に引き立て、装いの一部として機能するフレームの必要性を確信していました。彼らのアトリエには、自分自身のアイデンティティを確立しようとするアーティストや著名人が次々と訪れ、次第に世界的な知名度を獲得していくことになります。
このブランドの最大の特徴は、モデル名に数字を用いる独特のスタイルです。例えば、今回の映画で注目を浴びた「0822」や「0847」といった番号は、ブランドの歴史の中で積み重ねられてきたアーカイブの証でもあります。デザインの着想源は、ビンテージのフォルムを基調としながらも、現代のレンズテクノロジーや素材の進化を絶妙にミックスさせている点にあります。職人が一本のフレームを完成させるまでに、数週間から数ヶ月を要することも珍しくありません。研磨機での磨き工程だけで数日間を費やすことで、アセテート素材が持つ本来のツヤが極限まで引き出されます。この徹底した品質管理が、劇中でハリー・ハートが見せる凛とした佇まいを下支えしているのです。
| ブランド名 | 創業年 | 生産拠点 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| カトラーアンドグロス | 1969年 | イタリア | 職人による手作業 ロゴなしのデザイン |
| 一般的なブランド | 様々 | 中国・東南アジアなど | 機械による大量生産 目立つブランドロゴ |
表にまとめた通り、カトラーアンドグロスと一般的な大量生産ブランドの間には、生産背景において明快な違いがあります。イタリアの自社工場で、古くからの伝統技法を守り続ける職人たちの情熱が、一本のメガネに宿っているのです。例えば、手に持った時のバランスの良さや、長時間の着用でも疲れにくい設計は、人間工学に基づいた緻密な計算の結果です。単なる小道具としてではなく、一人の人間の一部として馴染むよう作られているからこそ、映画の中でもあれほどまでに自然で、かつ存在感のある演出が可能になったと考えられます。
映画『キングスマン』との独占契約とこだわり抜かれた製造工程
映画制作にあたり、監督のマシュー・ヴォーンは「本物の英国スタイル」を追求することを最優先しました。劇中に登場するスーツやシャツ、靴に至るまでがイギリスの伝統的なブランドによって製作される中、アイウェアにおいても妥協は許されませんでした。カトラーアンドグロスは、映画の世界観を完璧に補完するため、既存のモデルをベースにしながらも、キングスマン専用の微調整を加えた特別仕様のフレームを提供しました。これが、後に「Kingsman Collection」として一般発売されることになる名作たちの始まりです。
特筆すべきは、劇中で使用されるメガネに搭載された「通信機能」や「拡張現実(AR)」といったガジェット要素との親和性です。もちろん、私たちが手に入れることができる市販品にそれらのハイテク機能は備わっていませんが、フレーム自体の堅牢性はスパイの激しいアクションにも耐えうるほどのクオリティを誇っています。例えば、蝶番(ヒンジ)の部分には、高い強度を持つ部品が採用されており、開閉のスムーズさと耐久性が両立されています。また、使用されているアセテート生地は、長期間の使用によって歪みが生じにくく、肌への当たりが柔らかい高級素材が厳選されています。このような製造工程における一切の妥協のなさが、スクリーンを通してでも伝わる上質感を生み出しているのです。
劇中主要キャラクターが着用するメガネモデルの詳細スペック

キングスマンの劇中では、世代や立場の異なるキャラクターたちが、それぞれの個性に合わせたメガネを着用しています。特にハリー・ハートとエグジーの二人が着用するモデルは、作品を象徴するアイコンとなっており、多くのファンがどちらを選ぶべきか頭を悩ませるポイントです。一見すると似たようなウェリントン型のフレームに見えますが、実際にはサイズ感やブリッジの形状、リムの厚みなどに細かな違いがあり、着用した際の印象は全く異なります。ここでは、代表的な二つのモデルを詳細に比較していきます。
これらのモデルは、1950年代から60年代にかけての英国アイウェアのデザインを再解釈したもので、クラシカルな美しさを保ちつつも、古臭さを感じさせない絶妙なバランスが保たれています。ハリーが着用するモデルは、教官としての厳格さと熟練のスパイとしての風格を。一方でエグジーが着用するモデルは、若々しいエネルギッシュな印象と、ストリートから紳士へと脱皮していく過程を象徴しています。それぞれのモデルが持つストーリーを知ることで、自分にふさわしい一本を選ぶ際の手がかりとなるでしょう。
ハリー・ハート(コリン・ファース)が愛用する重厚な「0822」
コリン・ファース演じるハリー・ハートが全編を通して着用しているのが、カトラーアンドグロスの「0822」というモデルです。このフレームは、まさに王道のウェリントン型であり、力強い極太のリムが特徴です。ダークトータス(べっ甲柄)の色合いが、彼の着こなすネイビーのダブルスーツと見事に調和し、知性と威厳を演出しています。このモデルが持つ最大の魅力は、顔の輪郭をしっかりと定義し、相手に対して「隙のない紳士」という印象を植え付ける点にあります。
例えば、ハリーがパブでチンピラたちを制圧するあの有名なシーンにおいて、彼のメガネは全く揺らぐことなく、その冷徹な眼光を保護していました。0822は、テンプル(つる)の部分も太く設計されており、横顔にも強いインパクトを与えます。重量感があるため、初めて着用する方はその重さに驚くかもしれませんが、適切にフィッティングを行えば、その重さがむしろ安定感へと変わります。特に、顔のパーツがはっきりしている方や、威厳ある大人な雰囲気を醸し出したい方にとって、この0822は究極の選択肢と言えるでしょう。フレームの角をわずかに落とした面取り加工が施されているため、重厚ながらもどこか柔らかな光の反射を生み出し、冷たすぎない印象を与えてくれるのも、このモデルが愛される理由の一つです。
| スペック項目 | モデル名:0822 | 主な印象 |
|---|---|---|
| フレーム形状 | スクエア寄りのウェリントン | クラシック・厳格 |
| リムの厚み | 厚め(約6mm以上) | 力強い・存在感 |
| 主なカラー | ダークトータス / ブラック | 落ち着いた・高級感 |
スペック表からも読み取れるように、0822は「存在感」を重視した設計となっています。実例を挙げると、ビジネスシーンにおいて重要な交渉に臨む際、このメガネを着用することで、自身の言葉に説得力を持たせる視覚的な演出が可能です。また、カジュアルな装いに合わせる場合でも、この一本があるだけで全体が引き締まり、手抜き感のない「大人の休日スタイル」が完成します。厚みのあるアセテートは、使い込むほどに顔の形に馴染み、唯一無二の相棒へと育っていく喜びを教えてくれます。
エグジー(タロン・エジャトン)が魅せる現代的な「0847」
物語の進行とともに、ストリートファッションから一流のスパイへと成長を遂げるエグジー。彼が後半のミッションで着用しているのが「0847」というモデルです。ハリーの0822と比較すると、全体的にリムがやや細身に設計されており、より現代的でスポーティーな印象を与えます。特にレンズの縦幅が少しだけ短く、横長にデザインされているため、若々しい顔立ちの方や、スッキリとした目元を演出したい方に最適なフレームです。エグジーの俊敏な動きに合わせて光るフレームのラインは、新世代の紳士にふさわしい躍動感を感じさせます。
0847の魅力は、その汎用性の高さにあります。例えば、映画のラストシーンで見せるタキシードスタイルはもちろん、ポロシャツやブルゾンといった軽快な服装にも違和感なく溶け込みます。ハリーのモデルが「不動の強さ」を表すなら、エグジーのモデルは「変化に対応する柔軟性」を表していると言えるでしょう。フレームの重さが0822よりも抑えられているため、長時間のデスクワークや、アクティブに動き回るシーンでもストレスが少ないのが実用面でのメリットです。レンズのカラーを少しだけ薄いブラウンやブルーに変えて、カスタムを楽しむユーザーが多いのもこのモデルの特徴です。自分自身を新しいステージへと引き上げたい、そんなポジティブなエネルギーを持つ方にこそ、この0847はふさわしい道具となるはずです。
キングスマンのメガネを日本人がオシャレにかけこなすための選び方
カトラーアンドグロスのメガネは、あくまで欧米人の骨格を基準に設計されています。そのため、私たち日本人がそのまま着用すると、鼻の高さが合わずにフレームが頬に当たってしまったり、まつ毛がレンズに触れてしまったりすることがよくあります。また、耳の位置や頭の幅も異なるため、何もしない状態では「メガネがずり落ちる」「こめかみが痛い」といった問題が発生しやすくなります。せっかくの高価なアイテムを、苦痛を感じながら着用するのは本末転倒です。ここでは、日本人の顔立ちに合わせて、快適かつスタイリッシュに使いこなすための解決策を提示します。
解決の鍵となるのは、購入時の適切なカスタマイズとフィッティングです。特に「鼻盛り」と呼ばれる調整は、インポートブランドのフレームを愛用する上で避けては通れないステップです。この調整を行うことで、目とレンズの間に適切な距離が生まれ、曇りや汚れを防ぐだけでなく、視覚的なバランスも格段に向上します。また、フレームの幅を自分の顔に合わせて広げたり狭めたりする調整も、熟練の眼鏡技師がいるショップであれば対応可能です。ただキャラクターを模倣するだけでなく、自分の骨格に最適化させることこそが、真の紳士の嗜みと言えるでしょう。
欧米人との骨格差を埋めるノーズパッド(鼻盛り)の重要性
海外ブランドのセルフレームの多くは、鼻当ての部分が低く、幅が広く作られています。これは、鼻が高く彫りの深い欧米人の顔立ちに合わせた仕様です。日本人がこれをそのままかけると、鼻にかからず「顔の低い位置」にメガネが停滞してしまいます。これでは、どんなに高級なフレームでも野暮ったい印象を与えてしまいます。そこで推奨されるのが、既存の鼻当てを削り、より高さのあるパーツを接着する「鼻盛り加工」です。あるいは、金属のアームを取り付けて微調整が可能なクリングスタイプに変更する手法もあります。
例えば、鼻盛りを行うことでメガネの位置が数ミリ上がると、眉毛とフレームの上ラインの距離が縮まり、顔全体が引き締まって見えます。さらに、レンズが頬から離れるため、笑った時にフレームが動いてしまう不快感も解消されます。加工にかかる費用は数千円程度であり、作業時間も数日で終わるケースが多いため、購入時に必ず相談すべきポイントです。この一手間を加えるだけで、まるでオーダーメイドのようなかけ心地を手に入れることができます。職人が丁寧に仕上げた鼻盛りは、見た目も非常に自然で、カトラーアンドグロスの美しいデザインを損なうことはありません。自分の鼻の形状にフィットしたパッドは、荷重を分散させ、鼻の頭に跡が残るのを軽減する効果も期待できます。
顔の形に合わせたフレームサイズとレンズカラーの調整術
メガネ選びにおいて、サイズ感は印象を左右する決定的な要素です。キングスマンのモデルは比較的大きめのサイズ展開が多いため、小顔の方や女性が着用すると「メガネに顔が負けてしまう」ことがあります。カトラーアンドグロスには、同じデザイン系統でも複数のサイズバリエーションが存在する場合があるため、自分の顔の幅に最も近いものを選ぶことが重要です。目安としては、テンプルの付け根が顔の幅とほぼ一致するか、わずかに広い程度が最もバランス良く見えます。
さらに、レンズのカラー設定も重要です。劇中のハリーやエグジーは、度付きのクリアレンズを着用していますが、これを少しアレンジするだけで一気にタウンユース向きのオシャレなアイテムへと進化します。例えば、15%程度の薄いブラウンやブルーのカラーレンズを入れることで、強い日差しを和らげつつ、室内でも違和感なく着用できるスタイルが完成します。また、PC作業が多い方であれば、ブルーライトカット機能を備えつつも、ギラつきを抑えた高品質なレンズを選択するのも一つの手です。反射防止コートの質によっても、相手から見た時の目元の見え方が変わります。高級フレームにふさわしい、透明度の高い反射を抑えたレンズを組み合わせることで、フレームが持つ高級感をさらに引き立てることができるのです。
| 顔の悩み | 調整・選択のポイント | 得られる効果 |
|---|---|---|
| 鼻からずり落ちる | 高めの鼻盛り加工を追加 | 正しい位置でキープできる |
| まつ毛がレンズに当たる | クリングスパッドに変更 | 不快感と汚れを防止する |
| 顔が大きく見える | 少し大きめの0822を選択 | 小顔効果と存在感を両立 |
上の表で示した通り、個々の悩みに応じた調整を行うことで、インポートフレームの弱点を克服することが可能です。実例を挙げると、あるユーザーは0822の重厚さに惹かれながらも、重さによる鼻の痛みに悩んでいました。しかし、クリングスタイプの鼻当てに変更し、テンプルの曲げ位置を耳の付け根にミリ単位で合わせたところ、驚くほど軽やかな着用感に変化しました。このように、フィッティングは単なる調整ではなく、フレームのポテンシャルを最大限に引き出すための儀式なのです。専門店で時間をかけて相談し、自分だけの最適な設定を見つけ出してください。
キングスマンのメガネを日本で購入するためのルートと注意点
カトラーアンドグロスは、世界的な人気ブランドではありますが、国内での取り扱い店舗は限られています。特にキングスマンモデルとして知られる特定の品番は、入荷してもすぐに完売してしまうことが多く、入手には事前のリサーチが欠かせません。最近ではインターネットでの購入も一般的になりましたが、前述の通りフィッティングが非常に重要なアイテムであるため、可能な限り実店舗での購入をおすすめします。本物の質感を確認し、自分の顔に似合うかどうかを判断することは、失敗しない買い物への第一歩です。
もし近隣に取扱店がない場合でも、信頼できるオンラインストアを利用する際のチェックポイントがいくつかあります。偽物の流通や、アフターサービスの有無、そしてレンズ交換の可否など、確認すべき項目は多岐にわたります。高価な投資となるアイウェアだからこそ、安さだけで選ぶのではなく、長く付き合っていける販売店を見極めることが肝要です。ここでは、スムーズに憧れの一本を手に入れるための具体的な道筋を解説していきます。
正規取扱店での試着と検品の重要性
日本国内において、カトラーアンドグロスを扱う正規店は、都心部のセレクトショップや高級眼鏡店が中心です。これらの店舗では、ブランドから直接仕入れた最新のラインナップが揃っており、専門のスタッフから詳しい説明を受けることができます。何よりも大きなメリットは、その場でプロによるフィッティングが受けられることです。アセテート素材は熱を加えることで形状を微調整できるため、左右の耳の高さの違いや、顔の幅に合わせた細かなパーソナライズが可能です。
また、店舗での検品も欠かせません。天然素材を含むアセテートは、一本ごとに柄の出方が微妙に異なります。ダークトータスの柄が明るめに出ているものもあれば、より黒に近いシックなものもあります。自分の肌の色や髪色に最も合う個体を選べるのは、実店舗ならではの贅沢です。さらに、度付きレンズへの交換を検討している場合、視力検査からレンズの選定までを一貫して任せられる安心感は、ネット通販では得られません。万が一、使用中にフレームが緩んだり、傷がついてしまったりした場合でも、購入店であれば迅速にメンテナンス対応をしてくれることが多く、長期的な視点で見ればコストパフォーマンスも向上します。
公式オンラインストアや海外通販を利用する際の注意点
どうしても実店舗に行く時間が取れない場合や、国内未入荷のカラーを求めている場合には、海外の通販サイトを利用することになります。カトラーアンドグロスには公式のオンラインストアが存在し、世界各地への配送に対応しています。しかし、ここで注意が必要なのが「関税」と「到着後のメンテナンス」です。海外から直接取り寄せる場合、表示価格に加えて数千円の関税や消費税が発生することがあり、最終的な支払額が予想を上回ることがあります。事前に配送ポリシーや諸費用を確認しておくことが、トラブルを避けるための鉄則です。
さらに、海外仕様のまま届くため、フィッティングが全くなされていない状態で手元に来ることになります。これを持って近所の眼鏡店に持ち込み、調整やレンズ交換を依頼することになりますが、店舗によっては「他店購入品の持ち込み不可」や「破損のリスクからインポートブランドの調整を断る」ケースも存在します。オンラインで購入する前に、近隣に持ち込み調整を受け付けてくれるショップがあるかを確認しておくと、後の流れがスムーズになります。手間はかかりますが、世界中の在庫から自分好みのカラーやサイズを見つけ出す楽しみは、海外通販ならではの醍醐味と言えるでしょう。届いたばかりの、未調整の硬いフレームが、自分の手で馴染ませていく過程も、ファンにとってはたまらない時間になるはずです。
キングスマンメガネで演出するワンランク上の大人のコーディネート術
憧れのメガネを手に入れたら、次に考えるべきはそれをどのようにファッションに組み込むかです。映画の影響で「ダブルスーツに合わせるもの」という固定概念が強いかもしれませんが、実際にはカトラーアンドグロスのフレームは、驚くほど幅広いスタイルに対応します。むしろ、完璧すぎるスーツスタイルに合わせるよりも、少し力を抜いたコーディネートのアクセントとして取り入れる方が、現代の街並みには馴染みやすく、こなれた印象を与えます。スパイのような二面性を楽しむつもりで、様々な装いに挑戦してみましょう。
メガネというアイテムは、顔の真ん中に位置するため、その人の第一印象を支配します。キングスマンのフレームが持つ「知的で誠実、かつどこかミステリアスな空気感」を最大限に活かすためには、服の素材感や色使いとのバランスが重要です。過度な装飾を避け、シンプルながらも質の高い服を選ぶことで、メガネの存在感がより一層際立ちます。ここでは、日常的に取り入れやすい具体的なコーディネートのヒントを提案します。
ダブルスーツだけではない!カジュアルスタイルへの落とし込み方
最もおすすめしたいカジュアルな組み合わせは、上質なニットやタートルネックとのコーディネートです。例えば、ネイビーのハイゲージニットに、ハリー・ハート愛用のトータス柄メガネを合わせるだけで、リラックスした中にも「教養のある大人」の雰囲気が漂います。アセテートのツヤ感が、ニットの柔らかな質感と対照的なアクセントになり、顔まわりに奥行きを与えてくれます。また、白シャツにデニムという究極のシンプルスタイルに投入すれば、メガネが主役の都会的な着こなしへと昇華されます。
例えば、週末の外出時にバブアーのようなワックスコットンジャケットを羽織り、足元にサイドゴアブーツを選んでみてください。そこにキングスマンのメガネを添えれば、英国のカントリースタイルを現代風に解釈した、非常に洗練されたルックが完成します。太めのフレームは、キャップやニット帽といった帽子類とも相性が良く、カジュアルな小物と組み合わせることで、映画のイメージとは違った「ストリート・ジェントルマン」としての表情を楽しむことができます。服の色味をブラウン、ネイビー、グレーといったクラシックなトーンにまとめることが、フレームの高級感を損なわないための特定の手法です。
アクセサリーとしてのメガネが与える知的でミステリアスな印象
メガネは単なる視覚補助具ではなく、顔の表情を豊かにする最高のアクセサリーです。カトラーアンドグロスの重厚なデザインは、かける人の眼差しに深みを与え、相手に「この人は何を考えているのだろう」と思わせるような、少しミステリアスな魅力を演出します。特にビジネスミーティングや、公の場でのスピーチなど、自分の知性や信頼性をアピールしたい場面において、このメガネは強力な助けとなります。リムの厚みがもたらす影が、目元を立体的に見せ、視線を強く印象づける効果があるからです。
また、オフの時間には、あえてレンズに薄いカラーを入れた「サングラス仕様」として楽しむのも賢い選択です。ダークトータスのフレームに、グレーやグリーンのレンズを合わせれば、ヴィンテージ感が強調され、より渋みのある大人の表情に変わります。光の当たり方によってアセテートの模様が浮き沈みし、見る角度によって印象が変化する様子は、まさに一生モノの工芸品を身につけているという満足感を与えてくれます。自分自身の内面を映し出す鏡として、あるいは理想の自分に近づくための仮面として、このメガネを使いこなす。それこそが、映画から私たちが学べる最高のファッション・ハックなのかもしれません。
よくある質問
- カトラーアンドグロスのメガネの価格帯はどれくらいですか?
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モデルや購入場所によって異なりますが、日本国内の正規販売店では、フレーム単体で約5万円から7万円程度が一般的な相場となっています。これに加えてレンズ代金が必要になりますが、度付きの高品質なレンズを選ぶ場合は、総額で8万円から10万円ほどを見込んでおくと良いでしょう。海外からの取り寄せの場合は、為替レートや関税の影響で変動しますが、安価な模倣品ではなく、本物の質感を求めるならこの価格帯が標準的な投資額と言えます。
- 劇中の「Kingsman」のロゴが入ったモデルは今でも買えますか?
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映画とのコラボレーションを記念した「Kingsman Collection」として発売されたモデルには、テンプルの内側に金色の「Kingsman」ロゴが刻印されているものがあります。これらは限定生産に近い形をとっているため、時期によっては完売していることもありますが、ブランドの定番モデルとして定期的に再生産されるケースも多いです。ロゴ入りの特定の個体を希望する場合は、カトラーアンドグロス公式サイトや、提携している世界的なラグジュアリーファッション通販サイト(MR PORTERなど)をこまめにチェックすることをおすすめします。
- 度がなくても伊達メガネとして常用しても大丈夫ですか?
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全く問題ありません。むしろ、ファッションアイテムとして活用する方は非常に多いです。ただし、購入時に付いている「デモレンズ」のまま着用するのは避けてください。デモレンズはあくまで形を保つための薄いプラスチック板であり、表面の反射が強く、視界も歪みやすいため、目に負担がかかります。伊達メガネとして使用する場合でも、眼鏡店で「度なしの反射防止コート付きレンズ」や「UVカットレンズ」に入れ替えてもらうことで、見た目の高級感が増し、常用しても疲れにくい快適な仕様になります。
まとめ
映画『キングスマン』の成功により、一躍脚光を浴びたカトラーアンドグロスのアイウェア。それは単なる映画のグッズではなく、1969年から続く英国の誇り高き職人魂が結実した、本物のラグジュアリー・ピースでした。ハリー・ハートが体現したクラシックな「0822」、そしてエグジーが纏った現代的な「0847」。どちらのモデルも、身に着ける人の内面にある強さと優しさを引き出し、日常をスリリングでスタイリッシュなものへと変えてくれる力を持っています。
私たち日本人が海外ブランドのフレームを選ぶ際には、鼻盛り加工や丁寧なフィッティングといった工夫が必要ですが、その一手間をかける価値は十分にあります。自分の顔立ちに合わせて最適化されたカトラーアンドグロスのメガネは、一生モノの相棒として、あなたの人生のあらゆる場面に寄り添ってくれるでしょう。スーツで決める日も、Tシャツでリラックスする日も、その重厚なフレームがあなたの個性を象徴する印となります。「マナーが人を作る」ように、選ぶメガネがあなたの新しい毎日を作っていくのです。ぜひ、自分にふさわしい最高の一本を手に入れて、英国紳士の洗練された世界観を肌で感じてみてください。
